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見たものと、読んだもの

平成映画個人的ランキング

平成も終わったので、個人的平成ランキング作ってみようと思ったら、結構大変だった。選べないよねぇ。毎年ベストテンとか発表している人ってすごいな。

 

平成映画(洋画は日本公開年)の個人的ノミネート作品

元年/1989:Die Hard/ダイハード

3年/1991:T2/ターミネーター2、The Silence of the lambs/ 羊たちの沈黙,

4年/1992:City slickers/シティ・スリッカーズ, 紅の豚

5年/1993:Unforgiven/許されざる者

6年/1994:Pulp Fiction/パルプ・フィクション,

7年/1995:Shawshank Redemption/ショーシャンクの空に, Leon/レオン, Smoke/スモーク、La Haine/憎しみ

8年/1996:Dead man walking/デッドマン・ウォーキング、Seven/セブン, Fargo/ファーゴ

10年/1998:Good Will Hunting/グッド・ウィル・ハンティング、Saving Private Ryan/プライベート・ライアン

11年/1999:The Thin Red Line/シン・レッド・ラインThe Matrix/マトリックスシリーズ, Shakespeare in Love/恋におちたシェイクスピア

13年/2001:Billy Elliot/リトル・ダンサー

14年/2002:The Lord of the Rings/ロード・オブ・ザ・リングシリーズ, ピンポン、Monsters, Inc/モンスターズ・インク

16年/2004:Love Actually/ ラブ・アクチュアリー

18年/2006:The Devil Wears Prada/プラダを着た悪魔

20年/2008:Dark Knight/ダークナイト, No country for Old man/ノーカントリー

23年/2011:The King's Speech/英国王のスピーチ,

24年/2012:Intouchables/最強のふたり

26年/2014:Gravity/ゼロ・グラビティ, Interstellar/インターステラー

27年/2015:Mad Max Fury Road/マッドマックス 怒りのデス・ロード、Still Alice/アリスのままで

28年/2016:シン・ゴジラこの世界の片隅に

29年/2017:La La Land/ ラ・ラ・ランド

 

ということでトップ10

 

第十位:Saving Private Ryan/プライベート・ライアン


SAVING PRIVATE RYAN Official Trailer (1998) Tom Hanks HD Movie | TrueMovies Trailer

完成度が高いですよね。という絵や音もすごいし、ドラマもすごい。

いきなり戦場に投げ込まれる。そう、あのノルマンディ。

前後左右からする銃撃の音。狩られるゾーンにいる無力な自分、バタバタと殺されていく同僚。血と鉄の暴風。生きているかどうかは、ただの運。

頼れる隊長トム・ハンクス。反抗するライアン、兄貴たちが死んだからと言って、なんで俺だけ帰れとか冗談じゃねぇ。そんな冗談に付き合って仲間が死ぬなか来たんだぜバカにすんのか、おぉ? そこで始まる、賭けの話。

 

スピルバーグ監督の、監督賞受賞スピーチ


Steven Spielberg Wins Best Directing: 1999 Oscars

第九位:Mad Max Fury Road/マッドマックス 怒りのデス・ロード


Mad Max: Fury Road - Official Main Trailer [HD]

V8! V8! という疾走感! 映像も彩度をあげまくってキラキラすぎるほど(モノクロ版見てないの。見たい)

文明がなくなった時代の描き方の荒唐無稽さというおとぎ話の上に成り立つ、"We are not things" という現代的な問い。みんなが自分が自分であることを当たり前として自尊し、その上で人に対しても敬意をを持つ関係性にたどり着くところ。ただの人であるWar Boysの哀しさ。

トム・ハーディーとシャーリーズ・セロンの間に徐々に育まれるバディ感がよかった。ラストシーンもあれしかないし。 

 

ジョージ・ミラー監督がGoogleで受けたインタビュー


George Miller: "Mad Max: Fury Road" | Talks at Google

第八位:Dark Knight/ダークナイト


Batman - The Dark Knight | The Joker Compilation (All Scenes)

ヒース・レジャーのジョーカーが全部持っていく感じ。ああ、生きていればなあ。

この映画は、ジョーカーの問いとバットマンの回答の映画だ。

ジョーカーの問いは、「今のこの世って、みんなが思っているほどは頑丈にできていないよ。特に善悪とかの境界は。どっちを選ぶ?」。いわゆる「トロッコ問題」を常に解かされている感じで不快で、不快なのは逆に正鵠を射ていると思っている部分があるからだというエグみが鋭い映画だった。正答は、たまたまこの映画のシーンでは出たが、いつダークサイドに墜ちても不思議はない。そういう意味で、墜ちた側であるトゥーフェイスの重みが哀しい。

前作の『バットマン・ビギンズ』は渡辺謙が出ていたけれど、なんかのっそりした感じだったが、なんか急に弾けた感じ。正直アクションシーンは何とかして欲しいけどw そういうネガティブさを上回るジョーカーの狂気の演出ですよ。

ダークナイトライジング』も悪くないが、どうしてもこいつのせいで、期待値が上がり過ぎてしまうから、惜しくもトップ10圏外に。 

 

オスカーの時には亡くなっているため、代理で家族が助演男優賞を受ける。


Heath Ledger Wins Supporting Actor: 2009 Oscars

第七位: Seven/セブン


Se7en (1995) Official Trailer - Brad Pitt, Morgan Freeman Movie HD

七つの大罪判じ物としながら、これも常識を問う映画。

犯罪なのにアートのようなデッサンでスタイリッシュ。異常なまでに描きこまれたディテール。私はこれでデビッド・フィンチャーを知りました。

明らかに晴れているのに、雨を降らして陰鬱に撮る。見せるものは全部クリアに、見なくていいものは画面の外、ないしはぼかして、という撮影の素晴らしさ。これは彼の監督の映画ではずっとそうなる。オープニングのなんとも異様な描き方は、大ブームになりました。何をやっても似てしまう物を一つ作ったというのも素晴らしい。

残念なのは、もう映画に出ることはなくなってしまうのか、ケビン・スペイシー 。『ユージュアルサスペクツ』も『ハウス・オブ・カード』もすごかったぞ。アホなことしたよなぁ。

朗報は、ブラピが映画プロデューサーとして優秀な人になるとは、この時点では思いもしなかった。

第六位:Leon/レオン


Leon: The Professional (1994) Trailer #1 | Movieclips Classic Trailers

 

ちなみにLéonは、完全版は好きではなく、あくまで公開版が好きです。ぎゅっと詰まった感じがいい。

 

ゲーリー・オールドマンの真似をよくした。悪役の存在感が大事という典型例。


Leon - Gary Oldman - Beethoven

 

音楽がいいんよね。最後のStingも含めて。


Sting Shaggy shape of my heart 2018

音楽担当のエリック・セラ / Éric Serraは、グラン・ブルー/Le Grand Bleu (1988), ニキータ/Nikita (1990), 本作Léon (1994) あたりの感じが好きです。 

 

Nikitaのレストランのシーン。
2:25からの音楽の入り方、それから2:50からのドラムの入り方のかっこよさ。


Restaurant Scene in Luc Besson's "Nikita"

 

 

ナタリー・ポートマンは、子役から大人の役者に、うまく育ちました。 

後年、Black Swanで主演女優賞を獲得した時のスピーチ


Natalie Portman winning Best Actress

第五位:Shawshank Redemption/ショーシャンクの空に


The Shawshank Redemption (1994) Official Trailer #1 - Morgan Freeman Movie HD

ティム・ロビンスの好演がひかるんですが、朴訥な銀行員をして、だからこそか、耐えることを知っていて、ひたすら耐えた後にカタルシスがあるという、気持ちの良さ。

この9年後、『ミスティック・リバー / Mystic River』(2003)でオスカー助演男優賞獲得。ああ、クリント・イーストウッド監督の作品をTop10に入れられないのは選ぶ上で辛かったな。『許されざる者』(1992)『ミリオンダラー・ベイビー』(2004) とかね。見るのにちょっと体力がいるので、気晴らしってわけにはいかないのが辛いところ。

モーガン・フリーマンは、『セブン』『ショーシャンクの空に』『ダークナイト』とTop10のうち3作品に出ているというw 私の好みなんでしょうね。


Morgan Freeman - The Shawshank Redemption -Montage rehabilitated prisoner - 40 years

釈放請求をつないだもの。最初のぜひ出所させてくださいで何十年も却下されたのちの……。諦めとも決意ともつかないこの表情と態度が素晴らしい。

 

ティム主演の『隣人は静かに笑う /Arlington Road』(1998)は名作なので、機会があればぜひ見て。今なら Netflix にあるよ。


Arlington Road Trailer

 

キングの『恐怖の四季』からの映画化。これ、全部映画になっているのね。(正確には冬はまだ)


Apt Pupil Trailer Remastered HD


"Stand By Me" Trailer (HD)

2020年に映画化の噂。

 

この中だと、スタンド・バイ・ミーが一番有名でしょうけど。 (ああ、リバー・フェニックス!)

 

第四位:Still Alice/アリスのままで 


Still Alice Official Trailer #1 (2015) - Julianne Moore, Kate Bosworth Drama HD

nimben.hatenablog.com

ジュリアン・ムーアのオスカー主演女優賞受賞スピーチ


Julianne Moore Winning Best Actress

 

今までのとは毛色がずいぶん違いますが、個人的に大変考えさせられたので。普通に考えたらこの順位じゃないでしょうけどね。

アリスは賢い人で、賢いからこそ見えてしまう未来の怖さを誰よりもわかり、それの対策をしながらも、どうしようもなく忘れていってしまうという、どうにもならなさのリアル。

これを当事者じみて考えるようになるってのは、老いですかな。

 

詳しくは、よろしければ、過去記事どうぞ。

nimben.hatenablog.com

 

 

第三位:Pulp Fiction/パルプ・フィクション


Pulp Fiction | Official Trailer (HD) - John Travolta, Uma Thurman, Samuel L. Jackson | MIRAMAX

初見、なんじゃこりゃ! という時系列バラバラ組み合わせ、本筋と関係あったりなかったりする無駄にかっこいい長ゼリフ。私は基本的には絵で見せる映画が好きなのだけど、こんなに言葉で戦う(しかも説明っぽくなく、きちんとキャラが話す感じになっている)映画ってあるのか、とびっくりし通し。

タイトルの通り、「安い小説」で、ここから学ぶ教訓など何もないんだけど、見ている瞬間は極上。エンターテイメントの「極上の暇つぶし」という最大級の褒め言葉を、この映画に。

 

サミュエル L ジャクソンも好き。

エゼキエル書のこれ、サウンドトラックにも入っている!


Ezekiel 25:17 - Pulp Fiction High Quality Full Scene

 

私はスパイク・リー監督作品を見てないので、サミュエル L ジャクソンの初期のキャリアはわからないのだが、タランティーノと組んでいる "True Romance"(1994),本作, "Kill Bill 2"(2004), "Django"(2012) あたりもいいし、思いっきり粗暴な『評決のとき』(1996)、思いっきり知的な『交渉人』(1998)もよかった。


The Negotiator 1998 Trailer HD | Samuel L. Jackson | Kevin Spacey

  

 

パルプフィクションオリジナル脚本賞をとった時の、タランティーノの受賞スピーチ


Pulp Fiction Wins Original Screenplay: 1995 Oscars

ええんか、こんなんでw

 

 

第二位:この世界の片隅に


映画『この世界の片隅に』予告編

これは故郷を描いたもの、につきます。「あの日」に到るまでの普通の人である「すず」さんの日常と、「あの日」で全てが変わってしまった日常。

 

監督インタビュー


映画 「この世界の片隅に」 監督・片渕須直 インタビュー (一部カット修正版)

 

nimben.hatenablog.com

 

第一位:Die Hard/ダイハード

魅力的な人間臭い主人公、強烈な悪役、特に伏線の回収の気持ちよさ!

流石に絵は古くさく感じるようになってしまいましたが、とにかく何も考えずに映画を楽しめるってのはいいです。


Die Hard - Official® Trailer [HD]

アラン・リックマンも、ジェームス繁田も亡くなってしまったな。

 

 

さらば、アムステルダム。本当に、アムステル川にダムがあるのか

アムステル川にダムがあるから、アムステルダム


【0655・2355】さらば、アムステルダム

 

↑ 埋め込みだと再生されないので、再生するときは直接YouTubeへどうぞ♪

 

本当かどうか行ってみた。流石に、アムステル川を全部歩くわけには行かないので、部分だけです。

 

「さらばアムステルダム」を歌いながら読んでいただけると嬉しいです。

 

 

ハイネケン体験

ここはビール好きなら是非。ハイネケンのビールがどうやって作られて来たかという歴史あり、ホップの匂いを嗅いだり、サーバーからの注ぎ方を習ったり、 ハイネケンがスポンサーしているサッカー選手などのユニフォームをみたり、楽しいです。ビールも飲めるし。説明は全部英語(オランダなのに)でも、多言語ヘッドセットを無料で借りれるので、問題なし。グッズも豊富です。

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ハイネケン体験

運河沿いに、東へ東へ。

アムステル川到着!

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橋から見て南側。アムステル川に、なぜか白鳥ボート発見。これって世界共通なのか?

 

橋を渡る。運河に比べるとかなり幅が広い。赤白のポールは、おそらく通行止の時用。

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ここから川沿いに北へ

川の水はそんなにきれいじゃない。運河も一緒。(インターコンチネンタルアムステルダムあたりから)

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川の船着場

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カレー王立劇場

王立劇場は、マチネの幕間かな?

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カレー王立劇場

マヘレのはね橋

はね橋も美しい。しかしいい天気だった

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エルミタージュ美術館アムステルダム別館

チューリップ祭りだったので、チューリップに彩られた

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川の突き当たりに、National Opera & Ballet

ここまでは比較的まっすぐ北なのだが、ここで川は西に曲がる

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国立オペラ&バレエ

www.operaballet.nl

 

角度も変われば、幅もぐっと狭くなります

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行き止まり

ここで行き止まり。暗渠になるのかどうかは不明。

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行き止まりの向こうは大きな地下鉄駅

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Rokin駅

脇には小さな運河。これは最終的に海につながります。

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ダム広場

「ダム」はダム広場という場所があり、最終的には王宮前となります

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ダム広場

 

 

 

 アムステルダムの地図

 

ハイネケン体験→運河沿いに真東へ→アムステル川→川沿いに北上→カレー王立劇場→エルミタージュ美術館アムステルダム別館→オペラ座→川の終わり→王宮

 

 

王宮 @アムステルダム

ダム広場に立つ王宮は、昔オランダ王家が住んでいた王宮とは言っても、現在はハーグ在住。このためアムステルダムの王宮は一般公開されている。

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The Central Hall of the Palace

一番の大広間、

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The central hall of the palace

入って真正面の上側には、地球を背負うアトラス

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アトラス

大理石の床には世界地図

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オランダから見た日本地図


部屋の数々

名画の数々がこんな感じで飾られていたのかなと思いを馳せる。

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その他

王宮からダム広場を眺める

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Treasury! @エルミタージュ美術館 アムステルダム別館

アムステル川の川ぞいに、クラーナハを発見

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Hermitage Amsterdam

クラーナハ、前に上野に来ていたのだが、見られなかったのだよなあと思っていると。

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Hermitage Amsterdam with Tulip

奇跡のように旗が絡まるという。(ちなみによく見ると、最初の写真の左側に旗が見えます)

エルミタージュ 美術館アムステルダム別館の開館10周年特別展  "Treasury!" をやっていたのだ。

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Treasury!

会場内は、白と金と木目というシンプルな三色で格調高い感じで良かったです。エルミタージュ美術館の本館も行ってみたいなあ。ルーブルと一緒であそこも宮殿。日本だと三の丸尚蔵館になるのかな、王族皇族の建物がそのまま美術館って。赤坂迎賓館は建物が芸術品だし美術品もあるのだけど、美術館という感じではないし。

 

"Treasury!"は、サンクトペテルブルクにある本館から全時代のものを割と満遍なく借りてくるという、ある意味「エルミタージュ 美術館の逸品展」的なオールスター展示でした。

ちなみにここも、バーコードを機械改札で見せて入る方式。荷物などもクロークへ。

 

First section: open-mindedness

いきなり最初にクラナッハ

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林檎の木の下の聖母子

Child Christ helds bread and apple in his hands. / Lucas Cranach ルカス・クラナッハ 1530年代。

2017年のエルミタージュ展で来日していたらしいのだが、私は今回が初見。幼子キリストの表情が可愛い。

 

ルーベンスの弟子のアンソニー・ヴァン・ダイク/Anthony van Dyck作品もあった。

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Portrait of Nicolaes Rockox/ Anthonie Van Dyck

という有名作もいいんですが、 帰国してから気づいたのだが、コンセプトは「比較」で、東西、新古いろんな角度での比較をしている。

エルミタージュ美術館が洋の東西のはざまにいたからこそのコンセプトだそうな。

例えば。

 

ルーブルにあるレオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ / Monna Lisa』は有名ですが(流石にこれは来ていませんが)

Mona Lisa.jpg
By レオナルド・ダ・ヴィンチ - Musée du Louvre, パブリック・ドメイン, Link

 

弟子のサライ/Salaìことジャン・ジャコモ・カプロッティ/Gian Giacomo Caprottiが描いた模写とされるものがありました。 

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Donna Nuda

そのほかにも、肖像画比較や

 

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高貴な方の肖像画の比較

笑ったのが

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これ、美しいんですが、解説文に「濡れTシャツグラビアの原点」的なことが書いてあったこと。そう言われるとそうにしか見えないじゃないか! キューレーターの一言って怖い。

 

歩き回っていて疲れていたのですが、楽しかったです。 

 

 

ファンゴッホ美術館で彼の絵の流れを知る

ファンゴッホ美術館は、アムステルダム国立美術館の隣にある。

正確にいうと、間にMOCO美術館がある。

www.vangoghmuseum.nl

 

 

チケット

チケットの購入はオンラインでのみ可能で、直接現地に行っても買えません。また、レンブラント特別展と同じく、どのタイムスロットで入るかも予約します。

自分がチケットを取った時は、アムステルダム国立美術館よりもファンゴッホ美術館の方が埋まっていました。なので「このためだけにアムステルダムに行く」くらいの心算の方が良いかもしれません。

価格は25ユーロなので、アムステルダム国立美術館よりちょっと高い。それだけ人気があるってことでしょうね。特別展は同じチケットで入れます。

 

建物

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ファンゴッホ美術館

ちなみに別館は、黒川紀章設計。曲線が特徴的な建物で、特別展に使われます。本館と別館は地下で繋がっていて、繋がっているところは、お土産やさんです。

なお、このお土産屋さんは、めちゃくちゃ物欲をそそるので、お覚悟。

 

外に並び、バーコードがあるチケットをリーダーに通して、一旦地下一階へ降ります。

そこから0階、1階と階を上がるようにできています。

フロアプランはこちらからダウンロード可能なので、事前に見ておくと良いかもしれません。

https://www.vangoghmuseum.nl/en/plan-your-visit/floor-plan

0階は、自画像と年表、つまり全体像を簡単に見せるところと、希望があればオーディオガイドを借りられるところ。

本格的な展示は1階から。

同世代で交流があったシニャックやスーラと同じモチーフで描いた絵が並べられていたりすると、まだファンゴッホがファンゴッホになっていない時代の凡庸さがよくわかる。

 

Painting by Georges Seurat, 1883 - 1884

De Seine bij Courbevoie - s0489S1998 - Van Gogh Museum.jpg
By {{Creator:}} - Van Gogh Museum, Public Domain, Link

 

ファンゴッホ自体、いろんな作家と交友があり、その関係図もありました。上記スーラの絵のように近しい人の作品も収蔵展示されているので、立体的に理解しやすいかと。

あと、必ずでてくる弟のテオの話とか。

 

私見では1887年から画風がファンゴッホになってくる。厚く力強い塗り方、実際の色にとらわれない色。

自画像 1886年

Zelfportret met vilthoed - s0162V1962 - Van Gogh Museum.jpg
By Vincent van Gogh - Van Gogh Museum, Public Domain, Link

まだよくある油絵って感じですが。

自画像 パリ 1887年

Vincent van Gogh - Zelfportret - Google Art Project.jpg
By Vincent van Gogh - NAGCV0l1eJoL7A at Google Cultural Institute, zoom level maximum, Public Domain, Link

ファンゴッホっぽくなってきた!

花咲く梅の果樹園(広重の模写) パリ 1887年

これも飾ってあった。初めて見たが、浮世絵の平面的なものとは違い、塗り方もあって遠近感がすごかった。

Vincent van Gogh - Bloeiende pruimenboomgaard- naar Hiroshige - Google Art Project.jpg
By Vincent van Gogh - 2wF6nM1fOWEp8Q at Google Cultural Institute, zoom level maximum, Public Domain, Link 

オリジナルの広重:名所江戸百景 亀戸梅屋敷 1857年

Ando Hiroshige - Plum Garden, Kameido - Google Art Project.jpg
By Ando Hiroshige - PAFEe4QeeBnqpw at Google Cultural Institute, zoom level maximum, Public Domain, Link

これを見ると、模写というよりも別作品ですね。

 

種まく人 アルル 1888年 

De zaaier - s0029V1962 - Van Gogh Museum.jpg
By Vincent van Gogh - Van Gogh Museum, Public Domain, Link

 

これはビュールレコレクションで見たやつだ。と思ったら、ほぼ同じアングルでタッチなど違いますね。 

nimben.hatenablog.com

 

『種まく人』1850年。模写の元になったらミレーのもの

Jean-François Millet - The Sower - Google Art Project.jpg
By ジャン=フランソワ・ミレー - LgE5YAcQ5OqmZA at Google Cultural Institute maximum zoom level, パブリック・ドメイン, Link

1888年の12月に有名な耳削ぎがあります。

当時の様子を日付順に克明に表したコーナーもありました。

 

ひまわり アルル 1889年

Vincent van Gogh - Zonnebloemen - Google Art Project.jpg
By Vincent van Gogh - hwEGmsM-FoHAwA at Google Cultural Institute, zoom level maximum, Public Domain, Link

これは説明不要なひまわり。黄色という色とタッチの猛々しさと静謐さが同時に来る感じ。動いていると思えば激しく動いているし、静かだと思えば静かに佇む。見るものの心によって見方が変わってしまう、なんともいえない作品。 

 

花咲くアーモンド サンレミ 1890年

Vincent van Gogh - Almond blossom - Google Art Project.jpg
By Vincent van Gogh - dAFXSL9sZ1ulDw at Google Cultural Institute maximum zoom level, Public Domain, Link

個人的には、ファンゴッホらしくないけどらしいという変な思いで見ていた作品。

ひたすらに静謐で、短調の美しい小品という感じ(絵自体はけっこう大きい)

花びらの表現の大胆さと細やかさ。背景色の美しさが合間って、なんどもなんども見返してしまいました。

カラスの群れ飛ぶ麦畑 オーヴェール・シュル・オワーズ 1890年

Vincent van Gogh (1853-1890) - Wheat Field with Crows (1890).jpg
By Vincent van Gogh - http://www.southern.net/wm/paint/auth/gogh/fields/gogh.threatening-skies.jpg Source description: http://www.southern.net/wm/paint/auth/gogh/fields/, Public Domain, Link

これも面白い作品で、遠くから見ると静かな麦畑風景。田園の豊かな自然という感じ。

近づくとタッチの荒々しさとカラスがなんとも不穏な感じ。なんとでも見える多面性。

 

ファンゴッホの絵は、なんとなく名前ですごーいと思っていても今ひとつ理解しづらいところがありました。しかし、年代別に並べて変化を見ていくと、その良さというか、辛さというか、悲しさというか、祈りというか、情熱というか、いろんな強い感情が混じり合ってそれが絵に出てきているんだという感じを持ちました。情に訴えかけるというか。

ファンゴッホだけまとめて見ると、そういうところがわかるというか、その不思議さを強く知ることができて、とてもよかったです。

 

おまけ 

著名作品だとあと、Starry Nightを見たいところです。MoMAか。

The Starry Night 1889

Vincent van Gogh: The Starry Night
By Vincent van Gogh - bgEuwDxel93-Pg at Google Cultural Institute, zoom level maximum, Public Domain, Link

 

MoMAの公式で、どうやってファンゴッホがこれを描いたのか解説しているので貼っておきます。 


How artists capture environments | Modern Art & Ideas