デミアン・チャゼル『セッション/Whiplash』2014年アメリカ

最初にこの映画の報を聞いたときは、見るのに体力が必要そうだったので回避した。


Whiplash TRAILER 1 (2014) - J.K. Simmons, Miles Teller Movie HD

いい意味で小さい物語で、かつ変にまとまっていなくてよかった。

ちょっといっちゃっている音楽教師を演じるJKシモンズが良い。

彼は狂気の人だ。しかし、彼の正義は、私には正直よくわかない。

優れた悪役は、彼の正義を盲信する。『ダークナイト』のジョーカーのように。

一瞬一瞬を取り出すと、その理不尽さは悪役として素晴らしいのだけど、最終シーンに至る彼のやり方はゲスだと思う。

よく解釈すれば、彼は本当に自分のメソッドを大切にして、音楽の神への続く道に生徒を乗せていこうと考えていた。

そこにとある生徒の密告のせいで、道を断たれた。

意趣返しがしたかった。

そして、成功しかけたが、失敗し、しかしその失敗によって、音楽の神に仕えるという元の道へと復活した、という話。(あれ、いつのまにか主演と助演が逆転しているけど、まあ、いいか)

しかしなあ、そこで意趣返しをするような人なんだろうか、というのが私の疑問で。自分のメソッドを盲信するならば、その結果もなんのミスもなく完璧なものしか求めないのではないかと思う。であれば、ダメなドラマーを入れて、耳の肥えたニューヨークの音楽シーンに自分の演奏を提供するだろうか?

それすら考えられないほどゲスに堕落したのなら、他の演奏者もうまく制御できなくなっているんじゃないかしら、などと思う。

いや、強烈でしたけどね。確かに助演男優賞でオスカーとるわいな。

 

まあ、なんで『セッション』にしたのかはよくわからない。『Whiplash』をカタカナにして『ウイップラッシュ』じゃダメだったのだろうか。別にセッションしてないもんねぇ。

『火星の人』が『オデッセイ』になったり、なんか邦題って難しい。

もちろん映画がビジネスである以上は、お客様が入らないなら意味がないのだけど、タイトルは作品の顔なので、別のことを言ってしまうのは作品に対しての敬意がないような気がするので、個人的には好かない。

 

と言いながらも、この映画にしても次の『ララランド』にしても、チャゼル監督の選ぶジャズは、とても好みで、心地が良い。

次の作品も見てみたいなあ。

 

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