宝塚歌劇団を元ネタにした紅華歌劇団。その学校である音楽学校にヒロインが入るところから物語が始まる。青春群像ビルディングストーリー。
ヒロインは二人。
渡辺さらさ:身長178cm、幼少期は日舞白川流を学んでいて、助六を張るのが夢だった。男役というかオスカル希望。オスカルということはトップにならないといけないと知り、トップを目指す。天然。
奈良田愛:寮でさらさと同室。AKBをモデルにした、JPX48の元メンバー。塩対応により強制卒業。男性恐怖症。何にも興味を示さないロボだったが、さらさと友情を育むことによって変わっていく。
大きな軸として、全盛期の異なる三つの大衆芸能が絡んでいるのが面白い。江戸時代からの歌舞伎、大正時代からの歌劇団、そして現在のグループアイドル。さらさの歌舞伎からルート、奈良田のグループアイドルルート。特色を生かしながら、音楽学校で紅華を学んでいく。二人ともほとんど紅華を知らないので、読者への説明ともなる描写が自然で良い。
群像劇なので、色々な人が色々な理由で歌劇団に入り、成長していく姿を描くのだが、一人一人キャラが立っていて素晴らしい。群像劇だとサブキャラまでも平等にスポットが当たるようになって話の幹がぶれることがある。しかし、あくまでポイントはさらさに置いてあるという話の背骨の強さが素晴らしい。サブキャラは、うまくスピンオフなどで繊細に触れられていることが多く、書き割りになっていないのが愛しい。
エピソード0が2巻(完結)、現在11巻で続刊。このため全部で13巻なのだが、今やっと音楽学校の2年生(正確には本科生)になったところなので、トップになるところまで書くとすると、ものすごい分量のドラマになりそうだ。
今のクールからアニメもやっている。
スピンオフのエピソードを入れたり、逆に歌舞伎成分を減らしたりと、アニメならではの取捨選択を行なっていて、これはこれで見応えがある。
なんといっても、エンディングの曲が良い。
クライスラー&カンパニー出身で、実際に宝塚に楽曲提供をしている渡辺恒芳の作品。
これが一番多く使われるバージョンなのだが、他にも別3バージョンあり、漫画のスピンオフ、アニメのエピソード主役を張る人が歌詞を変えて歌う。
今まで、キャラソンって全く興味がなかったのだが、そのキャラの心情が歌詞に表れていて、全バージョン好きになってしまった。
特に好きなのは、男役志望星野薫版。ヅカ男役っぽさが素敵。
アニメはリアルタイムでなくても、アマゾンプライムで視聴可能なので、一度お試しあれ。