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見たものと、読んだもの

ソフィ・シュイム(原作)泉光(コミカライズ)『図書館の大魔術師』(第5巻)

これは、読めとしか言いようがない名作。まだ5巻だから、追いつくのもかんたん。

これ、長い作品になると思うのだけど、完結はいつくらいになるんだろうなあ。最後まで追っていきたい。

良い点を3つにまとめると

世界構築

難しいジェンダー問題や民族問題をファンタシーに包むことによって描くという難度の高い世界構築をしている建築物としての美しさ。ここまで構造化がきっちりとなされていると、この世界で二次創作する人はかなり楽だろうねぇ、と言うレベル。

愛すべきキャラクターたち

そして、それぞれの理由で動く説得力のある愛すべきキャラクターたち。

ステレオタイプの人がほとんどいない。それだけの書き分けをしている。いい人だけではなく、悪い人もずるい人もいる。それぞれの事情が丁寧に、でも冗長にならずに提示されている。

そうなると悪い意味で群像劇っぽくなり、メインのキャラは誰と言うことになりかねないのだが、圧倒的な主人公力を持つシオ=フミス。バカで元気、でもメンタルブロックもそれなりにあり、それをどう克服していくのか。仲間と、頑張って、克服/解決していくという、努力友情勝利と言う王道が背骨にある。

映画を意識した作画の美しさ。

紙の本だとどうしても見開きは、真ん中が白く余白になってしまう。デジタルだと一枚の絵として見られる。しかも連続見開きにすることで、前後などを見せるのが、極めて映画的で力強い。映像演出力がとても高い。

 

第5巻では4巻で隠されていた謎が一つ明かされる。ただ、それの奥が何かありそうだがそこはまだ見せてくれない。すでに次巻が待ち遠しい。