cafe de nimben

見たものと、読んだもの

自分を甘やかす、と言うこと

3巻までkindle unlimitedで出ていたので読んでみて、面白かったので、原作版をなろうで読んでいる

休暇だと思って楽しみます。(書籍版「穏やか貴族の休暇のすすめ。」)

https://ncode.syosetu.com/n5128by/

 

いわゆる異世界ものなのだが、ファンタシー世界から別のファンタシー世界に飛んでしまった宰相、公爵が「休暇だと思って」冒険者をやるお話。

なのだが、これは「甘やかされたい、甘やかしたい」と言う甘さを楽しむものなのだなあと、考察しながら読んでいる。

  • 自分は、自分が敵わないと思っている存在に認められ、甘やかされたい。
  • 役に立つのは基本だが、役に立つ、とは別のところで認められたい。もっと役に立つ人が現れたらその人に座を譲らないといけないので、それはいやだ。この人に認められる人は、無能であってはならないので、私も有能であるし、そうあり続ける努力をする。
  • よく懐く優秀な年下を甘やかしたい。優秀であればあるほど、そんな優秀な人間になつかれる存在だと思えて楽しい。
  • 甘やかす、甘やかされると言っても、無制限に堕落したいのではなく、一定のケジメの中がいい。あくまで自立/自律が基本で、共依存堕落タイプではない。長続きしないから。末長く、甘え、甘やかしたいから。

と言う、かなり複雑な性癖が絡み合っている気がする。

世の中のスターになれる人間はごくわずかなので、普通の人が得られる幸せはスターになることを諦めざるを得ないところから始まる。諦めた次は、スターに右腕などとして認められることだ。万人に受けるのではなく、自分が傅きたいと思っている人に認められること。最後は、誰に認められなくても、自分は自分を認めて生きていくこと、と言う需要の順番があるのではないか。

一番目はもちろん、三番目の自分を自分で認めて生きていくのは、なかなか難しい。

なので、二番目をエンターテイメントとして消費していくのは、ささくれた心が癒されていくので、いいんではないかなあ。ちなみに、池波正太郎も割とこの分野に入っていると思うのですが、賛同してくれる人はいるんだろうか。鬼の平蔵に仕える、小房の粂八やおまさなんか、そんな匂いがするのだけれど。

 

鬼平犯科帳(一): 1

鬼平犯科帳(一): 1

 

 

あと、暴力的だったりアウトローだったりする男を、女性が好きになる場合、その粗暴性が好きなのではなく、自分を愛するために、世の法を破って(=世界を敵にして)も自分を取ってくれることが嬉しいのであって、暴力や不法行為が好きなわけではないのではないか、と言うことなのかなと読んでいて思った。

逆に、真面目ちゃんがモテないのは、自分よりも世の法を破ることはない、つまり「どんなことをしても自分を守ってくれる」と言う手形を切ってくれないのが見えていて、退屈、と言うことなんでしょうね。

エンターテインメントとして、世界を敵に回しても、は確かに強いよねぇ。