cafe de nimben

見たものと、読んだもの

あfろ『ゆるキャン△』芳文社(既刊11巻)

こういう状態だと、アウトドアしたくなるのだが、その欲を程よく満たしてくれるほのぼのキャンプ漫画。

なんと言っても、キャラクターたちがいい。

悪い人はいない。キャラクターはみんなかわいい。主人公たちはかわいいし、親兄弟はかわいいし。通りすがりに多少の縁で触れ合う人も(犬も)かわいい。

アウトドアだから、風景がいい。

おそらくきちんとロケハンをして、魚眼レンズで風景写真を撮りまくって、そして見開きで富士山や海などの風景がドーン。気持ちいい。こまけーことはどーでもいい。気持ちいいーー。という感じになる。

大きな感情起伏ラインがないので、安心して「ゆるく」読んでいられる。

きちんと夜を越せるかな、などなどのアウトドアならではのハラハラドキドキはあるのだけど。感情起伏のダイナミックレンジが狭めにとってある。

 

とは言え、おそらくかなり自覚的に、大きな構造は練り上げられていると思う。

サニタイズがしっかりしている。

大きな感情起伏の要素となる恋愛系を外してある。家庭環境はよく、パワハラモラハラ毒親はいない。他人と触れ合うことで起こりうる距離感が全くない雑な他人は出てこない。冬キャンなので、虫や臭いなどのストレートに絵面として嫌なものは出てこない。

異世界ファンタシーか、というくらいのものだ。とても注意深い。

ひと昔の漫画だったら、コミュ障のキャンパーが、ふとしたことからグループキャンプに目覚めて、コミュ障が治ってウェイウェイできるようになってよかったね! になりそうなところだが、それがない。逆に、ソロキャンパーが、経験値の少ないグループキャンパーを無双していくというのも、ない。

ソロキャンプを否定するのではなく、グループキャンプも楽しいよ、という別のものとしてみんなが捉えているというのがすごい。ソロキャンもグループキャンプも否定しないどころか、両方が両方を肯定して、それぞれの良さを分かち合う。

そういう相互リスペクトがあるので、見ていて安心感があり、心地が良い。

もちろん、『ハウス オブ カーズ』みたいに、いつ誰がどう裏切るかわからないというサスペンスも楽しいのだけど、それとは楽しみ方が違うのだ。

アニメもseason2をやっていて、実写ドラマもseason2を春からやるみたいだし、メディアミックス(死語)激しいな。

と言いながら、どれもよく作られていて、原作リスペクトがあって、良いのです。

特に、実写版は、本物の良い風景が見られるので、おすすめですよ。