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見たものと、読んだもの

奈良国立博物館『特別展 快慶』

快慶は、すごく繊細な職人肌の仏師だと感じるようになった。

私が頭の中で「運慶快慶」とごっちゃにしている最大の理由は東大寺の南大門の仁王像。しかし、ほとんどが快慶のものを集めたもので見ると、快慶の像がくっきりしてきた。今わかっている快慶作の仏像の9割が集まるって、私の一生のうちでありえるのかどうかわからないくらいレアですね。

奈良国立博物館は初訪問だったが、奈良公園の中にあって風情があって良い。緑と美術館の組み合わせはいいですね。興福寺→奈良博物館→春日大社というレイライン素晴らしい。

わざわざ行った甲斐があったというものでした。

公式サイト

www.ytv.co.jp

展示品リスト

http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2017toku/kaikei/kaikei_ichiran.pdf

 

交通と宿泊

長距離移動と宿泊

東京→(のぞみ)→京都→(近鉄特急)→近鉄奈良

奈良はいろんなホテルがあっていいのだが、一番格が高いとされる奈良ホテルは改装中ということで、今回は贅沢はやめて、ビジネスホテルに泊まる。移動にも結構お金かかるので。

近距離移動

徒歩圏内

近鉄奈良駅の近くは、興福寺奈良公園奈良国立博物館東大寺春日大社と非常に近いので便利でした。東大寺の向こう側に正倉院があるので、そこらへんまでが徒歩範疇かな。JRの方が若干遠いくらいなので、奈良近鉄駅を強烈には押さないけれど。

なお、別記事にする予定ですが、興福寺は阿修羅さんが仮講堂で動態展示じゃないな東寺立体曼荼羅的展示されているので、ぜひご覧ください。前期は6月18日まで。後期は9月15日から11月19日まで。

www.kohfukuji.com

徒歩以外はバスかレンタサイクルか、人力車

私は歩くのが好きなので全然問題なかったけれど、あんまり歩くのはなあという場合は、バスが充実しているので、調べて動くのが良さそうです。県庁の前を通ることになるため、各種バスが充実しています。今は工事中ですが、県庁の隣にバスターミナルができるので、今後はおそらくもっと充実。

晴れていればレンタサイクルいいと思います。ネタとしては人力車が東大寺南大門のそばにたくさんいるので、それを使うのも乙かもしれません。

気分の上げ方

奈良公園の脇ないし中を通って行くと、テンションが上がります。

奈良公園を歩くので、鹿さんにはたくさん出会えます。鹿せんべいを持っていなければ、特に害はない。鹿せんべいを持っているときは、気をつけないと強奪されますから、看板に書いてある注意をよく守って鹿さんと戯れてくださいませ。

 

展示

奈良国立博物館の二階と一階を使っているのだけど、思ったほどは大きくはない感じ。 イメージだけだと九州国立博物館くらいなのかしら。東京、京都よりは明らかに小さい。東京新国立美術館の草間展より若干広いくらいかな。

チケットもぎってもらって、階段を上がって二階の入り口。

どどんと、赤膚の阿吽。かあっこいい! でテンションだだ上がり。

基本的に年代順に並んでいる。

仏僧としての位を持っていない「無位」時代、それから最初の位である「法橋」、最後に「法眼」という年代順に並んでいる。

無位時代:第1章「後白河院との出会い」2章「飛躍の舞台へ 東大寺再興」

無位時代のものが一番多い。また、無位時代のものが一番バラエティもある。 

後白河法皇坐像(5)、重源上人坐像(18)などの存命の人間。

地蔵菩薩、千手観音、金剛力士、四天王など、様々な仏。

まだスタイルというほどには固まっていない印象がある。力強かったり、繊細だったり、おそらく注文に合わせて器用に彫っていったのだろうという感じ。

 無位時代の第1章2章を見た後に、これが上映される

www.youtube.com

それまで、「無位」とか言われてもなんのことかよくわからなかったのだが、ざっと年表をおさらいできて、ありがたかった。

スタイル確立後の広がりの世界

大きさとしては人と同じくらいのもの。代表的なのは三尺阿弥陀(体高約90センチ)。布を上から被せているかのような繊細さで木を削っていく。

あとは不動明王が面白かった。何か抽象的な仏というよりも、これ誰かに似ているよねと言いたくなるような人間の顔面的なリアリティがある。

最終章である、第七章:阿弥陀様の追求が面白かった。阿弥陀様の着物に第三形態まであるんですね。特にたるみをつけていない第一形態。向かって左側がちょっとたるんでいる第二形態。左も右もちょっとたるんでいる第三形態。

こんなに短い時間で阿弥陀様を見るのは多分人生初で最後だろうという感じ。

なかなかにありがたい経験でございました。

最近はやりの写真コーナーはなかったので、それはちょっと残念。でもこれは古来からの普通だからしょうがないね。

これで、秋の東京国立博物館での運慶展が楽しみだ

PS: 快慶仏検

www.ytv.co.jp

PS2: 多分一番わかりやすい、快慶を見にいく理由 by 文化庁

「快慶のすべてがわかる。仏像ファン必見の展覧会」 - 文化財のトビラ - 文化庁広報誌 ぶんかる