cafe de nimben

見たものと、読んだもの

海野つなみ『逃げるは恥だが役に立つ』テレビドラマ版も合わせて

ガッキーがかわいいだけのドラマと一部言われているのは知っている。

ガッキーはたしかにかわいい。

が、その絶妙なコメディエンヌぶりと、相方の星野源のコメディアンぶりに隠されて、けっこうディープな話をしている。

原作もまだ完結していないが、読みました。ガッキーのかわいさに寄りかかれない分、ぎゃくに普通の子だからこその悩みがみえて、こっちはこっちでおもしろい。

 

 

原作付きの脚本だと、いまこの人をおいて他にない野木亜希子。『空飛ぶ広報室』『重版出来』もすばらしかった。

 

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尺の長さに合わせてもちろん改変してあるのだけれど、原作の一番すくい取りたい部分をきっちりテレビの形に掘り起こす。一本の木から掘り起こす仏師のようだ。

 

さて、この作品で出てくる単語で、じつは一番解釈に苦しむのが「小賢しさ」だ。

小賢しさというのは、どうしてそう思うようになるんだろうか。

小賢しくしようと思って、小賢しく振舞うひとはいないとおもうのだが。

少なくともみくりは、ひとを見下したり、マウンティングをしたくて「小賢しく」振舞っているわけではない。そこは「意識高い系」や「能ない鷹が爪だしまくり」な見下しとは違う。いわば大きなお世話の一種なのだと思うが、それが裏目に出る。

でもそれは、男女共同じだろうにとおもう。

なんとなくだが、作者は「女子供はだまってハイハイいってりゃいいんだ」というやつに長く晒されて、意識的にか無意識的にか、若い女子が合理的ないし論理的なことを言うということに対して、(特に大人の)男は見下して「小賢しい」というものだ、というのがあるんじゃないかという気がする。

そのわりには、平匡さんのように、ステレオタイプとはちょっと違ったキャラクター造形をするからおもしろい。

原作は完結していないが、どう完結させるんだろうね。たのしみ。