cafe de nimben

見たものと、読んだもの

Mouvement des Gilets jaunes

Mouvement des Gilets jaunes

直訳すると、movement of yellow vests。

Mouvement = Movement
des = of
Gilests = vests
jaunes = yellow

 

ツールドフランスで個人総合優勝の人が来ているイエロージャージは、マイヨジョーヌ (maillot jaune)ですね。英名は、Yellow Jerseyで、直訳。

 

英語圏では yellow vests movement と記述されることが多いようだ。

燃料税の値上げで、暴動とそれに伴う死者を含むデモがフランスで発生。

その流れで、凱旋門の中にあるマリアンヌ像が壊された。

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7年前にパリに行ってきたときに、マリアンヌの像は見ているので、とても悲しい。 

nimben.hatenablog.com

 

デモも割とメディアに取り上げられやすいところを狙っているみたいで、住んでいる人も観光客も、個人ベースの情報だと、普通の生活をしているようではあるので、ちょっと安心している。別に、暴動の嵐がフランス中に起こっている、というわけではなさそうだ。

マクロンが大統領になったときは、極右か、非極右かということで、非極右であるマクロンがなんとか勝利。今回は、左右関係なく、富裕層 vs 非富裕層という感じになっている。

実際、EUの中ではドイツが盟主的な振る舞いができるのは経済の強さ。同じようなポテンシャルがあるはずのフランスが国際ビジネスで存在感を見せられないのは辛いところ。底上げするために経済基盤を展開させたい、というところは、もともと日本でいうと経団連のトップだったマクロン的には自然なことなのだろう。

国際ビジネスをやっているフランス人の中には、「非富裕層はまだ中世にいると思っていて、何か不満があればデモをすれば誰かがなんとかしてくれると思っているからタチが悪い。もう現代は民主主義の時代なんだから」とうんざり言っているのを聞いたことがある。そういう側面もあるんだろう。

とはいえ、だからと言ってその副作用で生活が破綻すると思っている人が声を上げるのも自然なことだ。暴動まで行くのは行き過ぎと思うものの。

お互いの正義が拮抗している感じなので、うまい落とし所を探すのが、とても難しい状況にあると思う。対立は常に熾火のようにあったし、根本解決はないのかもしれない。あるとすれば、日本の高度成長期のような経済成長だけだろう。それはミラクルすぎて、あまり考えられないが。

 

3月のライオン:原作:羽海野チカ(2007-), 実写映画:大友啓史(2017)

原作も好きで、映画版をやっと録画で見たので。

タイトルの元々の文章は、イギリスのことわざで

march comes in like a lion and goes out like a lamb.

三月は獅子のようにやってきて、小羊のように去っていく。

日本でいう三寒四温のようなもので、春の最初は気温が獅子のように乱高下するが、だんだん落ち着いて穏やかな子羊のようになる、というもの。

実写映画版

映画の方は、前編後編となっており、エンドクレジットの時に出るのが、上巻がmarch comes in like a lion. 下巻が march goes out like a lamb.という、裏表感が出ている。

 

となると、前半は獅子のような嵐で、後半は子羊のような穏やかさで終わるかというと、いやー、そんなことはないと思うのだけど。もちろん大事なモチーフのいくつかは終わります。しかし、原作が終わっていないので、グランドフィナーレってではないという意味ですが。

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羽海野チカは、大きな意味での「愛」を、「恋」「情」「家族」「友」という細かい細かいグラデーションにかき分けて、そのマッチングのどうしようもなさを温かく見守るような感じが素敵。救われるというか。

ただ、それを全部入りで前後編に収めるなんて、尺が足りなさすぎるので、どこにフォーカスを当てて、逆に何を捨てるかが大事になる。またその選び方に、監督の作家性が出てくる。

よく前後編でまとめたな、という手堅い監督の手腕がひかる。

棋士としての桐山零を縦軸、家族を求める高校生としての桐山零を横軸として、堅実に編んである布という感じ。

縦軸を考えると、後編のフィナーレはあああるべきだし(それが子羊のように穏やかかどうかはよくわからないけど)

横軸を考えると、義理の姉というべきなのか香子が原作よりも前に出てきて「家族の不在」が出てくるのも必然だと思う。また、それに足る構成と演技になっていてとても良い。原作漫画の第一話を読むと、絶対これが太線だと思っていたんですよね。原作漫画では、今は、この辺りトーンダウンしているようにみえますけど。

ということで、この映画の有村架純はとても良いと思います。主演の神木隆之介は、他には思いつかない出来栄えという、『ハウルの動く城』で「うましかて」を「馬鹿手?」と思っていた天才子役というところからは、はるかに逸脱したすごい俳優さんです。

 

しかし、俳優さんってすごいなと思うのは、みんな頭脳労働でダサい人という絵にきちんとなるってところ。

伊藤英明染谷将太の怪演も良かったし、伊勢谷友介のガチクズも良かったし、繊細な佐々木蔵之介や、神の子宗谷の加瀬亮も良かった。

宗谷冬司をやった加瀬亮なんて、SPECの時は脳筋一本槍ですのに。

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原作漫画版

原作者である羽海野チカ*1は、ことわざの元の意味とは異なったものをこのことわざに見つけたようだ。最終形がどうなるのか、まだわからないけれど、最初は「『零』という名前の男の子と彼をめぐるみんなの物語」という小さな箱を見つけたと、第1巻のあとがき漫画に書いてある。

原作の漫画は2007年から連載されていて、継続中。現在は13巻まで。この12月末に14巻が出る予定。

主人公の桐山零のビルディングロマンでもあり、彼の周りの主に棋士の群像劇であり、という大河ドラマ

そういう意味で、前作の『ハチミツとクローバー』と同じような型。

ハチクロ』は卒業という終わりが必ずあることが前提の物語だったのだけど、棋士は死ぬまで棋士だから、どういう構成で今後を考えているのかは予想がつかない。私が気になる香子もどう出てくるのかわからない。

でも、ダメさも含めて、理不尽さも含めて、それを語っていくのを今後も期待したい。

*1:しかし、「羽海野チカ」とか『逃げるは恥だが役に立つ』の「海野つなみ」ってすごい筆名ですね。

つくみず『少女終末旅行』(2014-2018) Kindle / アニメ(2017) @Netflix

世界の最後になった女の子二人が、そこにたどり着くまでを、淡々と描く作品。

 

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60−70年代ならば、ポストアポカリプトディストピアハードSFになるところだ。世界の終わりに二人だが、世界を救うと言うようなセカイ系にもならない。

今なので、日常系っぽくなる。

しかし、いわゆる日常系とは違う。なぜなら、終わるからだ。

終わるための通奏低音として、常に死は隣り合わせに語られる。

 

死には二種類ある。肉か虚無かだ。

肉としての死は、例えば『ランボー 最後の戦場』がわかりやすい。泥と血の雨。

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虚無としての死の匂いが、『少女終末旅行』には強い。食べてしまう魚をのぞいて、死肉は出てこない。ゆえに、腐る匂いもない。人類の肉体の痕跡は、骨すらない。

ただ、滅亡した都市と製造物のなかを、古風なケッテンクラークにのって、少女が二人、終末に向かって旅行をしているのだ。そして遺物をみて、二人は感じ、語り、そして補給が済んだら、祖父の遺言である最上階を目指して旅立つ。

何人か人に出会うことがあるため、彼女らは大勢の人類の中の二人なのだと思っていた。しかし、とあることから、世界には彼女ら二人しかいないことがわかる。少女二人では、「人類の罪が浄化された世界のアダムとイブ!」という話は成立しない。ここで種としての人類は、絶命することがここで明らかになる。

あとは、ウルトラCで生き残るか、さもなくば死を確実にするためだけに、ページが進んでいくことになる。

死が確実になって以降、何が書かれるべきなのか?

それはしかし、読者である私もそうだ。生者である以上は、いつかかならず死ぬ。しかし、家族、親戚、友人、またはこのBlogなどのような様々な中に、痕跡は残っていく。人類として滅ぶということは、それも残らない。それを考えると、自分が生きているということのありがたさ、当たり前だと思っていることの当たり前でなさが、浮かび上がってくる。

それは崇高な理念でもなく、個人的に、自分の人生ってこうだったよね、という小さな小さな主語である「私にとって」が全てでいい。

幸か不幸か人生は終わるまでは終わらない。読者である自分が、種の最後の人間として生を終えるなんてドラマは起きないだろう。だからここまでの絶望にあうことはない。にも関わらず、アホみたいな小さなことで悩み恨み嘆き怒り絶望する。

「生きるのは最高だったよね」と言えるように、生きていくしかないんだろうね。

 

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ブライアン・シンガー『ボヘミアン・ラプソディ』(Bohemian Rhapsody)英米2018

最後の Live at LIVE AID @Wembley Stadiumの20分強のためにある映画。

音響が大事なので、ぜひ映画館で。

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個人的にもう一度見たいかと言われると、いや、LiveAID以外の部分は見たくないと答えてしまう。なんせ、ツライのだ、フレディーを見ているのが。もちろん映画なので、事実と異なる部分や、見せていない部分があるのがあるのはわかる。でも、彼の動機がそこから来ているのであれば、それを見せつけられるのはしんどいかなあ。

 

そこまでツライ感じに見えてしまうのは、主演男優の演技が素晴らしかったから。

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脚本や構成はちょっと好みではないが、撮影終了直前に監督が降板するなど、色々あったからみたいなので、現場はきっと大変だったんでしょうね。

繰り返しになりますが、Live AID の再現が素晴らしいので、ぜひ、映画館で。

 

もっと深く知りたいという方は、こちらのBlogをどうぞ。映画と史実との違い、そして何と言ってもクイーンについて愛に満ちた言及がありますので。

tamaranche.hatenablog.com

無粋かもしれないが、事実との差分

rollingstonejapan.com

 

フィリップス・コレクション展 @三菱一号館美術館

概要

オールスターという感じで、同時代の名のある画家を中心に収集した感じ。今回来ているのは、一度は名前を聞いたことがあるような有名作家ばかり。

 「全員巨匠」というのは、確かにその通りだった。

といっても、すごい大作、というよりも、こじんまりと自宅に飾って、日常的に楽しみたい感じ。

今回来たものだけなのか、それとも全体的にそうなのかはわからないが、少し湿気を帯びた静かで温かい感じが好きなのかな。

 

mimt.jp

 

ご本家のフィリップス・コレクションの公式ページはこちら。

The Phillips Collection

 

だいたい第一次大戦から戦後にかけて蒐集。ほぼ、年代別に掲示してある。記紀でいうと編年体

年代別の良さは、具象の絵が、だんだんキュービズムに行く遷移が楽しめるところ。

 

特に気に入った作品

カンディンスキーの「連続」 / Kandinsky "Succession"

五線譜からこぼれ出す音楽って感じ。カンディンスキー、わけがわからないと思っていたけれど、これは大好き。

https://uploads3.wikiart.org/images/wassily-kandinsky/succession-1935.jpg

public domain / 

https://uploads3.wikiart.org/images/wassily-kandinsky/succession-1935.jpg

 

ドガ「リハーサル室での踊りの稽古」 / Degas "Dancers at the Barre"

ドガのバレエ品は、「稽古する踊り子」も良かったが、「リハーサル室での踊りの稽古 /Dancers at the Barre」背景色が軽やかなオレンジだったのが好ましい。

https://uploads2.wikiart.org/images/edgar-degas/dancers-at-the-barre.jpg

public domain / 

https://uploads2.wikiart.org/images/edgar-degas/dancers-at-the-barre.jpg

 

ピエール・ボナール『開かれた窓』 / Pierre Bonnard "The open window"

ピエール ボナールは見たことがなかったのだけど、見てるうちに少しずつ好きになる感じ。ハレの作家というより、ケなのかも。

「開かれた窓」がとても良かった。ネコも幸せそうだったし。

https://uploads5.wikiart.org/images/pierre-bonnard/the-open-window-1921.jpg

(public domain) / https://uploads5.wikiart.org/images/pierre-bonnard/the-open-window-1921.jpg

ああ、気にいるんだったら、国立新美術館のボナール展行けばよかったな。ピンと来なかったから行かなかったんだよね。

オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展|企画展|展覧会|国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO

やっぱり、生で見るのは違うなあ。

 

パウル・クレー『養樹園』 / Paul Klee "The Nursery Tree" 

パウルクレーの「養樹園」は、象形文字っぽい石板に、やわらかい色のグラデーションが乗っていて、、軽やかでステキ。

http://www.bestweb-link.net/PD-Museum-of-Art/960/Klee/No.041.jpg

(public domain)  http://www.bestweb-link.net/PD-Museum-of-Art/960/Klee/No.041.jpg

 

ロジェ ド ラ フレネ「エンブレム(地球全図)」 / Roger de La Fresnaye

ロジェ ド ラ フレネ (Roger de La Fresnaye)の「エンブレム(地球全図)」もよかった。書斎に飾りたい。やわらかな青に整えられた、抽象化された本や文房具。この人、wikipediaの日本語版にもないので、マイナーなのかなあ。好きだけどなあ。画像も、パブリックドメインのはずなのだが、発見できず。

kotobank.jp

 

ゴヤ『聖ペテロの悔恨』 / Francisco José de Goya "San Pedro penitente"

ゴヤ (Francisco José de Goya)の「聖ペテロの悔恨」 / San Pedro penitente (1820-24)

Francisco José de Goya - The Repentant St. Peter - Google Art Project.jpg
By Francisco José de Goya (1746 - 1828) (Spanish) Details of artist on Google Art Project - -gEcs4kLjNE4uA at Google Cultural Institute maximum zoom level, Public Domain, Link

 

これだけだとあれなのだが、実は脳内で大変なことが起こっていまして。

展示されていない『我が子を食らうサトゥルヌス』が頭の中でセットになって、大変怖く感じました。脳内カクテル。確かに同年代の作品とはいえ。きゃー!

 

(展示外)我が子を食らうサトゥルヌス / Saturno devorando a un hijo (1819-23)

Francisco de Goya, Saturno devorando a su hijo (1819-1823).jpg
By フランシスコ・デ・ゴヤ - [1], パブリック・ドメイン, Link

(これは、プラド美術館収蔵)

 

ちなみにルーベンスだとこうなる(展示外)

Rubens saturn.jpg
By ピーテル・パウル・ルーベンス - [1], パブリック・ドメイン, Link

 

ピカソは「緑の帽子をかぶった女」のように具象図と、普通にキュービズムのがあって、混乱するw ブロンズの「女の頭部」は3次元だけど絵画にあるような感じで興味深かった。

ジョルジュブラックも、いい感じだった。

クールベの「地中海」の揺るぎない海の感じ。 

 

スーティンの「嵐の後の下校」の緑と道は、東山魁夷を彷彿とさせる。共鳴?

 

 

 参考:

nimben.hatenablog.com

nimben.hatenablog.com

nimben.hatenablog.com