素晴らしかったのは、間違いない
unkei2017.jp
運慶 vs 快慶
運慶と快慶は日本史でワンセットで習う。
ことし(2017年)の春に、奈良で快慶展をみた
nimben.hatenablog.com
快慶には、阿弥陀如来 を作り続けた静謐な木造彫刻職人という感覚を持った。
運慶にも、そういう何かを感じるかと思ったが、どうはならなかった。
四天王の猛々しさ、無著世親の大きく静かで強い意思、八大童子 のきらびやかさ。不動明王 、大威徳明王 の力強さ。
By 今泉篤男 et al. - Nihon no Chokoku 6 - Kamakura Jidai (Bijutsu Shuppansha 1953), パブリック・ドメイン , Link
今回の運慶展では、小さいものから大きなものまでまとめて、静謐なものから獰猛なものまで、ありとあらゆる仏像があったように思う。懐の深さと言えばいいのかもしれないが、この様式が運慶だというところまでは分からなかったのだ。
行く前は、職人の快慶、外連味の運慶という感じかなと思っていたのだが。
きらびやかさでは、着色系の彫刻が多い運慶なのかなという気がする。
逆に、着色系なだけに、色が落ちている(800年前だから仕方がないのだが)ので、それが返って邪魔になっている面もある。快慶の阿弥陀 様はあんまり金一色だったりするので、今も昔も変わらない感じなのだが。
滝山寺 の聖観音 像のように色が完璧に残っているものは、息をのむほど美しかった。
八大童子 も色は飛び気味だがなんとなく残っているので良い。興福寺 の四天王なんかもフル着色で見てみたいものだ。
設置の素晴らしさと、その暗黒面
何と言っても素晴らしかったのは、設置の仕方である。
例えば、真ん中に興福寺 の無著/世親を置き、周りを四天王で囲む。
四天王は興福寺南円堂 のものだが、実際には北円堂にこのような形で安置されていたのではと言う説に基づく。お寺の中では前から拝むことしかできない。置かれている間を自由に歩き回れると言うのは、非常に贅沢だ。
しかし、ネガティブ面も残念ながらある。動線 がどうにもならない。大混雑の場内なので、一方向に等速度で歩いて行けない作りだと、人とぶつかる。見ることに集中できないが、非常に辛かった。
国立なのでこう言うことはできないのかもしれないが、プレミアムチケットと言うことで人数限定でゆっくり見られるようなプランはできないものか。
好きな仏像
ぷりぷりのお尻ですよ。
パブリック・ドメイン , Link
これ、龍も一緒に「ガーッ」と言っているのが、かわいい。
www.kohfukuji.com
運慶ではないのだが、龍燈鬼立像のがっつりとしたお尻と太ももが好き。
今年の春の興福寺 では真正面からし か見ることができなかった。今回は360度。嬉しいい。
四天王は強い。多聞天 は毘沙門天 ですからね、そりゃ強いさ。たくましいし大きいし怒り顔だし、最高。着色が全部残っていればいいのに。
By Imperial Japanese Commission to the Panama-Pacific International Exposition - Japanese Temples and their Treasures (The Shimbi Shoin 1915), パブリック・ドメイン , Link
持ち物って、直刀を持つ持国天 をのぞいて、みんな三又の槍(三鈷戟)なのね。(なぜかポセイドンを思い出してしまって)
それで気になって調べるが、持ち物は別に決まっている訳ではないのだな。wikipedia を正とすると
持国天 東 日本では刀を持つことが多い 中国民間信仰 :白面に琵琶
増長天 南 日本では刀剣ないし戟を持つ 中国民間信仰 :青面に宝剣
広目天 西 天平 時代は書き物、のちに三鈷戟 中国民間信仰 :赤面に龍
多聞天 北 日本では宝棒に宝塔が多い 中国民間信仰 :緑面で右手に傘、左手に鼠
※東西南北が普通の色の組み合わせとは違うのはちょっと解せない。
四天王に踏まれている邪鬼の足の指が、ほとんどの場合、親指二つみたいになっていたのは初めて気がついた。(願成就院 の毘沙門天 の写真ので明確にわかる)
その他のお気に入り
途中から仏に玉眼を使うのを止めた。人には使い続けるので、人と人ならざるものをそこで分けるというのは、とても興味深い。
十二神将 勢揃いは可愛かった。特に干支の動物を示す頭飾りが。
鳥獣戯画 展以来の再会だが、高山寺 の仔犬は本当にかわいい。触りたい。
備忘のための、YouTube 動画埋め込み
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