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イズマイル・バリー「みえないかかわり」@銀座メゾンエルメス フォーラム

今年初めての美術館巡りは、銀座メゾンエルメスだった。イズマイル・バリー「みえないかかわり」展の最終日に駆け込み。

 

www.hermes.com

 

銀座メゾンエルメスは、レンゾ・ピアノが設計し、2001年にオープンした。

2018年に隣接するソニービルが解体されたので、数寄屋橋交差点からも見ることができる。美しいガラスのビルだ。なんとなく中銀カプセルタワーを感じる。特に夜がいい。エルメスオレンジに近い色の色温度の低い照明が外に溢れる様は、ランドマークとしても気持ちがいい。

とはいえ、ハイブランドの基幹店なので、入るのには緊張する。

一階のスカーフと香水の売り場の奥に、エレベータがあるので8階に。

降りると、奥に誘導される。

以前は特に誘導はなかったがと思ったが、その理由はあとでわかる。

最初の展示は、"Apparation"ビデオ作品。下から強い白い光が当たっている白い板。背面から指を動かすとそれが影になり、上から投射されている写真が浮かび上がる。指に隠れていない部分は白い光で飛ばされ、表示されない。白い影。指の動きで、見える場所が変わる。手法をまねることはおそらくそんなに難しくないが、そこにどういう意図を乗せて行くのかは、頭を捻らないと難しい。あとで分かったが、作者が選択した絵は、チュニジア独立記念日。エモい写真とそのエモさへの接続は現代美術っぽくある。

そのあとは、暗室のような部屋で、影をモチーフにした作品群を見る。学芸員さんから教えてもらったが、ピンを壁に挿して、その影で一本の曲線を作るとか、砂の上の足跡のような物だとか、心の中のBGMを全部消して、静謐な中で五感を研ぎ澄まして対峙してみないと見えない何かが展開される。

外に出ると、暗室側の逆が示される。メゾンエルメスが取り込む外光に満たされた部屋から、暗室に零れる揺れる光が、内側の作品と共鳴しているという謎解きがなされる。確かに先にこちらに来ていたら効果半減だわ。誘導賢い。

 

作者による解題など


Ginza Maison Hermès Le Forum – Ismaïl Bahri