cafe de nimben

見たものと、読んだもの

トランジとメメントモリ今昔とルーヴル美術館展

あけましておめでとうございます。

本件、調べが甘かったので、補足しようとしたら、「正月は冥途の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」みたいになった。このため、新年一発目に投入w

 

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#21 ブルボン公爵夫人、次いでブーローニュおよびオーヴェルニュ伯爵夫人ジャンヌ・ド・ブルボン=ヴァンドーム (石)

の、死体彫刻のところ。

トランジ、ないし、死を思え:15世紀のメメント・モリ

これは15世紀に流行したもので、フランス語でTransi (トランジ。文語Transirより→凍えさせる。ゾッとさせる)、英語でCadaver tomb (死体 + 墓) ないし、Memento Mori Tomb (メメントモリ墓) と言われるようだ。

「死を思え」墓、ですね。

灰の水曜日の「Remember that you are dust, and to dust you shall return. (あなたは塵から生まれた、そして塵に帰る)」ので、死しては地上の栄華も全てなくなるのだ、という警句としての意味がある、という。

 

わかりやすかった、灰の水曜日の解説

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キリスト教的には、死ねば神の千年王国に入るのだから、こういう具体的な死骸を表してメメント・モリしないといけないもんなのかな、とか思いますが。この辺りは、キリスト教についての私の理解が足りないんだろうなあ。

他のメメントモリ的作品

死の舞踏 

Dance of Death (replica of 15th century fresco; National Gallery of Slovenia).jpg
By Janez iz Kastva - This image is available from the National Gallery of Slovenia website under the reference number NGS1513., Public Domain, Link

怖いんだが、楽しいんだか、よくわかりませんね。

 

オランジェ公ルネ・ド・シャロン

美しく、怖いのはこちら。 25歳でなくなったオランジェ公

Le Transi de René de Chalon (Ligier Richier).jpg
By Coin-coin - Own work, Public Domain, Link

フランス東北部のバル=ル=デュック /Bar-le-Duc 県の教会 Church of Saint-Étienneにあるそうです。

 

九相図

私はどうしても、仏教の九相図を思い出してしまいます。カラフルでリアルなのが怖い。 

  1. 脹相(ちょうそう) - 死体が腐敗によるガスの発生で内部から膨張する。
  2. 壊相(えそう) - 死体の腐乱が進み皮膚が破れ壊れはじめる。
  3. 血塗相(けちずそう) - 死体の腐敗による損壊がさらに進み、溶解した脂肪・血液・体液が体外に滲みだす。
  4. 膿爛相(のうらんそう) - 死体自体が腐敗により溶解する。
  5. 青瘀相(しょうおそう) - 死体が青黒くなる。
  6. 噉相(たんそう) - 死体に虫がわき、鳥獣に食い荒らされる。
  7. 散相(さんそう) - 以上の結果、死体の部位が散乱する。
  8. 骨相(こつそう) - 血肉や皮脂がなくなり骨だけになる。
  9. 焼相(しょうそう) - 骨が焼かれ灰だけになる。

九相図 - Wikipedia

ニンゲンは犬に食われるほど自由だ

メメント・モリだと、有名なのはこちら。「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」で一大ブームになりましたね。1983年作品。実際に写真で見せられると、えぐい。

メメント・モリ

メメント・モリ

 

 

元々のメメント・モリ 

今、wikipediaで調べてびっくりしたのだが、memento moriって、昔は、「明日のことはわからないので、今を楽しめ」という考え方だったらしい。

後者の方は、Carpe diem、カルペ・ディエム=その日を摘め=Seize the day = 今を生きよ、となる。

Seize the dayだとこの映画。

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いまを生きる (字幕版)

いまを生きる (字幕版)

 

原題が "Dead Poets Society" なのだが、これは「今を生きる」の方がいいですよね。もう亡くなりましたが、ロビン・ウイリアムスが熱血教師。

色々繋がっておもしろい。

 

ということで、正月らしく死を思ってみましたが、よいお年でありますように。