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見たものと、読んだもの

魚豊『チ。-地球の運動について-』/ 15世紀欧州の宗教と美術と音楽と大航海時代

前提として、14-16世紀ヨーロッパについて調べてみた

15世紀P王国。おそらくアディス朝ポルトガル王国

ゴシックから、ルネッサンスへ変わっていく時期。ルネッサンスを朝日とするなら、チ世界は一番暗い夜明け前。

キリスト教

細かい派閥はあれど、まだカトリックのみ。とはいえ、宗教改革の芽はすでにある。

ここで異端とされているC教H派は、おそらくフス派。確かにヤン・フス [1369 - 1415] は Jan Hus と綴る。

1419年に第一次プラハ窓外投擲事件を契機として十字軍を派遣されるから、異端中の異端とP国で言われていても全然おかしくない。

なお、フス派戦争[1420 - 1434]の話は、『乙女戦争』が詳しい。

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宗教改革は、約100年後、マルティン・ルター (Martin Luther) [1483-1546] による1517年『95カ条の論題』に結実することになる。

美術

それまではゴシック美術全盛だったが、15世紀前半から、イタリア初期ルネッサンス美術がフィレンツェなどで始まる。平べったい単調な絵から、遠近法などを用いた明るい絵となって、随分変わって来るのがわかる。

ゴシック期:1423年『東方三博士の礼拝』(Adoration of the Magi)

ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ (Gentile da Fabriano)[1360ごろ-1427]

Gentile da Fabriano 002.jpg
ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ - The Yorck Project (2002年) 10.000 Meisterwerke der Malerei (DVD-ROM), distributed byDIRECTMEDIA Publishing GmbH. ISBN: 3936122202., パブリック・ドメイン, リンクによる

 

ルネサンス期:1420年代『貢の銭』(みつぎのぜに(Pagamento del tributo))

マザッチオ(Masaccio)[1401-1428]

ファブリアーノの絵と比べて、遠近法が使われているので、立体感がある。

遠くが暗く、近くが明るい、とか。キリストの頭部を中心とした一点透視図法の最初。

Masaccio7.jpg
マサッチオ - http://www.christusrex.org/www2/art/tributo.htm, パブリック・ドメイン, リンクによる

 

ここから発展して、レオナルド・ダ・ヴィンチボッティチェリミケランジェロラファエロなどが出て来る。

1475-1485年 『受胎告知 /Annunciazione』

レオナルド・ダ・ヴィンチ (Leonardo da Vinci)

Leonardo Da Vinci - Annunciazione.jpeg
レオナルド・ダ・ヴィンチ, http://www.marysrosaries.com/collaboration/index.php?title=File:Annunciation_-_Leonardo_Da_Vinci_-_Annunciazione.jpeg, パブリック・ドメイン, リンクによる

1485年ごろ:『プリマベーラ /Primavera』

サンドロ・ボッティチェッリ(Sandro Botticelli)[1445-1510]

Botticelli-primavera.jpg
サンドロ・ボッティチェッリ http://www.googleartproject.com/collection/uffizi-gallery/artwork/la-primavera-spring-botticelli-filipepi/331460/ パブリック・ドメイン, リンクによる

 

1508-1512年 ローマのシスティーナ礼拝堂天井画(の一部)

ミケランジェロ・ブオナローティ (Michelangelo di Lodovico Buonarroti Simoni)[1475-1564]

Creación de Adám.jpg
ミケランジェロ・ブオナローティ - このファイルは以下の画像から切り出されたものです, パブリック・ドメイン, リンクによる

 

1509-1510年 『アテナイの学堂 / Scuola di Atene』

ラファエロ (Raffaello Sanzio da Urbino) [1483-1520]

"The School of Athens" by Raffaello Sanzio da Urbino.jpg
ラファエロ・サンティ - Stitched together from vatican.va, パブリック・ドメイン, リンクによる

 

うーん、ルネッサンスの三大巨匠の絵は素敵ですね。すごく好み。明るくて活力があり、みていると元気に鳴る感じ。

 

音楽

ちなみに、JSバッハ(JSbach)やヴィバルディ(Antonio Vivaldi) が活躍するバロック (Baroque) 音楽は17世紀から18世紀中頃まで。モーツァルト (Walfgang Amadeus Mozart)は18世紀後半なので、15世紀にはまだ影も形もない。

 

15世紀の音楽としては、例えば、ブルゴーニュ学派のギヨーム・デュファイ (Guillaume du Fay)[1397-1474] が挙げられるらしい。


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フランドル楽派のジョスカン・デ・プレ(Josquin Des Prez) [1450?-1521]


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ルネサンス期からバロック期へのつなぎとなった、クラウディオ・モンテヴェルディ
(Claudio Monteverdi)[1567-1643]


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大航海時代

大航海という意味では以下の3つが有名。14-15世紀としてみると、この話の前夜ということになる。

 

1492年 クリストファー・コロンブス(Christopher Columbus) アメリカ大陸「発見」

1498年ヴァスコ・ダ・ガマ(Vasco da Gama) [1460年頃 - 1524] がインドに到達

1519年-1522年、フェルディナンド・マゼラン (Ferdinand Magellan) 艦隊が初の世界一周

コロンブスとマゼランのスポンサーは、スペイン王室。ヴァスコ・ダ・ガマのそれはポルトガル王室。ちなみにコロンブスもマゼランも、スペイン王室の前はポルトガル王室がスポンサーだった。何か折り合いがついていないのね。

 

この後のざっくり話としては、海上覇権は、16世紀がポルトガル、スペイン、17世紀がオランダ、18-20世紀前半がイギリスという感じでしょうか。

その後、アメリカ合衆国が西側世界の覇権を握るとすれば、現在のリンガフランカ (lingua franca) は英語になるのは、直近数世紀英米が覇権を握っていたので、その母国語の英語になるというのが必然というものでしょうね。

ポルトガル

15世紀前半:エンリケ航海王子がアフリカ沿岸探検航海させる

15世紀後半:希望峰の「発見」、ブラジル「発見」

16世紀前半:インド西岸ゴアや現マレーシアのマラッカ占領などにより、アジアとの貿易開始

16世紀後半:スペインとの同君連合 (1580-1640)

 

スペイン:

16世紀前半:アメリカ大陸進出(アステカ帝国インカ帝国を滅ぼす)

16世紀後半:アルマダ海戦(1588年 英蘭 vs スペインポルトガル) にてスペイン無敵艦隊イングランド海軍に敗れる。海上覇権が徐々にこぼれ落ちていく。オランダ独立戦争(80年戦争)。

17世紀前半:ポルトガル独立。オランダ独立。

 

オランダ:

17世紀前半:スペインから独立。ポルトガルから香料貿易を奪う。

17世紀後半:英蘭戦争(北米や南アの植民地をイギリスに奪われる)からの名誉革命によりイングランドの共同統治(1702年まで。この間、徐々に英国に勢力を奪われる)、仏蘭戦争

この辺りは、アムステルダム国立美術館の展示の過去記事どうぞ

nimben.hatenablog.com

 

世界史をとっていなかったので、この時代のヨーロッパは国が入り乱れて、私にとってはわけわからんことになっています。調べるのは楽しいが、複雑で大変。