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見たものと、読んだもの

鹿島神宮 その2/2

常陸国一宮。ご祭神は武甕槌大神タケミカヅチノオオミカミ)。

香取神宮の経津主大神と一緒に、出雲の国譲りに終わる葦原中国*1の平定を成し遂げた武神。

 

境内

鹿島神宮の社域は70ha、東京ドーム15個分。といっても、奥宮から左右に、要石と御手洗池があるのを例外として、二の鳥居から本殿、奥宮まで一直線。

杉を主体とする林の中にあり、空気感は最高でした。 

一の鳥居

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駐車場のすぐそばでわかりやすい。白木。

前にあった石製のものは、平成23年/2011年の東日本大震災で倒壊。平成26年/2014年に境内の杉を材料に再建。

詳しくはこちらをどうぞ。

大鳥居再建 | 鹿島神宮

 

ちなみに平成25年/2013年に、大船津一之鳥居という朱色の鉄製の水中鳥居が完成。

潮来インターチェンジを降りたところで、ちょっと見えた。江戸時代、鹿島神宮へは日本橋からの水路で行くのが一般的だったということで、海側から入るのが自然だったんですね。面白い。

 

楼門

重要文化財

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お寺だと仁王様がいるところは、左右とも平安武官が弓を持ってお守り。

その裏は、杉の輪切りに、雷マークと太陽、月で、天照大神と月読さんのシンボルデザイン。徳川家繋がりのせいか、ちょっと東照宮みがある。

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※金網で見づらくて申し訳ない。楼門の武官の裏側。左が月読さん、右が天照大神さん。

杉の輪っか、稲妻が武甕槌大神、左の白丸が月(=月読さん)、右の赤丸が太陽(=天照大神さん)

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楼門の中央出入り口。朱雀さん、かっこいいです。

 

二郎杉

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巨木大好き。

 

高房社

楼門を入ってまっすぐちょっと左側。

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拝殿へのお参りは、まずはこちらにお参りした後で、という習わし。左奥は「仮殿」

現在奥宮になっている旧本殿から御霊を移し、旧本殿建物を奥宮に移設した時に「仮に」置かれたもの。仮殿ですが、移動はあったものの壊されておらず、そのまま残っているっていうのは面白いですね。

 

拝殿、本殿、御神木

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高房社で右に90度回頭すると、拝殿。その後ろが本殿、そして高さ40mにもなる御神木。香取神社は楼門からまっすぐ行くとそのまま拝殿だが、90度回頭するのは面白い。神様は、北への備えのために、北側を向いているという。

写真は、本殿の横から。よく見ると鳩よけの紐が垂れているのがわかる。

御神木は先ほどの二郎杉より先輩の模様。

 

1619年に、徳川第二代将軍家忠が寄進した。権現造。権現造の基準は東照宮だが、鹿島神宮で作ったものを洗練していって1636年に三代将軍家光が日光東照宮を作るというように続いているのではなかろうか。

東国の武の神なので、徳川将軍家の寵愛があっても全然不思議じゃない。実際、のちに触れる奥宮は、家忠が寄進する前の本殿で、家康が関ヶ原の戦い戦勝記念に寄進したものを移築したもの。とはいえ、鹿島神宮と徳川家のつながりの始まりがなんであったかは、ちょっと調べてもわからなかった。1590年に家康は秀吉に江戸に移封されるのだが、その時に武神である鹿島香取と縁を結んだというのが自然ではあるが。

のちに水戸藩もずっと鹿島神宮を寵愛している。

kashimashi.info

そこから真後ろに振り向いて、祈祷殿に向かう。こちらに朱印帳をお預けする。本殿と奥宮の二種類いただける。後で番号札を持って引き取るという洗練されたスタイル。

ここからは、奥宮まで一直線。左手にさざれ石、鹿園があるので、こちらもちょっと寄ると良いです。ここでも鹿は神鹿さん。

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森の感じが伝わるといいのだけれど。

奥宮

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武甕槌神の荒御魂を祀る。(本殿は、和御魂)

荒御魂なので、二拍手は音がしないように。

建物は元は本殿だった家康奉納の建物(1605)を、今の本殿になった時に移築(1619)したもの。煌びやかさはないが、その分、凄みを感じる。檜皮葺の屋根の緑も良い感じ。

 

 

本殿前側が長く、後ろがわが短い。

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奥宮の後ろの御神木。

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奥宮は、参道に対して正面を向いている。ここの横を通ると要石へ。

 

要石

こういう森の中を歩いて行く。靴は是非、歩きやすいものを。ピンヒールだと無理です。また、鹿が驚くので、犬はダメなエリアも結構あります。奈良公園では犬は見なかったなあ、そういえば。

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要石150m手前のレリーフ。おそらく安政地震の錦絵からデザインヒントを得てる

鹿島神宮要石(凹)

意外と小さい要石

要石の由緒

水戸光圀が要石を掘らせた伝説:

kashimashi.info

 

ここからまた180度向き直って、まっすぐ参道を突っ切って行きます、鹿島の七不思議の一つ、御手洗池。

 

御手洗池

御手洗全景。覆いかぶさるような巨木と緑の強さが印象的

ここで身を清め(=潔斎)してから昔はお参りしたそうです。が、その泉の透明度!

御手洗池。この透明度!

どれだけこの池の中に入っても、水位が乳を越えないという七不思議の一つ。

 

祈祷殿

タイミングがうまく合ったので、ご祈祷を受けました。30分おきに15分ほど開催されます。

祈祷殿の中に、拝殿のようなものが丸ごと室内に設えてあり、白木の香りがまだしていて気が引き締まる思いでした。2014年に今の祈祷殿が出来たばかりなので、かなり新しいのね。祈祷殿ができる前は、本殿でご祈祷していただけていたそう。それはそれで良いですね。

祈祷殿の中には、香取神宮と船で行き来する様子や、横綱土俵入り、羽生竜王戦のポスター、安政地震の錦絵など、ミニ博物館と化しておりました。綺麗なおトイレもあるので、立ち寄られると良いと思います。

 

おまけ: Google Street View 

なお、Google Street View でのバーチャルツアーはこちら。赤いちゃんちゃこみたいなのを着ておられるのは、ボランティアの説明の方です。

www.google.com

 

*1:しかし、「葦原中国」=「あしはらのなかつくに」という言い方って、指輪物語(ロード オブ ザ リング = Lord of the rings)の middle earth = 中つ国なので、指輪物語の翻訳者ってすごいですね。ファンタシーというより本当の神話のように翻訳しているってことだもの