cafe de nimben

見たものと、読んだもの

幻の源氏物語絵巻 @京都国立博物館 と野宮神社

源氏物語絵巻、いやーカッコ良かった。

源氏物語絵巻 葵
伝土佐光起筆
六巻のうち、巻一、巻二、巻三

 

絵部分と文字部分が交互に書かれている。

巻物の地の金色が、まずキレイ。

絵は繊細な平安風で、文字は金の細やかな模様が入っている。 

Tale of Genji, Warbler's First Song (Hatsune), Tosa Mitsunobu painter, Son'o Jugo calligrapher, Japan, Muromachi period, c. 1509 AD, paper - Arthur M. Sackler Museum, Harvard University - DSC01144Tale of Genji, Warbler's First Song (Hatsune), Tosa Mitsunobu painter, Son'o Jugo calligrapher, Japan, Muromachi period, c. 1509 AD, paper - Arthur M. Sackler Museum, Harvard University

ハーバード大学所蔵版なので、違う版。ただし絵の感じは似ている。

文字のところの感じは全く違うのだが。

 

葵なので、六条御息所の生き霊の話。

あんなに気高い六条御息所が、無意識に生き霊になってという、涙無くして語れない物語。

それが金色で描かれるがこそ、そこはかとなく悲しい。 

 

https://www.kyohaku.go.jp/jp/theme/floor2_1/2F-1_20200102.html

 

その後、野宮神社へ。

源氏物語第十帖『賢木』にも綴られる物語。六条御息所が娘(のちの秋好中宮)と共に伊勢神宮へ下るお話。伊勢神宮に行く前に1年間、身を清めるのがこちらの野宮神社

野の宮は簡単な小柴垣こしばがきを大垣にして連ねた質素な構えである。丸木の鳥居などはさすがに神々こうごうしくて、なんとなく神の奉仕者以外の者を恥ずかしく思わせた。

与謝野晶子

 

確かにそんなに大きくない神社だった。キレイな竹林に囲まれていて、美しい。

鳥居が特徴的で、黒木鳥居と言って樹皮を剥かない鳥居

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野宮じゅうたん苔f:id:nimben:20200127122107j:plain

 ビロードのように美しい。うっとり。

 

恋愛のパワースポットとして有名なようで、海外の方が日本人より遥かに多かった。

みんな恋愛スポット好きやねんな。

特集展示 神像と獅子・狛犬 @京都国立博物館

獅子はライオンですが、狛犬は英語でなんというでしょう?

Lion Dogなんだそうで。

こっちが狛犬仁和寺

Ninnaji Kyoto33s4592.jpg
663highland - 663highland, CC 表示 2.5, リンクによる

 

こっちは獅子。

Ninnaji Kyoto34s4592.jpg
663highland - 663highland, CC 表示 2.5, リンクによる

 

狛犬が右でツノあり吽形、獅子が左でツノなし阿形、というペアであることが多いと。

というわかりやすい説明付きの展示でした。

 

7ペア(うち重要文化財が6ペア)の獅子狛犬を360度展示で見ることができて楽しかったです。

ライオンのタテガミのように顔あたりは迫力があるが、背中から見ると背骨や肋が浮いている感じのが多かった。尻尾は実態というよりも炎を表しているのかなという感じ。

 

https://www.kyohaku.go.jp/jp/theme/floor1_2/1F-1_20200102.html

過去記事を編集中

はてなhttps対応に伴い、過去記事へのリンクがhttpの物は軒並み見えなくなっているので、気がついたら編集更新します。

後、美術館の特設サイトは、やはりすぐに消えてしまうようなので、気がついたら張り替えるようにします。

たまに、自分の記事を読み直すと、こう言うのに気がつけていいね。

新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」2020

新国立劇場バレエ団を久々に。

今年、吉田都が芸術監督になり、最初の作品が10月のピーター・ライト版『白鳥の湖』のようだが、どう変わるのかな。

 

新国立劇場バレエ団は、背格好の揃った手足の長いダンサーが踊っているので、とても見栄えが良い。華奢すぎないか、とは思うこともあるけど。


新国立劇場バレエ団「レ・シルフィード」リハーサル映像

 

演目は以下の4つ。

「セレナーデ」
「ライモンダ」より パ・ド・ドゥ
「海賊」より パ・ド・ドゥ
「DGV©」(日本初演)

 

ローザンヌの印象がどうしても強い「ライモンダ」「海賊」なのだが、奨学金狙いの若者が踊るのと、プリンシパルが踊るのとでは随分と違う物だと感じた。同じ振りなのにねえ、プロの技だねぇ。

 

今回の一番面白かったのは日本初演の「DGV」。映画『ピアノレッスン』『仕立て屋の恋』などで有名な、マイケル・ナイマンの以下の曲に合わせて振り付けられたモダン。


'MGV 1st Region' by Michael Nyman

 

音楽の軽快さと、ダンサーの動きが絶妙にシンクロしていてよかった。

 

www.nntt.jac.go.jp

www.nntt.jac.go.jp

 

NHKで、2020年2月17日0:00(16日24:00) に放送するらしいので、ご興味あれば

www.nntt.jac.go.jp

イズマイル・バリー「みえないかかわり」@銀座メゾンエルメス フォーラム

今年初めての美術館巡りは、銀座メゾンエルメスだった。イズマイル・バリー「みえないかかわり」展の最終日に駆け込み。

 

www.hermes.com

 

銀座メゾンエルメスは、レンゾ・ピアノが設計し、2001年にオープンした。

2018年に隣接するソニービルが解体されたので、数寄屋橋交差点からも見ることができる。美しいガラスのビルだ。なんとなく中銀カプセルタワーを感じる。特に夜がいい。エルメスオレンジに近い色の色温度の低い照明が外に溢れる様は、ランドマークとしても気持ちがいい。

とはいえ、ハイブランドの基幹店なので、入るのには緊張する。

一階のスカーフと香水の売り場の奥に、エレベータがあるので8階に。

降りると、奥に誘導される。

以前は特に誘導はなかったがと思ったが、その理由はあとでわかる。

最初の展示は、"Apparation"ビデオ作品。下から強い白い光が当たっている白い板。背面から指を動かすとそれが影になり、上から投射されている写真が浮かび上がる。指に隠れていない部分は白い光で飛ばされ、表示されない。白い影。指の動きで、見える場所が変わる。手法をまねることはおそらくそんなに難しくないが、そこにどういう意図を乗せて行くのかは、頭を捻らないと難しい。あとで分かったが、作者が選択した絵は、チュニジア独立記念日。エモい写真とそのエモさへの接続は現代美術っぽくある。

そのあとは、暗室のような部屋で、影をモチーフにした作品群を見る。学芸員さんから教えてもらったが、ピンを壁に挿して、その影で一本の曲線を作るとか、砂の上の足跡のような物だとか、心の中のBGMを全部消して、静謐な中で五感を研ぎ澄まして対峙してみないと見えない何かが展開される。

外に出ると、暗室側の逆が示される。メゾンエルメスが取り込む外光に満たされた部屋から、暗室に零れる揺れる光が、内側の作品と共鳴しているという謎解きがなされる。確かに先にこちらに来ていたら効果半減だわ。誘導賢い。

 

作者による解題など


Ginza Maison Hermès Le Forum – Ismaïl Bahri