第8話
美和が最後いいひとになるのは、ちょっとなんだかイヤだった。イヤなひとのまま死んでくれたほうがリアルなのかな、なんて。いやいや、やったことはやったことなんだから、苦しめとおもいたかったのかもしれない。だったら、自分はイヤなやつだなあ。
第9話
恵美子元校長の言葉が重かった。
やりたいことをやりたいようにすれば潰される。だから、虫が這いずるように少しでも自分で出来る方法で全力を注いできた。間違っていたか? もっといい方法があったら教えて。
こう言われて、たとえ本当に間違っていたとしても「あなたは間違っていた」と言える人はどれだけいるのだろうか?
恵美子校長は、結果論的には間違っていたことを百も承知で、自分の過ごした人生が少しでも意味のあるものに思いたくてああいうセリフになるのだろう。それを直接言うのが自分の誠意だと思って、あえて会って話したのだろう。
そこで「力が足りませんでした」といえるひとも、やはりそんなにはいないだろう。
老い先が短いと知っている時、自分の人生ご無意味だったと認めるのは、つらかろう。『古畑任三郎』だったっけな「例え、明日死ぬとしてもやり直しちゃいけないと誰が決めたんですか?」と言い放てれば、気分も良いのだが。
次回、最終回。
静かにみんな死ぬんだろうな……。