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見たものと、読んだもの

眉月 じゅん『九龍ジェネリックロマンス』

今日まで全部無料で読める(第16話まで)

https://tonarinoyj.jp/episode/10834108156705514756

 

九龍という今は無き無法地帯で、ジェネリックというジェネリック医薬品の香りのする言葉に、ロマンスという言葉をつけるというタイトルに、心を奪われる。

ヒロインの鯨井令子の恋するいじましさがかわいい。

恋は雨上がりのように』の作者による、近未来?の香港の男女のラブストーリー?

「?」がついているのは、まだ語られていないからだ。連載のリアルタイムに追いつくいいチャンスなので、ぜひ読んでください。

16話まで来て、え、つまりこういう話? という想像がやっとできる様になったのだが、さて、はてさて、本当にそういくのかどうか、楽しみだ。

 

九龍って?

九龍城といえば、1993年まで、香港にあった治外法権の魔窟だ。1997年に香港は租借条約が切れて中国に戻るので、まだイギリス領だった時代のお話。

KWC - 1989 Aerial.jpg
Ian Lambot - http://cityofdarkness.co.uk/order-print/01-aerial-view/ Also found in the book City of Darkness - Life in Kowloon Walled City by Ian Lambot (ISBN 1-873200-13-7)., CC 表示-継承 4.0, リンクによる

 

香港なので元は中国、それからイギリス領なのだが、睨み合いの境界として、事実上どころか法令上もどちらの主権も及ばない珍しい場所になる。

宗の時代に軍事要塞として建てられたが、日本が香港を占領した1941年に城壁は取り壊され、バラックが建ち、スラム化が始まる。第二次世界大戦後、中華民国中華人民共和国にとって変わられるとき、その後も、60年代後半の文化大革命の時など、中国大陸から九龍に人が押し寄せる。

無法地帯で、アジアで、中国とイギリスの風味が混じり合うという、少なくとも外から見たら魅力的な街が出来上がった。絵的には『ブレードランナー』(1982)とか『攻殻機動隊』(1991)→『GHOST IN THE SHELL』(1995) を思い起こさせる。

KWC - Night.jpg
Ian Lambot - Ian Lambot. City of Darkness - Life in Kowloon Walled City (ISBN 1-873200-13-7). 1993., CC 表示-継承 4.0, リンクによる

 

メンテもされていないので、中はこんな感じ

KWC - Alley.jpg
Ian Lambot - http://cityofdarkness.co.uk/dark-alleys/dark-city-04-2/ Also found in the book City of Darkness - Life in Kowloon Walled City by Ian Lambot (ISBN 1-873200-13-7)., CC 表示 4.0, リンクによる

 

1997年に香港が中国に返還される時にきれいにして返すことになり、1993年から取り壊し工事が行われたため、現存しない。

なお、こちらのWebが、吉田一郎氏による壊される前の九龍の探検記となっているので、ご参照されたい。

 

web.archive.org

 

同様に、カナダの写真家による、九龍の写真など。

www.businessinsider.jp