cafe de nimben

見たものと、読んだもの

モネ それからの100年 @横浜美術館

モネはいくら引用されても、色褪せない。

引用は、モネのどこを見て、それを拡張するかにあるので、モネを中心としたマインドマップを見ている感じ。

どこをどう拡張したものを見るのが楽しいのかは、主観。補助線力が試される。

yokohama.art.museum

monet2018yokohama.jp

 

オリジナルとしてのモネ

空気、光、そして時間

今回一番、新鮮に感じたのは、『霧の中の太陽』である。

 

出品作はこれではないが、よく似ているもの

Monet - Waterloobrücke - Sonne hinter Dunstschleier.jpg
By クロード・モネ - Reprography from art book, パブリック・ドメイン, Link

 

太陽と霧と、その間にある空気感がよく出ていて、切り取られた一瞬が愛しい。

太陽をじっくりと見る機会というのは、やらなきゃいけない現世の何かからちょっと離れている時で、そういうちょっと現世ではない状態ってのが貴重で楽しいので、絵自体もいいんだけど、それを見ることができる余裕のある精神状態も思い出せるのが、素敵と思う原因かしらん。

 

睡蓮シリーズ

CLAUDE MONET 1840 - 1926 NYMPHÉAS AVEC REFLETS DE HAUTES HERBES.jpg
By Claude Monet (1840-1926) - http://www.sothebys.com/en/auctions/ecatalogue/2013/impressionist-modern-art-evening-sale-l13002/lot.20.html, パブリック・ドメイン, Link

 

水面近辺の様子が好きなんだなあモネって、という印象を深くする。

水面より上の三次元と、水面、水面下という擬似二次元が交錯するというのは、確かに、生の水面を見ていても楽しい。生のだと、波が出たり、虫が止まったり、風が吹いたりするしね。

小さいけれど、たくさんの睡蓮を一度に見ることができたのは、楽しかった。少しずつ違うものだなあ。

今年見た一番大きいやつは、こちら。

nimben.hatenablog.com

 

ちなみに、モネを筆致をオンラインで見るならば、こちらが面白い 

artsandculture.google.com

超拡大できたりもするので、ぜひマウスのスクロールで遊んでみて。

 

引用元としてのモネと引用先

色彩分割

例えば、岡崎乾二郎「山の向こうの中腹のちっぽけな村はすでに見えなくなり、ふたたび春が巡ってきた。葡萄の木はあたかも塀の笠石の下を…」(東京都現代美術館蔵)は、絵の具の置き方。色を混ぜるのではなく隣に置くことで明るさを損なわずに見せる技法。それをルーペで極端に拡大した感じの、小学生が顕微鏡を覗いてワクワクする感じ。

kenjirookazaki.com

 

抽象画

マーク・ロスコは、私には別格だった。

テートモダンでもそう思ったけど。二つあったが、好みは「赤の中の黒」(東京都現代美術館蔵)これ、微妙なグラデーションなどあるので、ライティングによって様相が変わりそう。太陽の間接光のある部屋に置いて、一日中眺めていたい。

 

※千葉県佐倉市のDIC川村記念美術館でロスコがまとめて鑑賞可能。

kawamura-museum.dic.co.jp

あれ、ってことは、テートモダンでみたロスコルームの日本設置版がここってことなのか。これは行ってみたい。

 

今回も、リヒターとモネを見比べることができた。今回のリヒターは、「アブストラクト・ペインティング(CR 845-5と8)」テートの時ほどはピンとかなかった。作品によるのかな。わりと色相は似てるはずなんだけど。大きさの問題?

 

ちなみに、前回の見比べはこちら。横浜美術館さんは参考にしているのかな??

nimben.hatenablog.com

 

松本陽子「振動する風景的画面III」(倉敷市立美術館蔵)は、雲の中にいる感じがして気持ちよかった。

www.city.kurashiki.okayama.jp

 

ポップアート

リキテンスタイン「積みわら」(富士ゼロックス蔵)との比較はよくわからなかった。そりゃモチーフなんだろうけどさ。あくまでリキテンスタイン作品。モネっぽさを感じない「離」まで行く個性の濃さ。

そのオリジナルのは展示されていなかったが、こんな感じ。

Haystacks, Snow Effect 1891 Claude Monet NGScotland.jpg
By クロード・モネ - http://www.nationalgalleries.org/index.php/collection/online_az/4:322/results/0/5196/, パブリック・ドメイン, Link

これがああなるのか。かわいい、楽しい。

 

水野勝規のビデオ作品「photon」は、睡蓮の池の水面を動画として、キラキラと美しい反射のきらめきでよかった。温度と湿度がないから、郷愁っぽいんだね、きっと。

 

モネも睡蓮を中心にたくさんきているので、まさあくまでそれ目当てもあり。雲の中にある太陽の表現が、好き。直接の色ではなく、空気、煙、水面に反射している感じ。光の人ですね。

 

ということで、いろんな種類の引用とその四苦八苦も見ることができて、楽しうございました。

 

コレクション展も面白かったです。

教科書で見たこれ、初めて生で見た。

Commodore-Perry-Visit-Kanagawa-1854.jpg
ウィルヘルム・ハイネ - http://ids.si.edu/ids/deliveryService?id=NPG-8200262B_1, パブリック・ドメイン, リンクによる

 

森村泰昌の作品も初めて生で鑑賞。見たのは《神とのたわむれ》

おお、この頭の中がかき乱される感じは面白い。モナリザとかの印象が強かったので、こういうのもやっているのかー知らなかったーという感じではある。