cafe de nimben

見たものと、読んだもの

新マック購入

Macを買い換えることにした

なぜかというと、鈍くなってきたから。2011年産なのでさすがにちょっとという感じ。

自宅でしか使わない予定なので、iMac一択。

AV環境をネット系に変えていこうと思っているので、既存Blu-rayが見られるようにと思って、5K-iMac一択とする。

iMacはどこで買う?

ポイントはカスタマイズ

必要→アップルストア:カスタマイズできるが、定価

不要→代理店:カスタマイズできないが、ポイントがつく

正直、キーボードとスピーカーが増えるのはめんどくさかったので、アップルストアにしました。色々仕事で忙しくて全然家電系のお店に行く時間が取れない(時間と体力と精神力の全てにおいて)。あんまりこういう金で時間を買うのって頭を使わないから嫌なんだけど、今のマックののろさにはそれだけ耐えられないということです。

今回は、magic trackpad 2が使いたくて、こことメモリ増量だけカスタマイズ。

買うべき周辺機器:Blu-ray

新しいiMacには光学ドライブそもそもついていない。Blu-rayは見たいし、音楽は通常はiTunesで買えば良いと思っているので良いのだが、円盤で持っていたいものもある。移行その他が完了すれば、こちら購入予定。

ハードウェア

sakidori.co

Player -app

MacはデフォルトでBlu-rayのプレイヤーがないので別途要購入。

www.macblurayplayer.jp

移行について

移行ツール便利

移行の簡単さはさすがにMacの美点だなと感じる。windowsで言う所のレジストリレベルも持ってくるので、「ああ、またここはやり直しかあ」というめんどくささが少ない(ないとは言っていない)

移行ツールを使って、Ethernet経由で接続。

移行先になる方は起動すると、移行モードになっている。この時、移行元になっているものを自動的に探すことができる。

移行元の方は、アプリケーション>ユーティリティから移行ツールを起動し、自分を移行元だとラジオボタンで選択してあげれば良い。

あとは自動でコピーが始まる。

移行先の方が、ちょっとOSバージョンが新しいので受けられないかもという文句を言ってきた。アップデートしようとしたらできないというので、単純にskipしておいた。結果的に特に問題なかった。心臓によろしくないが、バックアップがTime Machineに残っていると思えば気楽なものである。

おそらく一番高速であろうものは、Thunderbolt。私は使っておらずこれから先も予定が見込めないので、Ethernet経由にした。

LANの同一サブネットにあれば自動検出される。うちのケーブルがそろそろ老化しているのか、速度は10Mbps程度しか出ていなかったので、これGbEで繋げれば相当早く行くんだろうなあとは思った。(誰か試してくださいませ)

が、コピーしている間ほっとけばいいというのは楽な話なので、遅さはそんなには気にならなかった。

 

だいたい八時間くらいかかった。

ブラウザ系の情報は、id/passwordなどほとんどそのまま持って言ってくれているので、とても便利。

移行ツール外での作業

手こずったのは、Kindle for Mac.

OS言語設定を英語にしていたのだが、そうするとamazon.comに登録確認をしに行くのです。amazon.co.jpに戻す方法を探したのだけど、うまく見つからなかったので、OSの言語設定を日本語にして、再起動。kindle for macを立ち上げてライブラリとシンクしに行くときに登録画面がamazon.co.jpになっているのを確認して、再登録。ちょっと面倒だった。

その他個別作業

office365 soloは、PCを登録しないと使えないので、登録作業が必要。

dropboxも新規に登録作業が必要。

iTunesも登録作業が必要。(apple IDとの紐付けとかね)

また、これは私の理由だが、以前iMacの内蔵HDDの容量が足りないため、音楽情報を外付けHDDに移していたのでこれを手動でコピーすることが必要だった。

外付けHDDも一緒にしてくれるようになったらいいのだけどね。

感想

前はretinaではなかったので、今回の5kのRetinaは美しい。文字が特に紙のごとく。

1080pあたりは、前のは全画面でないと見づらかったが、画面の一部枠でも全然問題ない感じ。しかし、画面が大きいので圧がでかいw ので、デフォルトよりちょっと輝度を下げた。

内蔵スピーカーもいい感じで、こんなに薄いのにきちんとある程度の低音が出るのは素晴らしい。Bluetoothヘッドセットにしても、うまくlatency合わせているのか、lip syncにギャップを感じない。

 

late 2011 --> late 2015になった。(2017に買ったのに、モデルとしてはlate 2015だったというのは、ちょっと萎えるかもしれない。まあ安定版を買ったということで心を落ち着けよう)

メモリは16GBだが、今のところ不具合はない。スロットを二つ残してあるので、いざとなれば増設。

keyboardもmagic trackpad2も、単三形式ではなく必要に応じてlighting cableからの充電になり、薄くなってよくなった気がする。どちらも操作感は快適。

ちなみに前回の移行

nimben.hatenablog.com

 

 ↓ これに比べると天国のような簡単さ。6年って大きい差ですね。

nimben.hatenablog.com

 

 

『燕子花図と夏秋渓流図』 @根津美術館

ついに、国宝燕子花と、お庭燕子花の共演を見ることができた。

もちろん、根津美術館ご自慢の国宝『燕子花図屏風』(尾形光琳)と、裏庭の燕子花のことである。

 

燕子花図屏風 尾形光琳筆 右隻

Irises screen 2.jpg
By 尾形光琳 - Nezu Art Museum, パブリック・ドメイン, Link

 

同 左隻

Irises screen 1.jpg
By Ogata Kōrin - Nezu Art Museum, パブリック・ドメイン, Link

(↑ しかし、写真も撮り方と色の選び方でずいぶん違いますね) 

 

夏秋渓流図屏風 鈴木其一筆

Mountain Stream in Summer and Autumn (right screen).jpg
By Suzuki Kiitsu - Nezu Museum, パブリック・ドメイン, Link

 

が同時に見ることができるということで、というよりも、実はお庭のカキツバタを拝見しに行きました。

じつは燕子花図屏風を見るのは二度目。しかし、根津美術館で見るのは初めて。

2年前に、尾形光琳300年忌で、根津美術館からMOA美術館に貸し出されていたのだ。そして、『紅白梅図屏風』と『燕子花図屏風』を同時に見るということができた。*1

鈴木其一だと、『朝顔図屏風』と並べて見たいなあ。これが、尾形光琳の燕子花図屏風に対する其一のアンサーソングだと思うので。メトロポリタン美術館行きたい。

朝顔図屏風-Morning Glories MET DT1587.jpg
By 鈴木其一 - http://www.metmuseum.org/art/collection/search/48982   This file was donated to Wikimedia Commons by as part of a project by the Metropolitan Museum of Art. See the Image and Data Resources Open Access Policy বাংলা | Deutsch | English | Esperanto | español | português | සිංහල | українська | +/−, CC0, Link

 

 

燕子花図屏風のかわいらしさ

よくコピペによるリズム感の良さ、という言い方で表される。

たしかにリズムはいいとおもうけれども、今回の気づきはふたつ。

ひとつめは、引き算の心地よさ。

他の図屏風は、風景をパノラマ写真のように全部描いている感じ。しかし、燕子花図屏風は、燕子花しかない。 これが心地よい。その上で、燕子花の花が流れていく。左から右に、右から左にみてもよい。一直線でない、山の稜線の上下をみるような心地よさ。

ふたつめは、群青色のきれいさ。

燕子花の花がぽってりした感じ。場合によっては青二色で立体的に彩られている。緑色の葉の部分はとても平面的だから、視線を花に誘導し、そして釘付けにするための、視線操作でもある。

「ありのままを描くよ」というよりも、非常に人工的な計算に満ちた作品だなあと感心してしまった。

計算に満ちているのに、金箔で、下に水がない燕子花ってだけでもかなり人工的なのに、なにか愛嬌を感じさせるぽってり感と色の美しさ。若冲とはまた別の感じで心地よいです。

 

燕子花の庭園

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根津美術館の庭園はいつ行っても何かが咲いていて気持ちがいいのだが、特に今回は燕子花共演である。藤棚もきれいだったのだが、全盛を過ぎていて残念。

天気にも恵まれ、新緑の葉にも恵まれて、燕子花がひきたっていた。

その名も燕子花という和菓子とお抹茶(お薄)のセットが千円でいただけるのも、なかなか乙なもの。「とくに流派は関係ないし、足を崩してもらっても問題ないですから」とやさしくおっしゃっていただきながら、庭を横目にお茶をいただくのはなかなか贅沢な喜びでした。

国宝もいいんだけど、やっぱり生の草花の美しさもまた美しく、ジャンルの違うよさなんだなあと、心地よく観覧してきたのでした。

おまけ

紅白梅図屏風

Ogata Korin - RED AND WHITE PLUM BLOSSOMS (National Treasure) - Google Art Project 

www.nezu-muse.or.jp

nimben.hatenablog.com 

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ぼくにとっての其一は、このメトロポリタン美術館収蔵の『朝顔図屏風』なんですよね。こっちのほうが尾形光琳『燕子花図屏風』との共通点が多いと思う。

  • 背景が金箔
  • 描いてあるのが題名の植物のみ。土も他の草花などもない。
  • 群青
  • 配置のリズム感(尾形光琳は一次元、鈴木其一は二次元だけど)

同時表示にはいいとおもうんだけどなあ。一度見てみたいなあ、同時に。

 

 

 

*1:ほんとうはそのあとに、MOAから根津美術館に逆貸し出しがあって、根津美術館でどちらも見るというチャンスがあったのだが、これは見に行けなかった。

LA LA LANDに影響を与えた映画

こうやって、映像で比較があるとわかりやすくていいですね。

 

The movies that have influenced La La Land

www.youtube.com

 

Top 10 Movies To Watch If You Liked La La Land

www.youtube.com

 

しかしなぜだろうとおもうのが、本筋とは離れるけれど、主役の体格です。

フレッド・アステアは小柄で細い感じです。しかし歌唱力とダンス力がすばらしい。

もちろんこのLA LA LANDのライアン・ゴズリングは、アステアに比べると背は高いものの痩せ型ではあるんです。

しかし、最近のハリウッドの主演男優は基本的にゴリマッチョであり、マッチョにあらずんば人にあらず的な感じですよね。

アクションスターがそうなのは別にいいとおもうんですが、普通の体格のひとっていないのかしらという感じにはなります。

といっても「普通の体格」というのが変わってきている印象は、もちろんあって。

アメリカ系のビジネスマンって、ゴリマッチョ系の体格の人がかなり多い気がします。

ゴリマッチョが普通なんだとしたら、スターはそれよりもゴリマッチョであるのが顧客ニーズだとおもうので、いたしかたないか。

ボディビルダー的な体が一般的ってのは、なんというかドーピング的な変な感じ。

ゴリマッチョは基本的にNGで、マッチョといっても細まっちょがお好みの日本女性が映画動員の肝であるならば、洋画より邦画のほうが客入りが多いとしても、これもしかたがなさそうです。

 

entamedata.web.fc2.com

 

 

nimben.hatenablog.com

 

草間彌生『わが永遠の魂』国立新美術館

迫力。

kusama2017.jp


キューレーションが音楽的。

サビ、イントロ、Aメロ、そしてサビ。

サビから入って、再びサビを観て終わる。滞留しようとすればいくらでも滞留できる感じの繰り返しがミニマリズム系で、キューレーション自体が草間的ともいえる、かなり練りに練った構成。出ている作品群も、作家蔵のものから、現在休館中の東京都現代美術館のものをはじめ、世界からかき集めているのもすごい。

これは、美術展というよりも、体験型アミューズメントパークですわ。

サビ

1. 21世紀の草間彌生(1)

サビである『わが永遠の魂』。

これを入り口入ってすぐの大きなぶち抜きの空間に、壁に縦三段に44セット合計132枚。隙間なく並べる。壁一面のクサマ。隙間のなさ自体がまたクサマっぽい。

それだと真ん中がスカスカになるかといえばさにあらず。

ひとの身長よりも高い、花の造形がうねっている。

このなかは、どう見てもいいし、携帯電話で写真をとってもよい。

 

公式な写真はこちらからも見ることができる。が、このサイズだとわかりづらいか。

kusama2017.jp

みんな自撮りしている。そして、言葉は「うわぁ」「すげぇ」というような、感嘆語しかでてこない。

この迫力を、「生命感に溢れる」とポジティブに解釈するひともいるし「気持ち悪い」とネガティブに解釈するひともいる。

そんな混乱と混沌とアクリルによるきれいな色の奔流をお散歩する感じ。

題と絵を見比べてもさっぱりわからないが、きれいな発色でどでかくかかれると、なんか楽しくなってくる。最初は全然わからなかったのに、自分のなかの変化がおもしろい。

イントロ

ここからは編年体で、1939年の作品から展示されている。

2. 初期作品 (渡米前:1939−)

3. ニューヨーク時代(1957−73)

4. 「21世紀の草間彌生(2)」(箸休め的な挿入)

イントロの感想

渡米前はなんか病んでる感じがした。まあ芸術なんてどう病んでいるかという話なような気もするけど。

草間のルーツが幻聴幻覚であるそうで、それがネガティブにでている病み方ではある。みてても正直、陰鬱さがつたわってきておもしろくはなかった。でも、ブツブツモチーフはすでにこの時代からあるんだなという感じ。いわゆるアウトサイダーアートとなんか共通点がある気がした。(wikipediaによると統合失調症らしいので、そういう共通点なのかもしれない。といっても知ってる母数が少ないので、ほんとうに関連付けていいのかよくわからないが)

それがニューヨークにいって、ウォーホルっぽいコラージュアートだったり、リヒターみたいな抽象画だったり、なんか色々と試行錯誤がみてとれる。60年代は「前衛の女王」とニューヨークを中心にいわれていたらしく、62年にはウォーホルとグループ展示もしていたようなので、相互に影響を与えあっていたのかもしれない。

パフォーマンスアートの動画上映もあったが、たぶんああいうのってその場にいないとなんともなあ、という気がする。実際のパフォーマンスアートだと偶発的にテートブリテンで出会ったのだが、あれは、訳の分からなさが面白かった。あれは、録画みてもおもしろくないとおもうので。

イントロのなかでの好み

この時期のなかだと個人的な好みは、「Untitled(No. White A.Z.)」1958ー59年(静岡県立美術館蔵)でした。minimalismっていうんですね。

dot.asahi.com

でも、このなかの展示で一番すきだったのは、『生命の輝きに満ちて』(2011)です。これは下も上も左右前後にも鏡がはめられた暗い部屋で、うえからLED(?)の小さいランプが三次元的にたくさん配置されていて、合わせ鏡で上下左右が生命の星の輝きにみちていく。

bijutsutecho.com

これはその部屋のなかを歩けるので、ぜひどうぞ。

Aメロ

 

5. 帰国後の作品(1970−2000)

だんだんそれらしくなってきたように見えたのは80年代。

男根的な三次元アートもあるが、やはり、かぼちゃとドット系。

色がどんどん綺麗になっていき、アクリル絵の具からそのまま出したようなくすみがない色づかいになっていく。真っ白に真っ赤とか、オレンジに真っ黒とか。洗練といっていいのか、草間に対して洗練といっていいのかわからないのだけど、わたし的には、洗練とポジティブと生命力という感じになってきた。

黄樹↓

www.asahi.com

かぼちゃ↓

matsumoto-artmuse.jp

そして最後にもう一度、サビ「1.21世紀の草間彌生」の部屋に入ってから、外に出る感じ。

 

おまけ:美術館の外も草間。

六本木側は、木が草間布に覆われている

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乃木坂側には、かぼちゃ。

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半券があればあなたも草間の一部になれる。

丸いシールを渡されるの、すきなように貼っていいお部屋。報道資料だと、壁も家電もぜんぶ真っ白だったのだけど、もう極彩色。

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参考

※パフォーマンスアートに出会ったときの体験

nimben.hatenablog.com

 

バリー・ジェンキンス『ムーンライト』2016

2017オスカー作品賞だが、大作というよりも極めて個人的な映画。大きな社会的なインパクトがあった話を華々しく描いているわけではないが、それゆえに考えさせられる。主語の大きさという意味では、日本の映画的だとおもう。

アカデミー賞候補作!『ムーンライト』本国予告編

丁寧な描写

シャロンという少年の姿を丁寧に描写していく。でも直接それを語ったりはしない。ナレーションもなかったようにおもう。そこが邦画的ではない。彼は口数が多くないひととして描かれ、多くは無言の中で懊悩する。

ひとついえるのは、彼はどのように自己開示をしていいのかわからないなかで生きてきたということだ。ステレオタイプに描かれる、彼の母親。抑圧と歪んだ愛を同時に与え、混乱させ言葉を奪う。

ハウス・オブ・カード』のレミーとは思えない抑えた演技をしてオスカーの助演男優賞をとったアリによる、父親的な男性とそのガールフレンドによる唯一の心の安らぎ。

いじめっ子達。いじめない唯一の友人ケヴィン。

個人的な、伝記的な映画で、自分の内面を静かに触ってくる映画。鏡よ鏡、鏡さん。鏡に映っているのは、誰?

映像美

しかし話が邦画的私小説的個人的な話なのに、邦画ちっくにみえないのはどういうわけなんだろう。もしかしたら絵なのかもしれない。南国の空気、天気、日本だともっと暗く狭く蛍光灯の明かりが見えてきそうなのにそうはならない。色編集には色々手を入れていると聞いた。また被写界深度が浅く、見るべきポイントがきちんと計算づくで撮られているという美しさもある。

どう撮ったのかについては、以下のサイトが参考になる

www.club-typhoon.com

 

ここから、ネタバレ感想

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