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見たものと、読んだもの

2017年に読んだ掘り出し物漫画5作

小説脳を取り戻す、でも書いたのだけれど、ビジネス本ばかり読んでいると、小説的なものって読むのが大変になる。使う脳が違うから。漫画もある程度そうなのだけど、テレビや映画を見ているので、リハビリはほとんどなくていいのが楽なところ。

読むのはもっぱら、Kindle for Mac月刊アフタヌーン。一部、紙でとっておきたいものだけ単行本。

その中で、昨年の掘り出し物を。いずれも連載中、未完である。

ユペチカ『サトコとナダ』 

イスラム女子 and 日本女子 at ルームシェア in USの大学 nowという、なかなか考えつかないシチュエーション。イスラム女子って身近にはいないので、生態がしれて面白い。お互いにいい影響を与え合っているようで、和みます。世界は広いね。

 

大童澄瞳『映像研には手を出すな!』

映像研には手を出すな! 1 (ビッグコミックス)

映像研には手を出すな! 1 (ビッグコミックス)

 

強みがみんなバラバラの高校一年生の女の子三人組が、 アニメを作るお話。

女子三人だけど、恋愛要素はなく、いかに「僕のかんがえた最強のアニメ」を作るかで没頭/暴走する様がとても面白いのだ。

漫画ならではの、現実から妄想へのスムースな移り変わりが素晴らしい。

アニメに限らず、何かを作るということに一生懸命な、ないしは一生懸命だったことのある方に、大おすすめ。

東條チカ『幼女戦記

題名で忌避していましたが、漫画の試し読み冊子を読んでみて、それが間違いだったと理解。タイミングよくアニメ版が始まった。それをNetflixでみた後で、コミック版に手を出した次第。(小説の原作は、文体のリズム感が合わなくて、手を出さないことにした)

戦車が走り、列車砲が唸り、「帝国」が宣戦を布告しているという第二次世界大戦ヨーロッパ戦線的な絵面で、幼女が空を飛び、こう独白する。

ーー何故わたしは戦争に参加しているんだ
いや そんなことよりも
何故
日本で会社員だったわたしが
幼女なんだ?

そこで、2013年の東京で、主人公の中身(?)である男性中年サラリーマンが大写しになる。

つかみはオッケーでしょう。

というところで誘引されるが、いやはや実はなかなかハードな軍記物。銀河英雄伝説皇国の守護者を合わせたような、といったら良いか。皇国の守護者のように未完ということが内容に原作者にはきちんと終わらせていただきたいなと思うのであった。

多分この本については、別稿で後で描く。

 

蛇蔵『決してマネしないでください』

マネなどしたくもないアレはどうやって見つかったのかを知る、科学史漫画。

クラークの第三法則に「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」とある。今では当たり前のことも、それが発見され実用化されるまでは魔法であったに違いない。それを見つける、地味なインディージョーンズの物語である(ちょっと盛りました)

近代外科の祖であるジョン・ハンターなんて、『ジギル博士とハイド氏』のモデルになるくらい正邪両方に振り切っていて「デタラメ人間の万国ビックリショー」を読むのだと思えば、非常に楽しい。

猪ノ谷言葉『ランウェイで笑って』 

えー、これ週刊少年誌なん? しかも連載デビュー作なの?

絵は少女漫画っぽい繊細さがあるのだが、それもそのはず、パリコレに出るために頑張る高校生男女のお話だ。雑では話にならないだろう。女性は身長は足りないがモデルとして、男性は学歴は足りないがファッションデザイナーとして、絶対無理じゃんというハードルを越えに行くという、王道の少年漫画だ。

 

 

以上、5作品。自分の好みからちょっとだけはみ出してみたいものがあれば、嬉しいのですが。