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見たものと、読んだもの

ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展 (東京都美術館)

なんといっても、フェルメール『窓辺で手紙を読む女』の修復後の姿が、日本初見参。

かなり精度が高くて大きさも揃えてある模写も展示されていて、とてもよかった。

本来は、2022年1月22日(土)~4月3日(日)と言う会期だったが、オミクロンのせいで、開始が2月10日(木)からになってしまった。

17世紀オランダ絵画は、個人的にはレンブラントと言うイメージがある。展示されていた絵も、集団肖像画チックなものが多かった。

レンブラントが、1606年生まれ、1669年没、フェルメールは、1632年生まれ、1675年没なので、フェルメールが18歳の1650年にはレンブラントは44歳。生きている時代はかなりかぶっている事になるが、あんまり影響を与え合ったと言う感じでもない。(同時代、同地域と言う意味で、伊藤若冲与謝蕪村みたいな感じ?)

フェルメール『窓辺で手紙を読む女』(Johannes Vermeer "Girl Reading a Letter at an Open Window") 比較

修復前

Jan Vermeer - Girl Reading a Letter at an Open Window

 

修復後

Vermeer - Girl reading a letter at a window, Dresden, 2021 Cupid restoration

 

事前に、こうやって画像で比較してみると、修復前の方が好み。背景がうるさくないから。

実際に見てみると

修復後の絵は、これよりもワントーンくらい明るい感じ。古いニスが除去されたからだろうか。手前のカーテンに当たる日の光とか、金糸のような少女の服の模様が白飛びしそうなほど明るく、絵を華やかにしている。

窓に反射した少女の顔も、修復後の方がはっきりしている。

 

実際に見比べた個人的感想は、修復後の方がちょっとだけ素敵だと思った。

背景が白壁ではないので、少女に自然と視線誘導されるし、画面的に落ち着いている感じがする。

とはいえ、余白を考えると、修復前の白壁も捨てがたい。光のぐあいもいいし。

見る前は、断然、修復前派だったのだが、本物を見ると判断が変わるのは面白い。一次情報って大事ね。

修復の様子

修復の様子のビデオが展示会内で再生されていて、勉強になった。

古いニスを、除去剤を浸した綿棒で取り除く。考古学者が遺跡を掘るように、ナイフで丁寧に上書きされている壁の絵を剥がしていく。

 

ドレスデン国立古典絵画館による、修復の様子のYouTube

www.youtube.com

技術的なところを中心に、どう修復していったか、について。

ドイツ語なので、何を話しているのかは、残念ながら私にはダイレクトにはわからない。しかし映像でかなりわかるし、英語字幕で補填すればかなりいい。いい時代だな。

 

山田五郎

www.youtube.com

フェルメールの人気、不人気、デ・ホーホなどの同時代の画家などについての蘊蓄なども。

山田氏は、修復反対派なのね。