cafe de nimben

見たものと、読んだもの

末次由紀『ちはやふる』映画版と合わせて

 漫画の『ちはやふる』と映画のそれとは、違うんだけど一緒の物語のように思う。

Kindleまとめ買い版

漫画版の『ちはやふる』はまだ完結していない。しかし、第1巻の最初の見開きを見ると、もうすぐ終わろうとしているのではないか、というところまで差し掛かっている。

終わってから一気読みも良いが、お話が終わるかもしれないドキドキを共有するのが連載リアルタイムの醍醐味というものだろう。

話のはじめは小学六年生。今は、高校三年生の10月中旬。三年間を今の所42巻で書いている。

 

今をときめく広瀬すずがヒロインで映画化というと、アイドルのプログラム映画かと思うが、違う。ど真ん中の青春映画だと思う。

青春映画とは、何かを打ち込む青春の姿を描く映画。

カルタを横軸に、太一、新、千早の3人の人間関係を縦軸に織られた大河ドラマだと思う。しかし、ある意味青春らしく、この3人の「好き」は、恋なのか友情なのか戦友なのか、いまいち判然としないところが、みぞみぞするポイントになっている。

カナちゃんと机くんの方がよっぽどわかりやすい。

 

ちはやふる』はカルタの天才を書いている漫画ではあるのだが、同時に負けて去っていく凡人を描いた作品として、私の胸を打つ。Good Loserという、潔い負けを描いているわけではない。私のような凡人が、いかに負け、負けたことに負けずに生きていくのかということを書いているかのような。青春の全てを賭けて勝つことも、負けることも、青春を過ぎたらただの一コマとなっていくに過ぎないという切なさと、それでもたくましく生きていく様を突きつけられるような。

うん、生きることは、インスタグラム的な人から見て映えることを第一目的としなくてよい。興味のない人から見たら「たかが」カルタのようなものに 貴重な時間を費やして良い。カルタが手段でも目的でも良い。目的が競技に勝つことだったり、昇級することだったり、恋人ができることだったり、深く百人一首の世界に浸ることができることだったり、田舎のばーちゃんに知ってもらうことだったり、それはなんでも良い。

自分が自分であることに満足できる何かをなしたならば、それでいい。 なせなかったら、ツライ。でもそのツラさも、良い。

ただ懸命に生きる。愚直に生きる。そこに愚直になることに賭けるものと出会えたこと自体ですでに勝利、的な。

んー、これも一つの「生きているだけで丸儲け」的なものなのかもしれない。

 DVD 


ちはやふる -上の句- Blu-ray/DVDトレーラー

 


映画『ちはやふる -結び-』主題歌「無限未来」(Perfume)PV