cafe de nimben

見たものと、読んだもの

魚豊『チ。-地球の運動について-』(第7巻)

あああ、完全に抜けていた!

Pはポルトガルじゃなくて、ポーランドか!!!

羅針盤大航海時代ポルトガルと、信じて疑わなかったのが、勘違いの原因ですね。

ポーランド

ポーランドからならば、フス派の活躍地域は近い。

フス派の本拠地はボヘミア王国ボヘミア王国の首都はプラハ。今のチェコ共和国の首都である。この東側に位置するのが、ポーランドポーランドの首都ワルシャワプラハの距離は約600km(東京から姫路くらい)

14世紀からポーランドは、ポーランド王国リトアニア大公国の事実上の同君連合国として、当時のヨーロッパで最大領域を持つ大国の一つだった。

ざっくりとした言い方をすると、今のポーランドリトアニアベラルーシウクライナの西半分、ラトビアの南半分、という巨大さ。

なお、王朝で見ると、14世紀から16世紀にかけて、ヤギェウォ朝という、ポーランドリトアニアに加えてハンガリーボヘミアも統べる王朝があったので、そうなるともうボヘミアを中心とするフス派の話とポーランドを中心とする『チ。』の話は、同じ国内と言えなくもない。

地図がつながると、ちょっとメタに話を見ることができるから嬉しいね。

 

さて、内容。

なんか、地動説というDNAをいろんな人がバトンリレーのように渡していっているような気がする。

渡す人には渡す人のそれぞれの理由があって、それを助ける人邪魔をする人にもそれぞれの理由がある。登場人物は、劇物である地動説を扱うので、皆、命をかける。それは職責であったり、ロマンだったり、憎しみだったり、お金儲けだったりと、そのベースはみんな違う。なんとなくで命はかけられない。自分を説得できない。だから、他人から理由を問われると、それはどんな稚拙な言葉であっても、臓物から出てくるような、その人にしか紡げない言葉として出てくる。

それを問答として、会話劇として見せることによって、地動説に思いを寄せる人にも焦点が当たる。

歴史的には地動説がどうやって表に出て、従来の天動説を覆していくのかという科学史の面に焦点が当たりがちだ。しかし、それを表に出そうとした人の姿を描くことで、閉塞した状況でもがきながら光を求める人たちが活写されていく。

これは、こんなにも地動説が弾圧されているというフィクションの世界だからこそ描ける物語だろう。

しかし、ここで次回予告が「光あれ」(創世記)なんですわ。ついに、なのか?