cafe de nimben

見たものと、読んだもの

クリストファー・ノーラン『インターステラー』(2014)

IMAXでぜひ見てください。絵がとてもすばらしい。
ハードSFとしてみたらちょっとひどいんだけど、絵とサスペンスの力でねじ伏せてある。

前提の知識として、ブラックホールものは知っていた方がいいとおもいます。たぶん知らないと、途中何を言っているのはわけがわからない。

ウラシマ効果事象の地平線裸の特異点運動の第三法則。いずれもwikipediaから。


(以下、ネタバレあり)





まとまったインフォグラフィック

見てみたかったシーンは三つ

1. "Do not go gentle into that good night"について

何度か出てくるのだけれど、もうちょっとなんとかしてほしかった。
最初に話すのは、マイケル・ケイン演じるブランド教授。
対称性から、成長したマーフが死の床にあるブランド教授に対して、「諦めているんじゃないよ!」という意味で、使うのだとおもっていたが。
そして、時の仮定を外して解き直す! できた! とおもったら、それを実現するための手段がないとして、絶望の淵に再び立つ、というのがよかったなあ。

2. マーフ another story

そもそもで言うと、"do not go gentle into that good night" は、クーパーを主人公としてみると、意味をなさないのだ。困難に立ち向かってはいるのだけれど、彼は壮年であり、老年でもないし、一度も諦めていないから。諦めた人間に対して、再び立ち上がらせるならば、この詩の意味はあるとおもう。このため、ぜひ、マーフィーを主人公にしたanother storyをつくるべきだろう。

3. エドモンド another story

もうひとつ、another storyをつくってほしいのは、エドモンドのお話。ぼくは彼は、たどり着いただけではなく、なんらかの方法で、テラフォーミングをして地中と同じ環境を作り上げたのだとおもっている。アメリアが来てくれることを信じて。その話を絵で見てみたい。

……ただ、後者のふたつは、絵的に面白いものにはなりそうにないので、つくっても資金回収できそうにないですな。


ファンタシー化してしょうがないなあとおもいながらという点

1. 重力の世界

5次元の世界を描けないのはしょうがない。だって映像は二次元だし。なぜマーフの部屋だったのかは、SFというよりファンタシーだからしょうがない、ということかな。重力だけが時間を超えられるとして、モールス信号だとどれくらいの期間でデータが送れるのかな。畑を焼かれたトムが邪魔をしないのはご愛敬だけど。

2. ニア・スターチャイルド

宇宙船はつぶれたのに、クーパーがブラックホールで死ななかったのも、ファンタシーだからしょうがない。私はあそこでクーパーがスターチャイルドになるものだとおもっていた。そしてクーパーが「彼ら」になるとおもっていた。ただ、最後にアメリアのところに行かせる必要があるなら、いちど幽体になったクーパーが、クーパーステーションに見つかるように三次元化されるのは、ファンタシーとしてありえる範疇かな、と。

細かく言うと他にも出てきそうだけど、まあ、そこはあまりつっこまないほうが幸せ。とにかく、絵とサスペンスの吸引力はすごいので、ぜひご覧ください。