伊坂幸太郎『グラスホッパー』

読んだことがなかったが、kindleで安く出ていたので。なるほど、人気な理由がわかる読みやすさ。

 

グラスホッパー 角川文庫

グラスホッパー 角川文庫

 
寺原、鈴木、鯨、蝉と押し屋という、殺したり殺させたりする人、復讐したい人、自殺させる人、殺す人の織りなすタペストリー。章ごとに一人称の主人公を変えて話を進める。
こういう殺し屋稼業があるのか、という新鮮な驚きと、生きているキャラクター。ハリウッドみたいにはならない感じが、現代日本エンタメなんだろうなという感じ。
 

ネタバレ

鈴木の動機の弱さが、良くも悪くも日本的といった部分。犯罪まがいに手を染め、自分の命がかかっているのに、危機感が不足している。これが駆動力の弱さにつながっているように思う。単純に各々が持つ生への欲望で押し通さないのはなぜか?
寺原はそういう意味で濃い。直接的には不在なのだが、悪としてラスボス的な恐怖を常に与えている。ま、こういうのを書くことは古いということなんだろうか。
表題にしているグラスホッパーの変異についても、多分説明過多になるとして削ったのだろうなと思わせる行間がある。
もしかして、いまの日本が嫌いなのかな。特に濃さという昭和の残滓的な何かが。
どうせなら、イナゴに全て食われてしまうバッドエンドが読みたかったかも。でもそしたら、それは花村萬月読んでおけばいいからねえ。
そこは好みの世界なんだろうな。