セント・オブ・ウーマン

岐路に立つひとの物語だ。
岐路に立ったとき、正しい道を選ぶか、易しい道を選ぶか。どんな選択をしたか。その選択は、誇れるものだったか。それは今も、心に重くのしかかるのか?


今では米ドラマ『バーンノーティス』のエキセントリックなヒロインを演じるガブリエル・アンフォーとアル・パチーノのタンゴのシーンだけが頭にあったので、いい意味で裏切られた。

ある意味そういう華やかな物語ではない。
心の奥の闇をコントロールできない年老いた男の物語だ。

と、思いきや。
二重三重に張り巡らされた意図が、サスペンスとは別の意味で絡み合い、厚みのあるドラマを形成している。

夭折したフィリップ・シーモア・ホフマンの高校生の演技も、非常にクソ野郎で素晴らしい。ひとのずるさをあんなにもどうしようもなく、しかもかわいく演じられるのは異才としかいいようがない。

もちろん高校生の物語として観るのが適切なんだとおもうのだけど、どちらかというとアル・パチーノの描かれなかった物語を、私は追っていき、そしてそれに満足している。

生涯ベスト級の傑作でした。