庵野秀明『シン・ゴジラ』2016(2回目) / 2D@IMAX

IMAXで見た。

ぼくは、4DXよりもIMAXのほうが好みだった。

でかい画面でみるのがサイコー

画面の大きさは正義

画面が大きいことと、音の解像度の高さ(と大きさ)。

ただ、もとは一般のものを変えたタイプのIMAXだったので、スクリーンの大きさは巨大とはいえなかった。

縦20m級のスクリーンで観てみたい気がする。

映像はくっきり見えることと大きく見えることはとてもよかった。

しかし、プロジェクターの二枚だしのせいなのか、ちょっとHDRくさい感じもした。

でもなんといっても、馬鹿でかいゴジラが巨大スクリーンいっぱいに映るのは、よい。無条件にでかいのはえらい、という感じ。

音の解像度が高いのもよい、が、贅沢な要望も

音はちょっとデジタルな感じで、大きめ。デジタルの音って、解像度が細かいので、色々なものが聞こえるという意味ではいいのだけど、自然な音ではないので、そこに違和感がある。

山下達郎だったかな、デジタルで録音するのは難しく、とくにフェードアウトができない。デジタルだと音が小さくなるだけで、遠ざかるように聞こえない。アナログはマイクから音源を離せば、遠ざかるように聞こえる。という趣旨のことをいっていたような気がする。音が遠くで混じってしまう、というところで、うまくアナログちっくな演出ができるようになるといいのだが。

これは贅沢な悩みであることはわかっている。

しかし、初代ゴジラの伊福部の劇伴をつかったり、特撮博物館で行っていたようなアナログ特撮で街を壊すということをやっていて、アナログの良さ回帰というコンテキストがあったので、そこはもうちょっとアナログに振って欲しかったという希望。

持ってないけど、真空管アンプで鳴らしてみるといいのかもね。

言葉にするとむずかしいな。ほぼ絶賛の内容なんだけど、良すぎるためにこちらの要求がもっと上がってしまって、文章だけ見ると不満たらたらに見えてしまうのが。

結論的にいうと、「IMAX よかったです。ゴジラは巨大にみたいので、巨大スクリーンでみることを推奨!」ということなんだけど。

4DXとの比較。何に集中したいかと、こんなのやってくんないかな。

4DXでは、アトラクション的に椅子がうごいたり、風が吹いたりというのがおもしろいのだけど、画面に没頭できなかった。五感のうちの、視覚聴覚以外の情報を邪魔に感じたということだ。

逃げ惑うシーンでの当事者感覚は4DXのほうに軍配があがるので、4DX演出がもっと枯れていけばおもしろいのだとおもう。まだまだ黎明期の技術だなとおもう。また、職人的な技術でもあるとおもう。

このため、バレエの振付師みたいな感じで、過去作を4DX化する職人がでてきて映画館にかけてくれないかな。

たとえば、『インディジョーンズ』とか『ナイルの宝石』なんかは、4DX好適品だとおもうのだけど。

それからそれから、「鈴木版のシン・ゴジラの4DXよかったね」「いや、佐藤版のほうがぼくは好きだな」みたいな選択ができると、おもしろいんだけどな。

 

愛すべきキャラたち

エンドロールでは、撮影後のCGなどの処理が大変だったと見えて、キャストロールよりもスタッフロールのほうが詳細で長いという、芸能事務所が黙っていないんじゃないのというようなものだったが、キャラたちはとてもよかったですよ。

ここからはネタバレしかできないのでご注意。おまけにすごく長い。

大臣たち

最初は「ゴジラという誰も体験したことがない事件」に右往左往するおバカな年寄りとして描かれるため、真面目にやればやるほどバカが透ける、しかも後から、責任を取るのが仕事と腹をくくり始めるという、人間どの歳になっても成長するんだなという希望がもてる面々。

大杉漣の首相は、絵面が弘兼憲史の漫画をそのまま三次元にしたかのような感じで、映った瞬間からおかしい。最初は「あ、そう」とかお神輿のうえに担がれたおバカさん的に動くし、役人原稿を踏み外して墓穴を掘るし、とにかくいろんな人にいわれて動くひとという感じ。が、ゴジラに対する攻撃で、いちいち具申されたことに対して Yes と言っていたのが、「無制限の攻撃を許可します」と下命するところは、やらねばならないことをやるという成長をみた。ダメなひとがかっこよくなるのは、いい。

文部科学大臣手塚とおるのアテ書き感とか、中村育二演じる防災大臣のある種のテキトー感とか、余貴美子演じる防衛大臣のあくまでプラグマティックながらも政界で押し引きしてきた貫禄だとか。柄本明官房長官は、腰が低いのにある種強引に場をしきりそれにみんなが従うカリスマ感は、やはり彼ならではの凄みでしょう。柄本息子たちもいい役者になってきてますが、父親健在ですね(そういえば親子共演していないのかな)。みんなキャラが立っていてよい。

まあ、いちばん面白かったのは「しっぽ」発言なんですが。

一番かっこいいのは、平泉成@里見農水大臣。その「しっぽ」発言の時には外遊中(一番最初に字幕がでる)フランスへの裏工作などなど、細かいことがわからんおっさんは、きちんと責任をとるのが仕事という、若者が一番してほしい行動をとる。

 

巨災対(巨大不明生物災害対策本部)の面々

わたしも御多分に洩れず、尾頭ヒロミ市川実日子)@環境省と安田龍(高橋一生)@文科省が好きです。

市川実日子は、もともとモデルさんなんだけど、愛嬌があるという、クールもワームもいける稀有な女優さんで大好き。日本テレビの『すいか』というドラマで初見。翌年『キューティーハニー』で完全に名前を覚えた。ありゃもう40近いのか。でもずっと瑞々しい感じ。今回ほとんどノーメークの論理一辺倒のリケジョ的な役柄で、最後に新元素の半減期が20日前後とわかって除染に光が見えた時の微笑みに、胸ズッキュンでした。完全に庵野演出の思い通りにされている。

高橋一生は今回初めて名前を覚えた。オタク感と色気が絶妙な混じり方をしていていい雰囲気のひとですね。「そりゃ選択としてはありだけど、ふつう選ぶかよ」の絶望感のときは、完全に彼と同期しましたね。

塚本晋也が、俳優としてこんなに演技ができるひとだとおもっていなくてびっくり。クエンティン・タランティーノみたいなカメオ出演的な映画監督はしっているのだが、完全に脇ながら場を支配してるじゃないですか。しかし、この歳で准教授って、どんだけ冷や飯を食わされているんだこのひと。

そして、巨災対裏ボスの森文哉@厚労省演じる津田寛治。『フラジャイル』のお調子者で使えない(けど最後にちょっと意地を見せる)ボスをやっていたときの人畜無害感から一転、狂気をはらんだ目をして、ちょっとやさぐれている官僚。このひと医官だよね、きっと。矢口の演説後に固まっている面々を仕事にもどすとか、協調性なしの面々をきちんと仕切れる豪腕っぷりがすごい。役の振れ幅がすごくていいなあ。

若い政治家たち

矢口蘭堂って39歳なのね。演じる長谷川博己は「鈴木先生」で最初にみて、なんか中性的で色気あるけどちょっと爬虫類系であんまり好みではないなとおもっていた。が、それが若い二世(三世かもしれん)議員で、柄本官房長官の秘蔵っ子というポジションだと、政治家的得体のしれなさという面として、また色気は選挙を戦い抜く人たらしの証左として発揮されて、よかった。野望も才能もあるが、政治家としてまだ幼いというところで、超人ではないところも、主人公力が高い。最後の独白は必要かどうかは人によって評価はわかれるとおもうが、主人公が最後にスポットライトをあてられる舞台っぽい演出としてよかったんじゃないかとおもう。

石原さとみは、悪くないとおもうけど。日系人でないといけない理由も、特使である理由もキャラとしてよく練られているし。英語がよくないという話題はちょっとでていたが、ぼくはなんで日本語が流暢なのかというところに違和感があったけどな。3世だとたぶんもっと下手というかまったくしゃべれないくらいが、ぼくの経験値。なので、あれだけ日本語が話せるとすると、小さい頃からかなり意識的に勉強させられていたはず。とすると、タメ口よりも敬語の方が話しやすいのではないかとおもったり。まあ、そこは「アスカがデレた」的な演出としてみたほうがいいんだろうね。あと体型とかも日本人っぽいので、できれば長谷川博己よりも背が高いとか、そういうのがあれば、わたし的にはよかった。とはいえ、別のひとの方がよかったと妄想はできないほどに場は支配していて、さすがNHK大河ドラマ主演の貫禄。

一番の儲け役は、泉政調副会長でしょう。松尾諭、初めて知ったけどすごい。基本はアニメキャラっぽい感じで、「出世は男子の本懐」とかおいおい昭和かというツッコミをしたい愛すべきダサキャラ。のくせに「まずは君が落ち着け」と「幹事長なら任せておけ」はかっこいいにもほどがある。目頭が熱くなるだろ、ばかやろう。

自衛隊のひと

國村隼@財前統合幕僚長が士官組では一番好き。「礼はいりません、仕事ですから」は仕事人としての一番かっこいい矜持。

自衛隊のひとが出て来る前までは内閣で「それ、どの役所におっしゃってます?」的な縦割りをみていたので、陸空海の三軍が統合運用される様はかなりすかっとする。

現場ははやり安定のピエール瀧@西郷タバ作戦前線指揮官。電気ブルーブの瀧はしっていたが、役者としてはNHKドラマ版の『64』からのファン。絶対防衛戦を前線で司令するも敗れたあと「攻撃だけが花じゃない。住民避難」(うろおぼえ)に即時切り替えて仕事を全うする感最高である。しかし、樋口監督と組んで、初めて死ななかったんじゃないか?

 

まあ、書ききれないけど、なんかキャラ立ちと名言のオンパレードですね。外連味がすばらしい。