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見たものと、読んだもの

三部けい『僕だけがいない街』(1−7巻)

ループものなのだが、かなりの変化球で、とてもワクワクする。

僕だけがいない街 コミック 1-7巻セット

僕だけがいない街 コミック 1-7巻セット

 

 ここからもうネタバレ。

 

わたしのループものの基準は、ケン・グリムウッド『リプレイ』

リプレイ (新潮文庫)

リプレイ (新潮文庫)

 

 ひとつの時点にむかって時間が回り続け、それをどう克服するのか、というお話。

しかし、僕街の「リバイバル」はそういう「時点」が固定されていない。

犯人探しと状況解除でサスペンスを作っているのだが、主人公のルールをずらして状況がかわっていく。

が、たぶんそこは手法であって本質ではないのだろう。

悲劇は起こってはならないし、起こさずに済む手があるなら止める、という主人公の意思。それがただまっすぐにあるだけなら、昭和のヒーローの話なのだが、諸処起こる悲劇にあってもそこで諦めないところ、そしてそれを理解して助けようとするまわりのひと、という苦味をかみしめた上での意思というのが、本質なんだとおもう。

たぶんそれを描くための道具として「リバイバル」をつかっていて、そこがぶれないので作品と正対している感じがある。

キレイごと。そういってもいいかもしれないのだが、それを応援したい自分がいる。

犯人のひとの動機も、まるで書かないという選択肢もあったろうに、書いてあるので人間ドラマっぽくて、ぼくは好き。

7巻一気読みした。

まあ、ひとつ気になっているのは、冒頭に出てくる世界は、未来からもどってきた自分ではないといえるのかどうか、なんだけど。それもふくめて続刊が楽しみ。