今年は日本で日本のものを楽しめた、という良い年でありました。
今年の日本モノは、何と言っても運慶と快慶の大回顧展を見ることができたというのが大きいです。仏像はずっと好きではあったのだけど、きちんと見たことはなかった。今回、ひとまとめにして見たことで、だいぶ知見が溜まった気がする。
何と言っても快慶展とそれを巡る奈良滞在がよかった
特に、なら仏像館、春日大社と興福寺と東大寺という補助線とまとめてということで立体的に見ることができたのが、まさに僥倖。
春日大社は、興福寺東大寺奈良国立博物館というひとつながりの場所という神域。
また阿修羅さんにお会いできたし。
これは、奈良で見るべきモノだったというのがよくわかる。
そういう意味で、運慶展は、鎌倉幕府とのつながりでというのであれば、何らかのそういう補助線は引けなかったのだろうか、という点が惜しい。
他の日本系は、琳派でしたが。そろそろ金屏風系に対してのマイブームが去りつつあるかもしれない。
西洋系でなぜかベルギーの流れ
昨年末からワクワクしていた、『バベルの塔展』
それの流れで、特にボス系のものを流れで目にする機会が増えた
しかも、ここからの流れでルーベンスへの興味がわくってどういうこと? という縁は奇なものです。しかも来年ルーベンス展あるし。
とはいえ西洋系の絵で一番だったのは、ミュシャ展
スラブ叙事詩の大きさが本当にすごかった。晩年ナチにという時代性もあいまって。実はパリのポスターデザイナー的なところが、あまりにもポピュラーすぎて鼻についていたのだけど、彼に対する評価がまるっきり変わったという意味でもすごかった展覧会でした。
スラブ叙事詩の登場人物が気になって、15世紀のフス戦争をモチーフにしたこれも読み始めたし。
記事を書いたときは7巻まででしたが、今は9巻まで。相変わらず今っぽい絵で凄惨なものが描かれています。もちろんミュシャは同時代人ではないんですが、調べたか聞き伝わっていたかで、この凄惨さをスラブ叙事詩に描いたんだろうなあという気は確かにします。
この時代のヨーロッパに生まれなくてよかったという気しかしない。
現代美術は、ジャコメッティと草間
昨年、現代美術って面白いと思い始めた。今までは見ることはなかったのだが、今年は二つ見て、どちらも楽しかった。共通するのは、生命力、である。
国立新美術館ってこの時期、ミュシャと草間を同時にやっていたという。贅沢すぎるでしょ。
などと、見逃したものもそれなりにあったけれども、なかなか充実した一年でありました。東京はやっぱり恵まれているなあ。世界的に有名なものの展示も、日本ローカルの美術品もどっちも潤沢に開催されるって、世界でもなかなかないんじゃないかな。パリとロンドンくらい?