何も特別展の快慶展だけが良い、というわけではない。地下を通っていける「なら仏像館」は飛鳥時代から鎌倉時代までの仏像が網羅されていて楽しいです。
前菜として、地下道で基礎を学ぶ
地下道には、レストランとミュージアムショップと、そして仏像についての概要説明がある。
作る材料何なのか、いつの時代の物にはどういう特徴があるのか、仏のグループってどうなっているのかなど、地下道の壁面いっぱいを使って、小学生でもわかるように書いてあって、とても参考になった。
- 悟りを開いたのが、如来。
- 悟りを開こうと頑張っているのが、菩薩。(観音は観音菩薩なのでこのグループ)
- 仏法で人を救うために怒った顔をして頑張っているのが、明王
- インドの神々でのちに仏教に帰依したのが、天部
ここら辺はもうちょっと深く勉強しないとよくわからないな。
密教の三輪身という考え方では、本来の姿が如来、仏法の守護者としての顔が菩薩、導き難い人間を憤怒の表情で導くのが明王として、同じものが三つのパターンで形を成すということのようなので。
となると、1−3のグループは同じもので、4だけ異質ということになる。
4番の天部は、宗教拡大にあたって色々と神様を飲み込んだ感じ。阿修羅もいる八部衆はもともとインド神話に登場する神々で仏教に帰依したもの。
というような基礎情報を得てから、拝観。
名品展 珠玉の仏たち
リストは上記。全部ではないが個別解説と画像が載っているので、詳細はそちらを参照されたし。これ、ずっと残っているといいんだけど。
気になった仏像
見ていて楽しかったのは、まずは、飛鳥時代の誕生釈迦仏立像。
「天上天下唯我独尊」のアレである。
10センチくらいの体高で、素朴でかわいい。ああ、お生まれになったのね! という愛らしさに溢れる。
また、第六室の如意輪観音坐像がよかった。なんとも言われぬ柔らかい形。
第七室の十一面観世音菩薩4体と、千手観音像2体というのも迫力でした。
部屋の中で圧倒されたのは第8室。
奈良国立博物館の工房で修理を終えた降三世明王坐像(大阪府、天野山金剛寺)が新国宝認定されて、展示されている。来年2018年の3月には金剛寺に戻されるみたいだから、ここで見るなら今がチャンス。
これ、かなり大きいんですよ。像の高さが230cm。極彩色だし。大迫力。快慶の弟子の行快の作ともわかったみたい。
このほかにも兜跋毘沙門天立像や、広目天、増長天と迫力の武人系が並ぶ。
特別展ほどは混んでいないので、じっくりと見ることができるので、超オススメです。