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見たものと、読んだもの

ブリューゲル「バベルの塔」展(東京都美術館)

多分小学生の頃からドキドキしてみていた「バベルの塔」を生で見ることができて面白かった。

下調べをしていた時は、なんでボスがかなりフィーチャーされているのかよくわからなかったのだが、きちんと流れに沿って見て見ると、必要だと言うことがわかってよかった。 

展示の流れ

  1. 16世紀オランダ美術

  2. その中でも「タラ夫」などの奇想天外キャラクタを産んだヒエロニムス・ボス

  3. その影響も受けているピーテル・ブリューゲル1世

  4. その代表作「バベルの塔

バベルの塔にはタラ夫っぽさは微塵もないのだが、ブリューゲルの絵画には明らかにボスの影響が見られるので、この流れはありっちゃあり。

個人的には、「ブリューゲル」を追うのではなく、「バベルの塔」を追う展示であったら、もっと好みだったけれど、そっちで固められていたら、ボスに会うこともなかったので、嬉しい誤算。

どのバベルの塔

今回来日した、"Little"

今回来たのは、The "Little" Tower of Babel.

オランダ、ボイマンス美術館収蔵品。サイズは60 cm × 74.5 cm。1568年産。

Pieter Bruegel the Elder - The Tower of Babel (Rotterdam) - Google Art Project.jpg
By Pieter Brueghel the Elder - hQEuBFxb3ZEcLw at Google Cultural Institute maximum zoom level, Public Domain, Link

これから神に壊されることを暗示した、禍々しい赤。左の赤の一筋は、血が垂れているように見え、凶気をさらに強調するもの、だと思っていたのだが。

赤い色が、詳細の解説を見ながらだと、フレッシュな赤レンガの赤だった。ギャフン。赤レンガを上の階に滑車であげるときに赤レンガ粉末がつくのであろうと言う一筋。そして、上の階の方がフレッシュな赤レンガを使っているので、土色に退色していないと言うことが示されているのだ。リアリティ。なんだったんだろう私のファンタシーは妄想か。

ちなみに白い筋は漆喰で、これを運ぶ人も真っ白になっている状態が描写されている。

が、見えない。

そう、60cm x 74.5cmはかなり小さいので、生ではよくわからなかった。

絵の前も黒山の人だかりで、特に人の流れはコントロールされていないため、前の人の離脱が読めないし、ぶつかられるし、それにストレスを溜めて係員にクレームを入れる人もいて、カオス。

多分僕らみんなが、再度、言語疎通ができないように神から一撃くらいそうだったので、これは「バベルの塔」と言うパフォーマンスアートと言う側面もあったのかもしれない。

単眼鏡推奨。自分は持っていないので買うべきか。

(ちなみにモナリザの大きさは、77cm x 53cmなので、だいたい同じくらい。混雑具合もね)

拡大レプリカ

単眼鏡がなくても、救世主がいる。東京藝術大学によって、この "Little" の300%拡大レプリカが作られて展示されていたのだ。

これは良い。細かいものがはっきり見える。どえらいところまで細かく見えるので、深く知ると言う意味ではとてもよかった。カタツムリ的な坂を上る列とか、とてもしっかり見ることができたしね。

ただ、現物よりもちょっと彩度が高いので、雲が禍々しく見えすぎて、頭の中で修正していた。

大友克洋とのコラボ版 "Inside Babel"

展示会場の外である企画展示室入り口横ホワイエに展示。なかなか気がつきにくい場所にある。

その名の通り、内側がどうなっているのかをケーキのように切って描いたもの。

www.cinra.net

これはこれでなかなか面白い。内側の人って陽もささないだろうから、どんな暮らしをしていたのかなと言う、今まで考えたことがない問いに気がつく。

ヒグチユウコ版のパロディ

www.1101.com

ひとつめちゃんとか、色々ヒグチキャラが舞い込んでいて楽しいです。ミュージアムショップで買えます。

 amazonでも買えるらしい。

初回限定版 BABEL Higuchi Yuko Artworks

初回限定版 BABEL Higuchi Yuko Artworks

 

これの原画展も併設すればよかったのにね。 

もう一つの方、"Great"

ブリューゲル版って実は二つある、と言うことをこの展覧会で知った。

今回来日した方は、"Little"

The "Great" Tower of Babel、と言う、114 cm × 155 cm と言うこれの4倍くらい大きいものがウイーンに収蔵されている。1563年なので "Little"の5年前ですね。

Pieter Bruegel the Elder - The Tower of Babel (Vienna) - Google Art Project.jpg
By Pieter Brueghel the Elder - bAGKOdJfvfAhYQ at Google Cultural Institute zoom level Scaled down from second-highest, Public Domain, Link

でも4倍でかいはずのこちらの方が、細密ではない感じ。まあ、こちらをさらにセルフリファインしたのが、今回24年ぶり来日の "Little" と言うイメージです。

私の原風景は、やはり "Little" の方ですね。

その他の作家のバベルの塔も展示されているが、やはりこの壮大さを知っていて見ると、その高さでは神から一撃は喰らわないんじゃないかと言う程度の高さ感でありました。東京藝術大学の研究によれば、Littleのバベルの塔の高さは510m。ギザのピラミッドが139m。東京タワーが333m。東京スカイツリーが634m。ブリューゲルの発明であるこのバベルの塔の大きさは、偉大だ。

ヒエロニムス・ボスとブリューゲルと言う異世界仲間

ボス(Hieronymus Bosch) と言う作家は知らなかった、この展示会のキャラとしてタラ夫が出てくるまでは。歴史的時系列ではなく私が触れた時系列としては、なんとなく、『不思議の国のアリス』の挿絵(ジョン・テニエル / John Tenniel版)とか、日本だと三浦建太郎ベルセルク』を彷彿とさせる感じ。ユーモアと言うべきか、気色悪いと言うべきかわからないギリギリを狙っている感じ。

今回来ていない『快楽の園』に出ている、樹木人間(上部中央)もモノクロ版で出て来ているし。

Hieronymus Bosch - The Garden of Earthly Delights - Hell.jpg
By Hieronymus Bosch - This file has been extracted from another file: Jheronimus Bosch 023.jpg , Public Domain, Link

奇妙な異世界感。

ボスとそのフォロワー、そしてブリューゲル一世をまとめて見ると、この異世界感を共通項として持っている感じ。

最初に展示されていたオランダ絵画は、割と現世的世界観だったので、ドウシテコウナッタ感が大きいが。これって一般的な流行りの問題だったんですかね?

あるいは、今回、数少ない真作として来日した放蕩息子。

Boschverloren.png
By ヒエロニムス・ボス - Unknown, パブリック・ドメイン, Link

描きこんである色々なものに意味があって、疲れるほどである。

※詳細は、公式サイトの解説をどうぞ

見どころ|【公式】 ブリューゲル「バベルの塔」展

後ろの建物の白鳥の看板と上の窓から垂れている白い着物などからこれは娼館を表すとかとか。なんか左脳で絵画を見る感じ。

前提知識の無さに振り回されてしまったかも。

 

もっと虚心坦懐にキャラの面白さおかしさを楽しめばよかったかな。

 

付録 :旧約聖書 創世記 十一章

全ての地は、同じ言葉と同じ言語を用いていた。

東の方から移動した人々は、シンアルの地の平原に至り、そこに住みついた。

そして、「さあ、煉瓦を作ろう。火で焼こう」と言い合った。

彼らは石の代わりに煉瓦を、漆喰の代わりにアスファルトを用いた。そして、言った、「さあ、我々の街と塔を作ろう。塔の先が天に届くほどの。あらゆる地に散って、消え去ることのないように、我々の為に名をあげよう」。

主は、人の子らが作ろうとしていた街と塔とを見ようとしてお下りになり、そして仰せられた、「なるほど、彼らは一つの民で、同じ言葉を話している。この業は彼らの行いの始まりだが、おそらくこのこともやり遂げられないこともあるまい。それなら、我々は下って、彼らの言葉を乱してやろう。彼らが互いに相手の言葉を理解できなくなるように」。

主はそこから全ての地に人を散らされたので。彼らは街づくりを取りやめた。その為に、この街はバベルと名付けられた。主がそこで、全地の言葉を乱し、そこから人を全地に散らされたからである。

 んーと、石の代わりのレンガは使っているが、漆喰使っているね、ブリューゲル。なんか、意図はあったんだろうか?

奈良国立博物館の「なら仏像館」は良いぞ

何も特別展の快慶展だけが良い、というわけではない。地下を通っていける「なら仏像館」は飛鳥時代から鎌倉時代までの仏像が網羅されていて楽しいです。

www.narahaku.go.jp

 

前菜として、地下道で基礎を学ぶ

地下道には、レストランとミュージアムショップと、そして仏像についての概要説明がある。

作る材料何なのか、いつの時代の物にはどういう特徴があるのか、仏のグループってどうなっているのかなど、地下道の壁面いっぱいを使って、小学生でもわかるように書いてあって、とても参考になった。

  1. 悟りを開いたのが、如来
  2. 悟りを開こうと頑張っているのが、菩薩。(観音は観音菩薩なのでこのグループ)
  3. 仏法で人を救うために怒った顔をして頑張っているのが、明王
  4. インドの神々でのちに仏教に帰依したのが、天部

ここら辺はもうちょっと深く勉強しないとよくわからないな。

密教の三輪身という考え方では、本来の姿が如来、仏法の守護者としての顔が菩薩、導き難い人間を憤怒の表情で導くのが明王として、同じものが三つのパターンで形を成すということのようなので。

となると、1−3のグループは同じもので、4だけ異質ということになる。

4番の天部は、宗教拡大にあたって色々と神様を飲み込んだ感じ。阿修羅もいる八部衆はもともとインド神話に登場する神々で仏教に帰依したもの。

というような基礎情報を得てから、拝観。

名品展 珠玉の仏たち

www.narahaku.go.jp

リストは上記。全部ではないが個別解説と画像が載っているので、詳細はそちらを参照されたし。これ、ずっと残っているといいんだけど。

気になった仏像

見ていて楽しかったのは、まずは、飛鳥時代の誕生釈迦仏立像。

天上天下唯我独尊」のアレである。

10センチくらいの体高で、素朴でかわいい。ああ、お生まれになったのね! という愛らしさに溢れる。

また、第六室の如意輪観音坐像がよかった。なんとも言われぬ柔らかい形。

第七室の十一面観世音菩薩4体と、千手観音像2体というのも迫力でした。

部屋の中で圧倒されたのは第8室。

奈良国立博物館の工房で修理を終えた降三世明王坐像(大阪府、天野山金剛寺)が新国宝認定されて、展示されている。来年2018年の3月には金剛寺に戻されるみたいだから、ここで見るなら今がチャンス。

これ、かなり大きいんですよ。像の高さが230cm。極彩色だし。大迫力。快慶の弟子の行快の作ともわかったみたい。

このほかにも兜跋毘沙門天立像や、広目天増長天と迫力の武人系が並ぶ。

 

特別展ほどは混んでいないので、じっくりと見ることができるので、超オススメです。

 

 

 

 

新潮社『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ』

快作いや、怪作か。

普段触れることのない、鳥類学者の知られざる日常を軽妙な文体で語りあげる。

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

 

文体は平易でユーモアにみちる

これ、同世代でないと、あるいはネット文体に慣れてないと、あるいは嘘と諧謔と事実を見分ける眼を持ってないと、と言う、ある意味学者にあるまじき文体である。学者のそういう文章でいうと、土屋賢二あたりを彷彿とさせるかもしれない。

しかし、そのぶん、平易である。

内容 は鳥類学者自己(事故)紹介

 

鳥の話をしているが、鳥類学者の生態の自己申告。とはいえ、多岐にわたる活躍、楽しい。

例えば、南の西之島が火山で島が広がったと聞けば、無人飛行機を飛ばして海鳥が繁殖しているか確認。NHKでも番組をやっていたと思ったら、記事残っていた↓

www9.nhk.or.jp

www.nhk.or.jp

絶海の孤島での有人探検のときは、その島の外来種を持ち込んでしまうリスクがあるので、中古ではなく新品のツールを使うとか。

自分ではなかなか知りようがない世界を垣間見れるということだけでも面白いので、オススメです。

 

興福寺で阿修羅像を見る

なんかおっかけみたいになっているが、また阿修羅像を見てしまった。

奈良に来てしまったら、お会いしないとしょうがないよね!

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しかし、興福寺国宝館は耐震工事のため休館! しかしっ!

 

阿修羅天平乾漆群像展

仮講堂に、(個人的な理解では京都の東寺の立体曼荼羅のように)群像として展示されているのだ。前期が2017年3月15日から6月18日まで。後期が同年9月15日から11月19日まで。

真ん中に、阿弥陀如来像。

四隅に四天王(四天王は前期のみ展示)

阿弥陀さまの左右内側に左が帝釈天像、右が梵天像。左右外側に、左が金剛力士像(吽形)、右に同阿形。

阿弥陀さまの前に、中央に華原磬(かげんけい)。左右に龍燈鬼、天燈鬼(前期のみ)

左右前方に、十大弟子のうち現存する6体と、阿修羅を含む八部衆

東金堂よりもゆったりと見ることができる。

正直、博物館とは異なり、柱の関係でどの位置からでも綺麗に見える、というものではないのだが、それがまた良い。

阿弥陀さまの真正面に窓があり、そこから光が入り込む。全体にはもちろん光は回らないのだが、そのぶん暗さの中で荘厳な美しさが浮かび上がる。「陰翳礼讃」というほどには暗くはないが。

阿修羅像は、2009年の東京国立博物館や同年の九州国立博物館での展示のように、主役としてたっているわけではない。あくまでも八部衆の一人としてご本尊である阿弥陀如来像を支える感じが良い。

暗い系の壁に、落ち着いた金の阿弥陀如来像と赤めの像が揃ったので、ちょっと背景に溶けるところを除けば、いくらでも見続けられる感じだった。

後で御朱印をいただいていたのだが、その時に9月の東京国立博物館の運慶展に10体くらい行くみたいなお話を聞いた。後期に出展がない四天王と華原磬、龍燈鬼、天燈鬼は東京にお越し願うのかもしれない。

 

中金堂は建築中。東金堂から撮影。「中金堂再建勧進所」が見えるが、御朱印はここでいただいた。右に見切れているテントが、仮講堂のチケット発売所。

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ここで奈良国立博物館のなら仏像館で学んだ知識でレビューして見る。

興福寺仮講堂の展示をグループ分割すると

という感じになり、阿弥陀様一強である。

菩薩、明王もないというのは、ちょっと驚いた。

そして、後出しの衝撃の事実は、毘沙門天多聞天が同じものを指すということ。不明を恥じるばかりである。

東金堂の薬師如来

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この手の展示は、東金堂がお手の物。

本尊の薬師如来像、日光・月光菩薩像 (この三体セットは落ち着く)

文殊菩薩像と維摩居士像 (文殊はいるが、普賢はいないのね)

四天王像と十二神将

参拝するにあたって道が狭いのが玉に瑕。

十二神将があると、自分の干支の人はどこかなと探してしまいますね。

 

国宝の五重塔を始め、見るものがたくさんあるので、ゆるゆると散歩しながら(鹿と戯れながら)楽しむのが良いですね。

その他雑感

興福寺のホームページはこちら。右クリックはできませんが、画像など豊富に揃っているので、予習や復習にどうぞ。

www.kohfukuji.com

しかしまあ、今回も日本人が半分で、外国人が半分くらいな感じでした。世界的な観光地になったんだなあという感じ。外国語対応は難しいかもしれないけれど、じっくり腰を据えて進めてほしいです。

 

(追記)

いつまで掲示されているかどうかわかりませんが、NHK日美旅で仏像たちの設置の様子が放送されたようです

www.nhk.or.jp

 

 

緑豊かな春日大社で癒される

空気感が伊勢神宮にとても近く、巨木原始林が醸し出す神域の濃さにノックアウトされた

 

水谷神社ルートで御本殿へ

東大寺経由で春日大社に行ったため、一の鳥居からという王道ではない入り方をした。

若草山>水谷神社>一言主神社>総宮神社>桂昌殿>御本殿の順である。

世界遺産 春日大社 公式ホームページ/境内のご案内/御本殿から水谷神社

若草山からコンクリートの階段を降りてくると、一本の道路に出会う。

道路を渡り、橋を渡ったところから、春日大社の敷地だ。入った途端に、何かある、という気持ちになる。

伊勢の外宮の敷地に入った時にも感じたあの感覚。原始林による森林浴効果という人もいるだろうし、神の存在と捉える人もいるだろう。そういう強烈な場である。

最初の摂社は水谷神社。みず「たに」ではなく、みず「や」と読む。

境内からイブキの巨木が生えている。高さ12.5m、直径6.55m。外側はイブキなのだが、内がうろになっており、うろの部分からスギが生えている。圧倒的な大きさで、巨木ラバーの私としては、手をかざしてハグをするのである。

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雨を吸って生き生きとしている苔と新緑が魅力的。

色々体の不調があるので、病気平癒を願う。ここはもともと牛頭天王を祀ってある神社なのだ。

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階段を上って道なりに右に曲がるったところ。左右に奉納された灯篭がある。いずれも苔むしており、長い年月を感じる。左の林は神域なので、人の手が入っていない原始林である。

そこから一言主神社、総宮神社、桂昌殿、酒殿・竃殿をへて、西回廊から慶賀門をへて、御本殿へとお参りする。参道ではずっと、なんかやばい、なんか穢れが落ちていく感じとかなんとかつぶやいていた気がする。

御本殿と特別参拝

世界遺産 春日大社 公式ホームページ/境内のご案内/御本殿(回廊内)

知らなかったのだが、慶賀門は、古来の正式な参入門だそうだ。というのも、ここからは御蓋山を真正面に見て本殿に入ることになるから。ひゃー、そのような流れに乗っている感じですね。

残念ながら藤の季節はほぼ終わっており、中庭にある砂ずりの藤と言われる藤棚は、もうほとんど散りかけていた。絵馬は神鹿にちなんでの鹿の顔の形をしているのがかわゆい。

式年造替が終わった後の特別拝観が可能で、御廊から中に入っていく。塗りたての朱色が美しい。

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年始の春日大社展で予習済みだ。

 

nimben.hatenablog.com

 階段を上ると、結婚式をやっていた。めでたい。こういうところで結婚式って素直に羨ましい。

直江兼続が奉納した燈篭など脇目で見つつ、御廊を進む。影向門から一旦外に出て、東回廊から、御蓋山浮雲峰遥拝所へ。

御蓋山は、鹿島神宮からわざわざ武甕槌命様にお越しいただいた場所で、御神体である。白鹿に乗っていらしたので、鹿は神鹿であるし、建物は御蓋山を削らずに建っている。

遥拝所から御蓋山を見ると、御神域なので、原始林以外のなにも見えない。個人的には三輪神社に馴染みがあるので、山自体が御神体という発想には慣れている。そこに大きな仏像や十字架やメッカへの方向を示すくぼみがあるわけでもなく、という場所からお参りするというのは、宗教観的に理解できるのかどうかわからないが、たくさんの外国人観光客とともにお参りする。

逆ルートを通って、今度は中門を越えて、後殿参拝所から本殿にお参り。中門のところからじっくり見たかったが、結婚式だったので、もちろんそちらを優先してもらう。

本殿は、中には入れないのだが、春日大社展で予習してあるので、あれだあれがそこにあるのか、と思いながらお参り。

近くの摂社の八雷神社は電気関係の会社がスポンサーされていて、さすがという感じ。

万燈篭再現を藤浪之屋でやっていて、真っ暗な中に灯っている燈篭を見るのはちょっと怖いけれど美しかった。春日大社展で見たやつもこの中にあるのかしらね。

灯篭は経年変化で薄い緑色から真っ黒まで色々あって、その色々に、それぞれの願い事があるんだなあと思うと、祈るという行為に時代などないという感じをもつ。

若宮十五社参り

南門を出て、紀伊神社へ。若宮十五社参り。

世界遺産 春日大社 公式ホームページ/境内のご案内/若宮15社めぐり

本来は、夫婦大國社で受付が必要なのだが、それはしていないので、正式なお参りではないのですが。

御蓋山の奥の方を巡るので、空気の濃いところをずっと回る感じ。足元はちょっと緩いので、スニーカーがいいです。

ここから本殿に戻り、二の鳥居におり、馬止橋から東大寺ミュージアムへと、下界に降りていく感じ。

一の鳥居からの正規ルート

世界遺産 春日大社 公式ホームページ/境内のご案内/一之鳥居から御本殿

翌朝、一ノ鳥居から、伏鹿手水所>祓戸神社>二の鳥居>御本殿のルートでお参り。

前日は雨模様だったが、一転して晴れ。これはこれでまた違う感じのお顔を拝見した感じ。何度でも訪れたい心地よさがありました。

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多分この鹿もまた来いよと言っている。