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見たものと、読んだもの

2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

羽海野チカ『三月のライオン』

海の地下って、どれだけネガティブなところまで地球を掘り進んでいくのだろう。 そして地上に出て、ふっくらした厚い食パンに一生懸命探した四葉のクローバーとたぶんちょっとザラメっぽくなっているハチミツをつけて、愛だ恋だという意味ではなく好きな相手…

児玉哲彦『人工知能は私たちを滅ぼすのか』ダイヤモンド社2016

人工知能について歴史を踏まえて俯瞰するのによい作品。 キリスト教的なものを補助線としてストーリー展開をするので、オカルティックに感じる向きもあるかもしれない。そこは筆者も自覚があるようなので、暴走しないように冷静に抑えた感じになっている。た…

『亜人』の制作と、その配信からみる、ビジュアルコンテンツ配信の未来ってどうなるの?

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亜人:第11話からオリジネル展開へ 『亜人』は、ほぼ原作通りに10話までは進んでいたが、11話でオリジナル展開に入った。 アレでグランド製薬にテロを仕掛けるのが厳しいということになったのかしら? というゲスの勘ぐり。 これが良い改変なのかどうかは12…

三浦大輔『愛の渦』2014

ゲスいものを俯瞰的にスケッチすると何かが見えるような気がする。でもそれはやはり、その人のものであって、安易な一般化はゆるされない。 SEXをしに行くという、あからさまな話だからこそ。 第50回岸田國士戯曲賞(2006年)を受賞した一夜の乱交サークルでの…

JJエイブラムス『スターウォーズ フォースの覚醒』2015

初の4DX鑑賞。なので、映画の話と、4DXの話に分けて書く。 映画の話 悪くないが、SWには予想をいい方に裏切るということを期待するので、元々のハードルが高いからということもあり、ちょっと残念感があった。 Star Wars: The Force Awakens Trailer (Offici…

石井裕也『舟を編む』2013

地味な良作って感じの映画だった。 惹句が「マジメって、面白い。」だったのだが、実は地味で真面目な人を小馬鹿にする系なのかなと、公開当時にちょっとビビっていて未見だったのだが、よい方向に外れた。 舟を編む 発売日: 2013/11/26 メディア: Amazonビ…

落合陽一『魔法の世紀』PLANETS/2015

たまにこういう本を読まないとダメだなあ、と感じた。 学者、アーティストの視座からの展望なので、日頃いるビジネスレベルよりも遠いところを見ているから、とても面白い。 魔法の世紀 作者: 落合陽一 出版社/メーカー: PLANETS 発売日: 2015/11/30 メディ…

ドラマ『わたしを離さないで』最終話

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最終話。 恭子のもとに提供のお知らせが来ないのは何故なのだろう。提供の輪廻の中から逃れられない閉塞感の中で何かが紡がれ続けることが主題だったと思うのだが。何故か輪廻の輪から解脱するのであれば、その意味を描いて欲しかった。 そう、僕はこれを輪…

ドラマ『フラジャイル』最終回

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んー、以下の感想は、こうるさい原作ラバー的な重箱の隅つつきになっているような気がする。 でも、できれば原作読んでみてください、特にこのアミノ製薬編の丁寧な描写の積み重ねがよいので。 [まとめ買い] フラジャイル 病理医岸京一郎の所見(アフタヌー…

吉田秋生『BANANA FISH』

ぼくにとっての吉田秋生の最高傑作。 NY。LA。ベトナム帰還兵。麻薬。少年娼婦。ストリートキッズ。殺人。強姦。フレンチマフィアとチャイニーズマフィア。どれをとってもきらびやかなドラマになるものを詰め込んでいる。サスペンスとアクションでページを繰…

W.H. Auden"Twelve Songs"

「立ちあがってたたみなさい君の悲嘆の地図を」 『海街Diary』6巻の『地図にない場所』編で、糸さんがいうセリフ。 海街diary 6 四月になれば彼女は (flowers コミックス) 作者: 吉田秋生 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2014/10/20 メディア: Kindle版 …

吉田秋生『海街Diary』第1−7巻

第7巻が出てきたので既刊も含めて一気読みした。 『海街Diary』って、落語なんだよね、「人の業を肯定する」という意味で。 海街diary 7 あの日の青空 (フラワーコミックス) 作者: 吉田秋生 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2016/01/08 メディア: コミック…

デジタルコミックの可能性のひとつ、サントリー鏡月の場合

浅野いにお、おもしろい! 基本デザインは一緒だが、とある工夫をすることで、読み込む度に内容が変わって見えるという手法。数パターンあります。 ご一読あれ。 (注:2020年12月、確認したらサイトがなくなっていた) 浦沢直樹が、キャラに演技をつける時は…

ドラマ『わたしを離さないで』第8-9話

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第8話 美和が最後いいひとになるのは、ちょっとなんだかイヤだった。イヤなひとのまま死んでくれたほうがリアルなのかな、なんて。いやいや、やったことはやったことなんだから、苦しめとおもいたかったのかもしれない。だったら、自分はイヤなやつだなあ。 …

浦沢直樹『漫勉』シーズン2

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NHK公式のトップページの一覧性がぼくごのみでないので、他のリンクも含めて自分用まとめ。 シーズン0 www.nhk.or.jp (かわぐちかいじ回は未見) www.nhk.or.jp 参考:脳梗塞を得た話 www.moae.jp シーズン0のtwitterでの反響 togetter.com シーズン1 www.n…

ドラマ『フラジャイル』第9話(アミノ製薬編前編)

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ああ、アミノ製薬編を2話の前後編にするために、今までを伏線としてつかっていたということか。森井くんの件は原作ではアミノ編とはあんまり関係がないのだけど、より効果的な連携へと改変されている。宮崎先生の幼なじみというのも、キャラクターを減らす…

二次元がいいか、三次元がいいか

『鑑定人と顔のない依頼者』のヴァージルの収集とかで、二次元を愛でるのってなんであんなに忌避されるんだろうか? いやね、『鑑定人と顔のない依頼者』のことを書くのにちょこまか資料を漁っていたら、ヴァージルは三次元の女に興味がなく、二次元の絵画の…

グザヴィエ・ジャノリ『偉大なるマルグリット』2015

実話から着想されたフィクション。1920年代フランス。大金持ちの貴族のマダム、マルグリットが慈善のサロンコンサートをトリを務めるシーンから始まる。 誰もがみんな知っている、しかし歌っている本人だけは知らない。彼女が音痴だということを。 www.youtu…

METAFIVE "Meta"

高橋幸宏 小山田圭吾 砂原良徳 TOWA TEI ゴンドウトモヒコ LEO今井 テクノポップ、っすね。YMOのユキヒロさん、Flippers Guitarの小山田圭吾、電気グルーブのまりん、"Love romantic" のTEI TOWAという感じでけっこう知っているひともうすく知っているひとも…

ジュゼッペ・トルナトーレ『鑑定士と顔のない依頼人』2013

『ニューシネマパラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督作品。 先入観なくみるにはそろそろ良い時期ではなかろうか。 見た人と語り合いたい映画のひとつです。 私は最後はハッピーエンドだとおもっている派です。 映画『鑑定士と顔のない依頼人』予告編 …

2016年第88回アカデミー賞まとめ

自分用まとめ 受賞数降順。受賞数同数の時はノミネート数降順。 視界に入っていなかったのだけど楽しみなのは、ex machinaですね。 マッドマックス 怒りのデス・ロード(6受賞/10ノミネート) Oscars: ‘Mad Max: Fury Road’ Crew on What Led to Its Bel…

高野秀行・清水克行『世界の辺境とハードボイルド室町時代』2015/集英社インターナショナル

本を読んで、目からウロコが落ちることが楽しい人と、自分が言っていることが正しいことを証明してくれるのが楽しい人と二種類あるとおもう。前者派の私にはたまらない。 世界の辺境とハードボイルド室町時代 作者: 高野秀行,清水克行 出版社/メーカー: 集英…

前野隆司『無意識の整え方』2016/ワニ・ブックス

整うかどうかは別として、無意識と常に関わりあっている人がどう考えているのかが抽出されている対談本として読んだ。 人生が変わる! 無意識の整え方 - 身体も心も運命もなぜかうまく動きだす30の習慣 - (ワニプラス) 作者: 前野隆司 出版社/メーカー: ワニ…

ギレルモ・デル・トロ『パシフィック・リム』2013

怪獣映画を金かけて作りました。単純に面白かった! 映画『パシフィック・リム』日本限定版予告編 この映画の脚本演出のコンセプトって、 見せたいアクションシーンがあって、それのかっこよさを絵で追求すること アクションシーンがうまく繋がるようにスト…

ドラマ『フラジャイル』第8話

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ついにオリジナル展開きた! しかも、予告を見ると9話からアミノ製薬編やるんじゃん。しかも、そこにうまくはめるような伏線回にもなっている。 こーきたかー!(嬉) しかし現場で士気高く10割を目指すのと、マネジメントで10割を担保するシステムを作るのは…

「リアル」が見つからない検索順位への不満は、Googleへの最後通牒か?

けっこう衝撃な発言なんですよね www.huffingtonpost.jp かつてはGoogleはインターネットの輝く未来の象徴だった。 様々な検索エンジンが乱立しているころ、直近の情報まで網羅し、探したいものが検索の上位にきていた。 それは、たくさんのひとからリンクを…

ベン・アフレック『アルゴ』2012

事実に基づいた映画とはいえ、『スティング』のようなコンゲーム的なものを予想していたが、裏切られた。でも、いい方に。 第85回オスカーの、作品賞、脚色賞、編集賞の三冠。 映画『アルゴ』予告編 イラン革命で逃げ出した在イランのアメリカ大使館員6名を…

ドラマ『わたしを離さないで』第7話

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小説を書く時のコツとして、「異常な枠組みのなかで普通の人を書く」か「普通の枠組みのなかで異常な人を書く」かどちらか、というお話がある。 普通の枠組みのなかで普通の人を書いても、普通すぎて誰も手にとらない。 異常な枠組みの中で異常な人を書いた…

エリック・シュミット他『How Google Works』2014

「こんな風にGoogleはやってる」とも「こんな風にGoogleはうまくいっている」解釈できるタイトル。実は今ひとつピンとこなかった。2014年の出版。もっと古びているかと思ったら、そうでもなかった。 How Google Works 作者: エリック・シュミット,ジョナサン…

ドラマ『フラジャイル』第7話

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志賀廣太郎、よかったわあ。 『ハゲタカ』の時から好きな役者さん。声が渋いのがええわあ。 allabout.co.jp 話としては、これ1話で終わらせるのか、というのがありました。いいお話なので、原作をどうぞ。 予告を見ると、原作だと最新話近くのエピソードまで…