猫のシーンが好きだ 。
3巻で、猫が雪の中まっすぐに「ひと目もくれず」歩いていく姿が描いてある。
無音の雪の中、自分が目指す方向をじっと見つめて。
それが、宮本大という青年の強さなのだと思う。
彼の主人公力は、『うしおととら』の蒼月潮に似ている。まだ、何もないが、才能があり、バカまっすぐにそれを貫く姿に周りが少しずつ魅了されていく。人の繋がりが彼を少しずつ高いステージに押し上げていく。引き上げていく人もいる。一緒に歩く人もいる。喜んで捨て石になる人もいる。そう、彼と共にある喜びを見せることができるのだ。
『スラムダンク』で、メガネくんと赤ゴリが、3年になって初めて持てた仲間、流川と桜木。それよりも前には同級生のバスケ部員は辞めていった。一緒にプレイをすることの辛さの方が、喜びを上回ってしまったからだ。
バスケも、ジャズも、楽しいことばかりではない。むしろ辛いことの方が多いはずで、そこは逃げずにこの『BLUE GIANT』には描いてある。でも、それを上回る喜びを周りの人に与えつつ、物語ごと引っ張る宮本大を、僕は尊敬する。
おまけ漫画で、作者が漫画から音は出ないといっていた。しかし、私の頭の中では、いろんなジャズが浮かんで、大きな歌を響かせていた。
青春時代に何かに打ち込んでいて、そしてそれを果たした一部の人と、果たせなかった大多数の人に、ぜひ読んでもらいたいと思う。
そのうち、Jazzにちょっと興味が出たとしたら、以下のyoutubeの音楽を聞いてみると良いかも。
BLUE GIANT×ジャズの100枚。スペシャル・ムーヴィー
ソニー・ロリンズ セント・トーマス Sonny Rollins St. Thomas