cafe de nimben

見たものと、読んだもの

ベン・アフレック『アルゴ』2012

事実に基づいた映画とはいえ、『スティング』のようなコンゲーム的なものを予想していたが、裏切られた。でも、いい方に。

 
第85回オスカーの、作品賞、脚色賞、編集賞の三冠。
 
 
イラン革命で逃げ出した在イランのアメリカ大使館員6名を救出するため、CIAが偽の映画『アルゴ』をでっちあげて、という事実に基づいたお話。
 
事実ベースでコンゲームだと、制約が多すぎてかえってつまらなくなると思っていたので、公開時は未見。
 
当時の報道映像がリアルさを醸し出す。特に失敗したら死ぬ感が悲壮なほどで、その死への恐怖で物語を引っ張るところが秀逸。
 
ベンの抑えた演技がいい。もっと悲愴ぶったり喚いたりするかも思っていた。映画館で見なかった偏見の一つ。
 
大使館員も、普通の演出だと、もっと高潔なヒーローになりそうなところ。何をやってもダメだ耐えられないし殺されるどうしようとパニクる小市民的なところがよかった。
 
ヒーローが助けようとした人に、積極的には裏切られる、あるいは消極的には協力してくれないと言うのは定番であるが、いつ見ても腹立つんだよねw 多分ヒーローに感情移入してるからだけど。しかし彼らの閉塞感がテンポを崩さないギリギリで描かれているので、「まあ、そう思うのもしゃーないよな」という気分になった。
 
最後のシーケンスは、事実とは異なるところもWikipedia 情報だとあるみたいだけど、娯楽映画としていい改変だと思う。楽しかった逸品。
 
飛行機は、やはり永世中立国のスイス航空なのね、と感心。あと747はこのころ当たり前に就航していること、機内でタバコ吸っているところも時代を感じた。
 
こんなのみつけたのでおまけに張っておく。