とある記事から、「トランザクティブメモリー」というものを知った。
とはいっても本稿は「トランザクティブメモリー」を解説するのではなく、その記事から、オリジナルをたどるという作業をしてみるという、変化球である。
なんで裏取りが必要かというと、引用は、引用者が恣意的におこなうものであるから、必ず主観が入り、無邪気にあるいは意図的に、元の文書の意味とはまったく違う意味が持たされることがあるからだ。
さて、例を。
1998年に米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のアンドレア・ホリングスヘッドが「ジャーナル・オブ・パーソナリティー・アンド・ソーシャル・サイコロジー」に発表した実験研究でも、 興味深い結果が出ています。
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せっかくオンラインだから、その論文にリンクを一つ張ってくだされば楽なのに、とおもいつつ。
まず、固有名詞がめんどくさい。「アンドレア・ホリングスヘッド」の綴りを調べる必要がある。
アンドレアは、イタリアに多い名前で Andrea でよかろうと察しがつく。
ホリングスヘッドというのは、初めてみる名前なのでよくわからない。
まずは、元の綴りをみるために、「ホリングスヘッド」で検索する。
写真家のひとが最初に引っかかるが "Hollingshead" だとわかる。
つぎは、"Andrea Hollinghead" で検索する。
そうすると、どうやらいまは、南カリフォルニア大に職をえているコミュニケーションの教授だということがわかる。
※論文を書いた当時に大学名「イリノイ大学」ではわからないのだ。
これで、Andrea Hollingshead ということで、あっているということがわかる。
Googleは、論文検索も充実していると聞くのだが、検索してみると、学会誌の販売ページにいってしまう。これではすぐに裏は取れない。
もういちど、南カリフォルニア大の師のサイトにいくと、実績が載っている。
引用のところにもういちど立ち返ると「1998年にジャーナル・オブ・パーソナリティー・アンド・ソーシャル・サイコロジー」というセリフがあるから、"Journal of personality and social psychology (1998)" というものが出ていないかどうかを調べる。
満たすのは
Hollingshead, A. B. (1998). Retrieval processes in transactive memory systems. Journal of Personality and Social Psychology, 74, 659-671. http://db.tt/PuDMHLJ
Hollingshead, A. B. (1998). Communication, learning and retrieval in transactive memory systems. Journal of Experimental Social Psychology, 34, 423-442. http://db.tt/WWsbM4Z
の二つ。どちらにも "transactive memory" とあるので、どちらも参照して、内容を確認する、ということになる。どちらにもハイパーリンクがはってあり、PDFで論文が読める。スキャンした感じなので、どうかなとおもったが、検索はきくようだ。これはすごい。昔のマイクロフィルム的な、実際に読まないとわからない系かとおもったが。
まー、グーグル先生がいなかったら、こんなに簡単には調べられないだろうなあ。
あと、地道に自分の論文をメンテしていないひとだったらわからなかった。