cafe de nimben

見たものと、読んだもの

とりあえずの総括

直接の当事者としての被災は、おわった。
一時止まっていた上下水道は順調に動き出し、被災地と言うことで計画停電除外となった。お店の営業時間縮小や電車の間引き運転など、影響はゼロではないにせよ、おわり、といってよい。少なくとも夏までは、とりあえず。
なので、一度総括をしておこうとおもう。

上下水道は大事。とくに下水が。

上水は、極端に言えばロジスティックがまともになれば、お金さえ払えば買えるもの。しかし、下水はそうはいかない。上水がだめなだけなら、汲んでおいた水を水洗トイレに使って流す手もある。しかし、下水管が壊れているかも知れないので使用禁止、となるとどうしようもない。もよおすと、夜中でも雨の日でも、仮設トイレまで歩いていかねばならない。
初春で良かった。厳冬でも真夏でも、もっと辛いことになっていたとおもう。
一番辛かったのは、トイレだった。

二番目に辛かったのは、食事だった。

ロジが止まった。計画停電がある。となると、スーパーやコンビニは閉まる。よしんば開いていたとしても、勤め人が物を買う時間には売り切れ。カンバン方式ではないけれど、自宅ではあまり買い置きをしない主義だったので、当日から食事には困った。実質、自宅では何も食べることはできないのだ。食事をするにしても、お皿は洗えない。上下水が死んでいるから。お皿はティッシュペーパーで拭いたり(ティッシュペーパーも買い占めでなくなったので往生した)、お皿をラップでくるんだりして、なるべく汚さないようにした。
会社は都内なので、出勤すれば食べられる。朝抜き、昼にたっぷり、夜は外食か抜く。そういう食生活。最寄り駅近くの食べ物屋は、水とガスの関係で1週間は閉店していた。生活習慣は狂いまくり。
水にも事欠いているので、サプリを飲むのも一苦労。とくに花粉症対策でヨーグルトをいっぱい食べていたのに、食べられなくなったのがきつかった。
経済的にも、外食ばかりとなると、つらい。
ストレスでお酒もけっこう飲んだしね。(酒のつまみと酒、だとあまりお皿も汚れない、というのもあって、ついつい)
最低限の買い置きは重要。皿などの問題を別にすれば、買い置きがあれば、けっこうなんとかなったはず、というのはある。夏に向けて、水と日持ちのする食料は最低限備蓄しておきたい。(今は、まだ買わないけど)

最後にストレス対策。

都内に出ると、何も壊れていない。電気もガスも水道も何も不自由しない。お店はやっている。ご飯もたべられる。一部、商品がないとはいえ、コンビニは開店している。
これが、すごく辛い。
どうつらいかというと、現実感がない、という点だ。
自宅では、かなり不自由な生活をしている。
しかし、都内にでると、何も変わっていない。仕事も、アポがいくつかなくなったとはいえ、年度末の忙しさはある。
そうなると、自分がどういう状態なのか、よくわからなくなるのだ。不自由なの? 普通通りなの? というギャップが腑に落ちなくて、自分がどこにいるのかよくわからなくなるのだ。
でも、余震は続くし、通常の始業時間に会社に行こうと思うと、電車が止まっていたり、間引き運転をしていたりする。
都内に住んでいるひとがいう、なんてことのない普通のセリフが、ものすごくカチンときたりする。
しかし、宮城や福島などのひとのことを思えば、そんなことを言っていられないとおもって、感情をうまく出せない。出せなくて、澱のように心の底にストレスがたまっていく。
電話で友人を話そうにも、「無駄な通話は控えよう」という空気があるし、実際輻輳対策でつながらなかったりした。かける気もなくなる。
twitterなども、被害状況や、原発のニュースなどで覆い尽くされ、馬鹿話をしてストレスを発散する空気でもない。
世界にぽつねんと隔絶された存在なのかしら、という気分だった。
夏は、基本的には電気のことだけを考えればいいはずなので、対処すべきことがあれば対処する。しかし、このストレスはどうやったらいいのか、正直よくわからない。
辛くならない程度に、数ヶ月時間をもらったとおもって、考え続けたいと思う。