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見たものと、読んだもの

『ネオ寄生獣』講談社2016

萩尾望都がすごいということを思い知った。

 原作は1988年から1995年までに連載され、のちに映画やアニメになった。2014年時点の累計出版数が1300万部だから大ベストセラーと呼んでもいい作品。

 

その原作の公式二次創作。12人の作家*1による短編トリビュート。

 

出色は萩尾望都『由良の門を』。能の『玉の段』と田村玲子の子供の話がこのようにつながるとは。この短編だけでもそれなりに読めるが、本編を読んでいないとこの感情は出てこないだろうな。

寄生獣の中で一番傍観者チックでいながら、存在が濃い田村。彼女の物語が読めてよかった。

ちなみに後日談的な書き方をしているのは、萩尾望都植芝理一だけ。

ほかの作家は、横の世界観、とくにアクション系の話が多かった。たしかに派手な絵面になるので短編としてわかりやすい。

横の世界観だけど、別のベクトルが太田モアレ『今夜もEat It』。ただのパロディかとおもったらほろっとさせられる。

しかし、原作が濃いと二次創作も濃くていいね。また読み返したい作品のひとつだ。

 

寄生獣 完全版全8巻 完結コミックセット

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