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見たものと、読んだもの

鶴淵けんじ『峠鬼』(既刊4巻)

時空を超えた、日本の昔のお話。主人公の一人が役小角なので、ベースは7世紀(飛鳥時代)くらい?

峠鬼 1 (HARTA COMIX)

峠鬼 1 (HARTA COMIX)

 

話の竜骨は、一言主役小角のお話。

役小角修験道の開祖とも言われる、伝奇ものではお馴染みの存在。

一緒に旅をする前鬼と後鬼と言う鬼のお供は北斎漫画ではこのように描かれているが、それを翻案して、話を進めるトリックスターとしても活躍する。

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Katsushika Hokusai (葛飾北斎, Japanese, †1849) - scanned from ISBN 4-3360-4636-0., パブリック・ドメイン, リンクによる

もう一方の主人公、一言主は『古事記』にて「吾は悪事(まがごと)も一言、善事(よごと)も一言、言離(ことさか)の神、葛城一言主の大神なり」をベースに描かれる。

古事記』などの描写を読むと男神のように見えるが、女神だ(ただし『日本霊異記』のように、役小角に使役される存在ではない)

こう書いていると、ただの伝奇物のように見えるが、かなりSFチックなのだ。時空を超える。ブラックホールや、マルチバースシステムなど、宇宙が出てきたり。

神と人との境がまだ曖昧な時代というのもあり、神無月に出雲の大国主命のところに集まる姿が描かれたり。

世界観がユニークで面白く、さて今後どうなっていくか、楽しみ。

 

一言主

奈良県の葛城には、葛城坐一言主神社が現存する。

hitokotonushi.or.jp

 

能の『葛城』


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