cafe de nimben

見たものと、読んだもの

至上の印象派展 ビュールレ・コレクション (2/3) モネ編 @国立新美術館

クロード・モネ『睡蓮の池、緑の反映』 / Les Nymphéas reflets vert, Claude Monet

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名前の通り「緑の反映」で、水上の睡蓮の葉と、奥の森が写り込んだのか、透明で水面下が見えているのか、全ての緑がキレイで、安心します。

これだけは写真撮影が可能だったので、多くの人が撮影を楽しんでいました。言うても、一眼レフで三脚で撮りたいですけどね、一度くらい。

真っ白な壁に、この絵だけ掲げられていたらなんかいいですね。蝋燭の光で夜に読書していたい感じ。

さて、睡蓮って英語だと Water Lilies、フランス語だと Nymphéasなんですね。

睡蓮シリーズって200以上あると言うことを知らなかった。そりゃ今回のように初来日のものもあるだろうねぇ。

来日が初だったのは知っていたが、どうやらスイスから出るのが初めてだったらしい。

 

オーランジェリー美術館の睡蓮

ちなみに、パリのオーランジェリー美術館の「睡蓮 緑の反映」

Claude Monet - The Water Lilies - Green Reflections - Google Art Project.jpg
By クロード・モネ - -wEwoHEvFukepQ at Google Cultural Institute maximum zoom level, パブリック・ドメイン, Link

 

しかし、展示は一番豪華なんちゃうかなあ。一度生で見てみたい

58202-Paris (35939547494).jpg
Par xiquinhosilva from Cacau — 58202-Paris, CC BY 2.0, Lien

 

なお、オーランジェリーの睡蓮の図を、バーチャル訪問はこちらから。

Water Lilies Virtual visit | Musée de l'Orangerie

 

実際に行くなら、ルーブル>テュイルリー公園>オーランジェリー>オルセーの並びかなあ。1日で回れるとは思えないけど。

 

印象派と抽象画

昔、こんな記事書きました。

nimben.hatenablog.com

 

しかし、今回の睡蓮を見てみると、Tate Modernの睡蓮が、だんだんモネの目が悪くなっていったので、実はあれは具象的に描いたものだという話って、ちょっと眉唾に思えるなあ。オーランジェリーの睡蓮って、最晩年なんでしょ。結構意識的にこまかく描かれているように思うんだけど。

 

Tate Modernの睡蓮。だいぶ、抽象画っぽい。

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印象派と抽象画、もうちょっと考えてみないと、関連性の把握は難しいね。 

 

ちなみに、国立西洋美術館にあるのは、こちら 

Monet Water Lilies 1916.jpg
By probably bildum.de, パブリック・ドメイン, Link

緑じゃないのも、かっこいい。

それに同じ印象派でも、ルノワールとモネって随分違うというのがわかったのは、とても楽しかった。 

 

至上の印象派展 ビュールレ・コレクション (1/3) ルノワール編 @国立新美術館

個人のコレクション。印象派を中心に、だけれど、同時代のものなどもあり。

印象派」として見るならば、2016年のルノワール展というばけものがあるが、個人が自分の好みで集めているという意味で、面白かった。2020年にこのコレクションがスイスのチューリッヒ美術館に所蔵されることになるということで、最後の世界ツアーということのようです。

「絵画史上 最強の美少女」というのもアリかなと思う、ルノワールの「可愛いイレーヌ」や、今回が初来日となる、モネの「睡蓮の池、緑の反映」が、見所です。

個人的には、あとは、ゴッホ「日没を背に種まく人」も目当ての一つ。

他には、ポール・シニャックがよかったなあ。

※表記が難しい。ルノワールで統一していきたいと思います。喫茶店はルノ「ア」ール

可愛いイレーヌ / Portrait d'Irène Cahen d'Anvers /Pierre-Auguste Renoir, 1880

Mlle Irene Cahen d'Anvers.jpg
By ピエール=オーギュスト・ルノワール - http://www.abcgallery.com/R/renoir/renoir29.html http://www.arteworld.it/ritratto-irene-cahen-danvers-renoir-analisi/, パブリック・ドメイン, Link

8歳ですって。そうは見えないなあ。下側のスカートのところ、白と青と金の組み合わせがとても清楚で美しい。

光の当たり具合からしても、顔を中心に見て欲しいという意図もよくわかる。

1番の人だかりでした。

こぼれ話

実際は、この絵の出来上がりはモデルには嫌われ、ナチスには売られるというすごい変遷を経て、ビュールレ・コレクションに収まるという波乱万丈である。映画にしてくれないかな。詳しい経緯は以下参照。

東京新聞:<幻の少女を追って 至上の印象派展を前に> (上)一時はナチスの手に:至上の印象派展 ビュールレ・コレクション:イベント情報(TOKYO Web)

東京新聞:<幻の少女を追って 至上の印象派展を前に> (中)「あの絵は大嫌い」:至上の印象派展 ビュールレ・コレクション:イベント情報(TOKYO Web)

東京新聞:<幻の少女を追って 至上の印象派展を前に> (下)長女の記憶を求めて:至上の印象派展 ビュールレ・コレクション:イベント情報(TOKYO Web)

 

しかし、wikipediaには、この「可愛いイレーヌ」の解説って、日仏伊の3ヶ国語、つまり英語がない。ってことは、「最強の美少女」が英語圏にはあまり知られていないってことなのかしら。英語圏での「最強の美少女」って何なのかは、ちょっと興味ある。

蛇足:印象派と私

2016年のルノワール展は、これも国立新美術館だったのだが、オルセー美術館とオーランジェリー美術館から、有名どころを引っこ抜いてくるという凄まじいものでしたからね。ベストアルバム的な。日光がキラキラして印象に残ります。

Bal du moulin de la Galette  (Musée d'Orsay) / ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会 (オルセー美術館蔵)

Pierre-Auguste Renoir, Le Moulin de la Galette.jpg
By ピエール=オーギュスト・ルノワール - http://allart.biz/photos/image/Pierre_Auguste_Renoir_2_Bal_du_moulin_de_la_Galette_Smaller_version.html (derivative work of musee-orsay.fr image?) Notwithstanding the source description, this is the version at the Musée d'Orsay (in the smaller version the central figure leaning forward lacks an earring)., パブリック・ドメイン, Link

 

私個人は、今まであんまり印象派を好んで見ては来なかったのですが、オルセー美術館で初めて生で見て、こいつは面白い、と感じ、テートモダンで抽象画との関連を考えた時に、光の芸術たる印象派が好きになったというニワカです。

 

nimben.hatenablog.com

 

なお、2016年のルノワール展については、主催の日経新聞社のまとめがいい感じ

www.nikkei.com

ドイツ語だけど、本家のWebページ。せめて英語も用意してくれればいいのになあ。

Werke · Stiftung Sammlung E.G. Bührle

avicii "wake me up" 2013

Aviciiの曲は、この曲がやはり、一番好きだ。

28歳と言うのは、若すぎる。

28歳で亡くなったAviciiとしては、夢を見たままだったらいいんだけど。

RIP

www.youtube.com

要旨

まあ、「ジジイババアは黙っとけ。若い俺は俺の道をいくんで邪魔しないでくれ」と言う歌と解釈すべきかと。

いつか聞く耳を持ってもいいんだけど、それは今じゃない。若さゆえの間違いをしているように見えるかもしれないが、俺は俺なりに正気でやっている。

忠告をする年寄りに、ちょいと口の端を歪めておちょくるような、うざいから黙って見ていろと言うか、そんな感じではなかろうかと。

これって若いと、正直な感想だし、ちょっと若くなくなると見ててイタくなるので忠告したくなるし、さらに年を経ると微笑ましく見届けるみたいな感じになるわけですが。

拙訳

1番

この暗闇を抜けた先に、自分の道が続いているのを感じる

道しるべは、心臓の鼓動だ

この旅がどこで終わるのかはわからない

でも、どこから始めればいいのかは、わかっている

(それが間違っていると言うことが)若すぎてわからないんだと人は言う

夢に取り憑かれているんだと

しっかりと目を開けなければ、人生は過ぎ去ってしまうよ、だって?

まあ、それでも構わないんだけど

 

サビ

だから、(この夢が)全部終わったら起こしてくれ

もっと賢く、もっと年をとってから(起こしてくれ)

今までずっと、自分が本当に何をやりたいのかを探してきたが

自分を見失っているなんて、思ったことはないぜ

 

2番

世界を背負っていこうとした

でも手は2本しかない

世界を旅するチャンスがあればよいのに

でも何も計画はない

 

ずっと若いままでいられたらいいのに

目を閉じることは別に怖くない

人生は、誰もがプレイするゲームで

愛はその賞品だ

 

(サビの繰り返し)

※1番と2番の歌詞の接続性全くわからんですw

 

 

重要単語 Find oneself

 

Definition of find oneself

to learn what one truly values and wants in life 
  • He left school and traveled to Europe, saying that he wanted to find himself.

Find Oneself | Definition of Find Oneself by Merriam-Webster

「自分の人生での、本当の価値ややりたいことを学ぶ、手に入れる」なので、直訳っぽいけど「自分探し」が一番近いかも。

頻出のbottom 10%なので、あんまりよく使われる表現ではないですね。

自分に対して使う find って、「○○している自分に気づいた」と訳すとちょっとバタ臭くなるので、「気づくと○○になっている」と言う方が、日本語としてこなれている気がしています。

Beatles "Let it be"

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When I find myself in time of trouble, Mother Mary comes to me.

厄介なことになっていると、聖母マリアがきてくれる。

Meghan Trainor "Like I'm Gonna Lose You"

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I found myself dreaming in silver and gold
Like a scene from a movie that every broken heart knows

気づいたらキラキラした夢を見ていた。
失恋したことがあるなら誰でも知っている映画のワンシーンのような

 

その他

Aviciiは、老人にはわからんかもしれんが、インターネット時代ではこれが常識で、儲けさせてやるから黙って見てろ、的な感じがする。

これがオレの人生だ! と高らかに歌い上げるといえば、Bon Jovi "It's My Life" (2000) なんかもかっこいい。

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個人的には、Bon Joviだと "Living on a prayer" (1986) あたりで、Bruce Springsteenの "Born to run" (1975) ように泥臭く八方塞がりの中でなんとかもがく若者というのがいいと思っているんだけど。

 

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貧乏からの成り上がりというアメリカン・ドリームの感覚が、70年代、80年代、00年代、10年代で違うのは、世相的には当たり前っちゃあたりまえか。

 

「Unfinished」 建築展 @駐日スペイン大使館

なんかかっこいい建物があると思ったら、スペイン大使館だった。

その塀に無料の展示会があると書いてあったので入ったら、なかなか面白かった。

www.instagram.com

スペインと日本の外交樹立関係150周年を記念する文化プログラムの一環として、「Unfinished」展が4月4日から一般公開されます。
スペイン人建築家のイニャキ・カルニセロとカルロス・キンタンスのキュレーションよるスペイン館の「Unfinished」は、ヴェネツィアビエンナーレ2016で金獅子賞を受賞しました。2008年以降は経済危機により、不動産ブームを機に始まった多くの建築工事や計画が未完成のままとなっています。この展覧会は、経済的、社会的、環境的変化に対して、建築が適応できる新しい方法を映し出しています。

スペイン大使館による概要

http://www.exteriores.gob.es/Embajadas/TOKIO/ja/Noticias/Paginas/Articulos/20180327_NOT02.aspx

 

まず、スペイン大使館、建物がかっこよかった。

廊下の抽象絵画もかっこよかった。

情熱の赤、と言っても朱色ではなく、ちょっと臙脂がかった渋い感じの赤。

直線を基調とし、水平と垂直にこだわった感じの建物。

ギャラリーとなっていた地下一階の空間は、地下一階とはいえ、天窓から自然光が燦々と降り注ぐ。

やぁ、ここはいいわ。

ここでスペインワインの講座とか、ブッフェとかあったらもちろんお金払って参加しますわ。

 

ギャラリーは先述の通り地下一階。

スロープを降りると、別に学芸員さんはいらっしゃらず、ただ、写真と設計図が並べてある。

それまで景気が良かったスペインが、2008年以降の経済危機により、作りかけのままの建物(だから unfinished) の写真が並べてある。

でもねえ、天然の石と、木の組み合わせがすごくかっこいいのが多かったんですよ。

2008年が経済危機の始まりだから、もう10年この状態なのかなと思うと、写真の状態も実はもっと雨ざらしでひどくなっているのかもしれないけれど。

完成されていれば美しかったであろう、起こり得た未来への図と、今の仕掛かり中のままの状態でかつこれからさらにダメになっていくだろうもの。

建物の九相詩絵巻的なものになってしまうのだろうか。

 

デザインのかっこいい建物が多いので、何とかまた景気が良くなって、かっこいい建築として復活して欲しいところだけど。

今年は、日本スペイン国交樹立150年だそうなので、色々なイベントが企画されているようなので、ちょっと注目していきたい。

ちなみに、プラド美術館展も、その一貫らしい。

 

 

 

『クィア・アイ』season 1 / Netflix

これは、ダサいやつをかっこよくする話ではなく、何かで変われないと思い込んでいる人が、変わっていこうとするリアリティショーだと思う。

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話はなかなかキャッチーだ。

Fab5というチーム名で、それぞれに専門性をもつ5人のゲイが、ダサいストレートの男を1週間でかっこよくする。専門性は、ファッション、フード、インテリア、グルーミング、カルチャーの5つ。日本のマツコデラックス的な風体ではない。ちょっとグルーミング担当の人がちょっとフェミニンかなとは思うが、普通の人に見える。

しかし、拠点がなかなかすごい。ニューヨークとかカリフォルニアならそんなに違和感ないだろう。

ジョージア州アトランタ。ド南部である。最近、IT系誘致のために日本でいうと特区的な感じなので、全世界から人が集まるようになってきているとは言え、『風と共に去りぬ』の街ですからね。

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白人3名はまだ良いとして、アフリカ系とパキスタン系がいる。

テレビスタッフがいたって、なかなか怖いんじゃなかろうか。

実際、アフリカ系の人が車を運転しているときに、パトカーに停められた時の表情は、本当に怖そうだった。ドッキリだったけど、にしても、だ。

 

しかし、彼らはいわば狂言回し。主役は、エピソードごとに変わる「変わりたい素人」だ。

変わりたい。変われない。諦め。Fab5がきても、お愛想笑い。空気を読んでノリを合わせて。(そう、こういうのは別に日本人だけじゃないのよ)

 

昔、サッカーの日本代表監督のイビチャ・オシムが、日本サッカーの日本化を掲げていたが、Fab5は、「その人のその人化」を常にいう。嫌いなものの押し付けは一切せず、ちょっとだけ殻を破ってみようと話す。

内心はちょっと、と思っているかもしれないが、少しずつ自分を出していくことで、その変化を楽しみ、新しい自分に変わっていく様子が見えるのが、この番組の楽しいところだ。

 

ちょっと変わりたいと思っている人には、おすすめしたい。