IMAXでぜひ見てください。絵がとてもすばらしい。
ハードSFとしてみたらちょっとひどいんだけど、絵とサスペンスの力でねじ伏せてある。
前提の知識として、ブラックホールものは知っていた方がいいとおもいます。たぶん知らないと、途中何を言っているのはわけがわからない。
ウラシマ効果、事象の地平線、裸の特異点、運動の第三法則。いずれもwikipediaから。
(以下、ネタバレあり)
まとまったインフォグラフィック。
見てみたかったシーンは三つ
1. "Do not go gentle into that good night"について
何度か出てくるのだけれど、もうちょっとなんとかしてほしかった。最初に話すのは、マイケル・ケイン演じるブランド教授。
対称性から、成長したマーフが死の床にあるブランド教授に対して、「諦めているんじゃないよ!」という意味で、使うのだとおもっていたが。
そして、時の仮定を外して解き直す! できた! とおもったら、それを実現するための手段がないとして、絶望の淵に再び立つ、というのがよかったなあ。
2. マーフ another story
そもそもで言うと、"do not go gentle into that good night" は、クーパーを主人公としてみると、意味をなさないのだ。困難に立ち向かってはいるのだけれど、彼は壮年であり、老年でもないし、一度も諦めていないから。諦めた人間に対して、再び立ち上がらせるならば、この詩の意味はあるとおもう。このため、ぜひ、マーフィーを主人公にしたanother storyをつくるべきだろう。3. エドモンド another story
もうひとつ、another storyをつくってほしいのは、エドモンドのお話。ぼくは彼は、たどり着いただけではなく、なんらかの方法で、テラフォーミングをして地中と同じ環境を作り上げたのだとおもっている。アメリアが来てくれることを信じて。その話を絵で見てみたい。……ただ、後者のふたつは、絵的に面白いものにはなりそうにないので、つくっても資金回収できそうにないですな。
ファンタシー化してしょうがないなあとおもいながらという点
1. 重力の世界
5次元の世界を描けないのはしょうがない。だって映像は二次元だし。なぜマーフの部屋だったのかは、SFというよりファンタシーだからしょうがない、ということかな。重力だけが時間を超えられるとして、モールス信号だとどれくらいの期間でデータが送れるのかな。畑を焼かれたトムが邪魔をしないのはご愛敬だけど。2. ニア・スターチャイルド
宇宙船はつぶれたのに、クーパーがブラックホールで死ななかったのも、ファンタシーだからしょうがない。私はあそこでクーパーがスターチャイルドになるものだとおもっていた。そしてクーパーが「彼ら」になるとおもっていた。ただ、最後にアメリアのところに行かせる必要があるなら、いちど幽体になったクーパーが、クーパーステーションに見つかるように三次元化されるのは、ファンタシーとしてありえる範疇かな、と。細かく言うと他にも出てきそうだけど、まあ、そこはあまりつっこまないほうが幸せ。とにかく、絵とサスペンスの吸引力はすごいので、ぜひご覧ください。