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見たものと、読んだもの

スティーブン・ハンター『極大射程』kindle版

映画を先に見た後、kindle版を購入。上下巻。

超長距離狙撃で大統領の暗殺が企てられ、それを阻止するために……というところから始まる冒険小説。
映画が良かったので、もちろんそれを念頭において読むことになった。

映画にまるっと納めるには中編と言われる、文庫本の半分くらいの長さが適当だとおもっている。
同じスティーブンでもキングの『恐怖の四季』シリーズとかね。
それを上下間のモノを一本の映画にするのだから、もちろん腕のある翻案が必要になってくる。

以下、ネタバレ上等です。

このお話をミステリーとして描くのであれば、FBIのニック・メンフィスの探偵小説的な書き方が妥当だと思う。
それでも十分に面白いものになったはずだが、おそらくアクションシーンが足りない。それに、「スワガー・サーガ」といわれるほどに主人公の魅力があるので、ニックが同席できない部分の描き方を考えると、ボブを中心に描くのが成功している。映画も小説も。

映画は、ニックの物語部分をかなり削ることで、長さをコントロールしている。
また、キャラクターを、頭は切れるが新米で鈍くさいというキャラに変えているのも奏功

描写は好みが分かれるところ。僕にはちょっと映画はアクションシーンが直接的でグロいかなとおもった。
悪役は映画のが描写が好き。悪いやつがとても悪い。
ラストシーンは小説のほうが好み。映画の非情さと苦さも嫌いじゃないけど。

まあ、一番面白かったのは、アクション冒険小説とおもわせておいてからの、コン・ゲームなところなんですけどね。
小説の次作はタイミングをみて読んでみたいと思っています。映画がシリーズ化されなかったのは、なんでだろうね。

なお、映画のヒロインが、のちにハウス・オブ・カードというドラマのヒロインになり、ゲビン・スペイシーとため張ってがんばります。