ジャリル・レスペール『イヴ・サンローラン』(Yves Saint Laurent)2014

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9.6公開 映画『イヴ・サンローラン』予告編

 

私ですら知っている、フランスのハイブランドメゾン、イヴ・サンローランのブランド公認で、ブランドの名前であり創始者の伝記映画。

美しい、人

主演のピエール・ニネ(Pierre Niney)はすごくハンサムだけど、本人もここまでではないにしてもハンサムだということを初めて知った。

モデルのヴィクトワールを演じるシャルロット・ルボン(Charlotte Le Bon)なんてこの世のものとも思えないほどの美人だった。

なかなかの眼福。

美しい、服

ブランド公認なので、当時のコレクションを使えたりと、とても贅沢に作られている。

服の保護のために、モデルと服の間に一枚布を当てなければならなかったらしいけど。

モデルが実際に着用しているモンドリアン(名前は知らなかったが、YSLのデザインといえば、わたしにとってはこれ)を見ることができたのは、眼福でした。

ただ、『七人の侍』をみて感じることとにてるのですが、「あたりまえじゃん?」みたいな感想をもってしまうが。あまりにも良すぎたのか世界中でパクられて定番化しているためなのだけど。そのため、これがどういう服飾史的な影響があったのか、ということを、私のようなど素人にもわかるように映画記述してくれるとうれしかったなぁ。

醜い、心

いろいろな美しさの裏側には醜さがどうしてもあるわけで。

セックスとドラッグとアルコールと躁鬱。

21歳でディオール首席デザイナーになって、という服の天才。服の天才であっても、その若さでメンタルを壊さずに重責を担えるひとってそんなにいないわけで。まあ、壊れるよね。病んでDiorからは追い出されることになる。

愛憎半ばする盟友/恋人、ピエール・ベルジェ。

共依存的で、堕ちていく姿は官能的ではある。ただ、現実として堕ち続けるためには、一定以上の高さを保たねばならない。それは年に2回のコレクションの成功。

プロとしてそれには間に合わせ、間に合わせるどころか「モードの帝王」として革新を続けるも、そのために疲弊するサンローラン、疲弊した彼を支えているのか無理に飛翔させているのか隷属させているのか自己卑下しているのかベルジェ。

どちらもコントロール不能になりつつ、ギリギリのところでプロとしてコレクションを成功させていくのは、そもそも幸福なことなのか。

そこはある意味ドキュメンタリー的に描写を続け、特に結論的なものは見せない。それをエンタメ的に面白いと思うかどうかは、見たひとそれぞれだろうなあ。

こういう視点で見たかった

服飾史という視点で見るなら、ちょっと前にも触れているけれど、なぜYSLのこのデザインが革命的だったのか、というような視点の映画。黒人のモデルが出てくるのも革命的なことだったらしいから、世界の状況とモードの歴史をリンクさせたようなものがあるとうれしい。

サンローランとベルジェの愛憎劇であれば、服の要素はもっと減らし、かつ出会いからサンローランの死までの話として、見てみたかった。

そういうのあるかなあ?

丁寧に作られているけれど、ちょっと好みではないという映画。


 

イヴ・サンローラン [DVD]

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