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吉田秋生『BANANA FISH』

ぼくにとっての吉田秋生の最高傑作。

NY。LA。ベトナム帰還兵。麻薬。少年娼婦。ストリートキッズ。殺人。強姦。フレンチマフィアとチャイニーズマフィア。どれをとってもきらびやかなドラマになるものを詰め込んでいる。サスペンスとアクションでページを繰る手が止まらない系の一気読み確実なエンターテイメントとして読むのがいいとおもう。その実、芯にあるのは、愛に飢えた人間が、ついに愛を得る、ないしは得られずに苦しむという群像劇。

昔は表面しか読んでいなかったのだろう、なぜこれがレディースコミックとして描かれなければならなかったのかわからなかった。(月刊フラワーズ連載作品)

世界の政治情勢。自前で戦争ができなくなったアメリカ。麻薬戦争。バイオレンスアクション。『クライングフリーマン』あたりでやるのもよし、という感じだ。

でも、この作品は、トラウマを抱える愛に飢えた若者が、ついに自分の存在を肯定してくれるという愛を得るということこそに主眼があるので、レディースコミックである必要があったのだとおもう。少女漫画ではR指定のきそうな話題が多いので無理だし、「友情」とも「恋」ともちがう別の安らぎである愛情は少年漫画の範疇ではないし、青年漫画ではもっと勝利自体に得るものが偏ってしまうだろう。だからレディースコミックである必要があったのだとおもう。再読してやっとわかった。

今にしてみれば、ラオに一番同情してしまうかもなあ。

おっさんになってくると、なんで男性なのにBlancaなのかとか、コルシカのフランスマフィアなのに描き方がシシリアのイタリアンマフィアのステレオタイプなのはなぜかとか、なんで「ロマネコンティ」ではなく「ロマーニュ、コンティ」なのかとか、あえてなのかなんなのかよくわからない部分をみつけてしまうのが、ちょっと難点。読み流せばいいのか意図があったのが、ちょっとよくわからないにゃ。

ぼくのなかでは、『夜叉』と『イブの眠り』は、アッシュの影がありすぎて、ちょっと読みたくない作品。自然史博物館で、この物語はおわっていてほしいのだ。なので、悪い作品ではないとおもうのだが、忘れるに任せたいとおもっている。

あれしかないという終わり方だとおもうし、気に入っている。