『映像の世紀』の全てを再構成したもの。もちろん100年を90分で見せるのだから、捨てているものが多い。誰にでも納得してもらえるものを作るのは難しいはず。クレームを恐れず、整理公開してくれたNHKよ、ありがとう。
個人的に興味深かったのは、1937年のパリ万博。
ヒトラーが「総統」になったのが、3年前の1934年。
By Papamanila - 自ら撮影, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9469068
番組では触れられていないが、日本史的には「盧溝橋事件」により日中戦争に入った年。
芸術が、いかに政治ともからんでしまうのかという視点で編集されたとおもう。まあ、20世紀が戦争の世紀である以上は、影響を受けざるを得ない。
番組冒頭で動いているトルストイが示され、番組の最後に彼の言葉が引用された。
芸術とは一人の人が意識的に何か外に見えるしるしを使って自分の味わった気持ちを他の人に伝えて他の人がその気持ちに感染してそれを感じるようになるという人間の働きだ芸術によって同じ時代の人たちの味わった気持ちも数千年前に他の人たちが通ってきた気持ちも伝わるようになる芸術は今生きている私たちにあらゆる人の気持ちを味わえるようにするそこに芸術の務めがある
(改行は筆者による)
何を基準にして行動するのかを最近よく考える。why, what, howだ。芸術はよく、役に立たないと言われる。それはhowの観点だからだ。芸術はwhyの立場で「意識的に外に出てきたしるし」として表出した何かだと思う。
人工知能や機械の発達で、人が問われるのは、人がやるべきことは何かという哲学的な問いだと思う。芸術という視点を、私はその補助線にできたらいいなと思う。