cafe de nimben

見たものと、読んだもの

名作誕生 つながる日本美術 @東京国立博物館平成館

キューレーション萌えの私としては、とても満足でした。幸か不幸か空いていて自由に徘徊できたし。

www.tnm.jp先に読むか、あとで読むかは別として、公式ページの解説は充実しているので、ぜひご覧あれ。

今は悪食な感じで色々見てみたい。しかし、自分で何が好きかわからない状態なので、「名作」 を流れで見せてくれるこういう展示会は、初心者の私にはとても助かる。

前期は5月6日で終わってしまったが、通期展示の物も、後半にお出ましの雪舟などもあるので、また行けたらいいなあ。

第1章祈りをつなぐ

テーマ1 一本の祈り

8世紀から10世紀の、主に薬師如来立像を中心に。いきなり8体がどどどっと展示されているのに圧倒される。

最初の仏像である、神福寺の唐時代の十一面観音様の素朴さが素敵。お鼻とか取れてしまっているのだが、静かな安らかな、つい拝んでしまう。

とはいえ、奈良時代のは素朴だが頭の大きさと体のバランスがまだあまりうまく取れていない気がする。といっても、これは唐招提寺の鑑真和尚からの流れの、木造一本造。

 

元興寺、木造薬師如来立像(国宝)/8-9世紀

Yakushi Nyorai Gankoji.jpg
By 国宝図録 第三集 財団法人 文化財協会 東京都千代田区霞ヶ関, パブリック・ドメイン, Link

 

Y字型衣文を見ると、仏様って、山野を歩き回っていて、大腿四頭筋が発達しているからああなるのかな、とか思ってしまう。どっしり。

試行錯誤の末に京都春光寺のバランスになっていく様子がよくわかる。

(バランスの好みは春光寺の、足から一直線なお姿でちょっとだけ前傾しているところ。他のは、まっすぐに立って、首だけを前に傾げている感じ)

近代まで、仏像の変遷をカバーして欲しかったけど、それは、なら仏像館に再訪せよ、ってことかな。

施設案内 - なら仏像館|奈良国立博物館

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テーマ2 祈る普賢

普賢さん美しい。国宝二つの共演が見事。

普賢菩薩像』(東京国立博物館所蔵。平安時代12世紀)/ 5月6日まで

Fugen Bosatsu.jpg
By 不明  - Emuseum, パブリック・ドメイン, Link

 

蓮華座の小さい可愛い3尊が気になる。

「三化人」というらしいが、今ひとつ資料がweb上に少ない感じ。観普賢経の「象の頭上に三化人あり、一つは金輪を捉り、一つは摩尼珠を持し、一つは金剛杵を執る」(『日本の美術 269号』。ここからの孫引き 

crd.ndl.go.jp)

 

それが立体化したかのような、普賢菩薩騎象像(大倉集古館。平安時代12世紀)

騎象像なので、もちろん像さんの上に鎮座されています。その作り込みもきれい。

Samantabhadra Fugen Bosatsu Okura.JPG
By sculptor: Anonymous, 12th century, photo: Ken Domon (family name), (25th October 1909, Sakata, Japan – 15th September 1990, Tokyo, Japan ) a famous Japanese photographer - NIHON NO TYOKOKU ( JAPAN SCULTPURES), No.5, Heian Period, BIJYUTU-SHUPPAN Co., 1952-03-05, Tokyo, Japan, パブリック・ドメイン, Link

#大倉集古館って、改築工事中で2019年に再オープン予定なのか。それで貸し出されているのかしらね。

※三化人は見つけられなかった

 

普賢菩薩周りのキューレーター瀬谷愛さんによる解説

 

白象というと、私は若冲のこいつを思い出します。

Elephant and Whale Screens by Ito Jakuchu (Miho Museum)R.jpg
By Itō Jakuchū (1716-1800) - http://www.miho.or.jp/booth/html/imgbig/00012730.htm, パブリック・ドメイン, Link

出品されていませんが、伊藤若冲による普賢菩薩相国寺

Fugen.jpg
パブリック・ドメイン, Link

見たことあったっけ、と思ったら、2016年の動植綵絵+釈迦三尊の合計33幅一挙公開の時に拝見したことがあるらしい。人が多すぎたためか、記憶に残っていなかった。

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第2章 巨匠のつながり

テーマ4 雪舟と中国

雪舟。真面目に観るのは初めてかも。余白の使い方、ボケ感の使い方が素晴らしい。

 

国宝 破墨山水図 1495年

Sesshu - Haboku-Sansui.jpg
By Sesshū Tōyō (1420–1506) - Emuseum, パブリック・ドメイン, Link

 

前期だけだが、四季花鳥図を

雪舟、狩野元信、呂紀の三者が書いたものが横並びで、趣の違いを見るのが楽しかった

雪舟のは15世紀。(これはトーハクのもので、展示されていたのはキョーハクのもの)

SESHU Birds-flowers-L.jpeg
By Sesshū Tōyō (1420-1506) - scanned from a book, パブリック・ドメイン, Link

SESHU Birds-flowers-R.jpeg
By Sesshū Tōyō (1420-1506) - scanned from a book, パブリック・ドメイン, Link

私は個人的に琳派推しなので、ちょっとこれだと好みより複雑すぎるかなあ。『破墨山水図』のが好み。

テーマ5 宗達と古典

宗達頭おかしいわ(褒め言葉

平治物語の一部を扇に仕立てたテイにしたものを、図屏風にするって。

オリジナルを扇の形で範囲指定で取り出して、別の金屏風に貼る的な。(画像は探せず。無念)

テーマ6 若冲と模倣

若冲のパクリ、楽しい。鶴を、珍伯冲、狩野探幽と3人のを並べる。これは完全に模写。

若冲の鶏はいつ見ても楽しい。重文の仙人掌群鶏図屏風。

Ito Fusuma-e.jpg
By Ito Jakuchu - Catalogue, パブリック・ドメイン, Link

特別展『名作誕生-つながる日本美術』(東京国立博物館で開催) | みどころ | インタビュー「一木の祈り」

 

第3章 古典文学につながる

テーマ7 伊勢物語

尾形光琳伊勢物語 八橋図と八橋蒔絵螺鈿硯箱という、燕子花の連鎖。

伊勢物語 八橋図の写真が見当たらないので、伊勢物語でないけど光琳の別のを。こちらもMETにあるようです。

Irises at Yatsuhashi (left).jpg
By Ogata Kōrin (1658-1716) - Metropolitan Museum of Art, パブリック・ドメイン, Link

Irises at Yatsuhashi (right).jpg
By Ogata Kōrin (1658-1716) - Metropolitan Museum of Art, パブリック・ドメイン, Link

WritingBox EightBridges OgataKorin.JPG
By HANSHIITI PHOTO Co.,Ltd. - Masterpieces of Japan Arts Vol 5th, TOHTO BUNKA KOEKI Co.,Ltd. Tokyo, 1953-09-30, パブリック・ドメイン, Link

 

根津美術館

特別展
光琳と乾山
芸術家兄弟・響き合う美意識
2018年4月14日(土)~5月13日(日)

とも、響き合ってしまいますね。

www.nezu-muse.or.jp

第4章 つながるモチーフ/イメージ

テーマ9 ①松林5/6までなので急げ!

長谷川等伯の松林図屏風が出ている。やっぱこれ好き。

Hasegawa Tohaku - Pine Trees (Shōrin-zu byōbu) - right hand screen.jpg
By Emuseum, パブリック・ドメイン, Link

Hasegawa Tohaku - Pine Trees (Shōrin-zu byōbu) - left hand screen.jpg
By Emuseum, パブリック・ドメイン, Link

照明の色温度が、前に見た時よりも低くてあったかみがあったのは、ちと面白かった。色温度は高い方が、壮絶な雪の中の松林っぽくて好きだ

もちろん、他の松林との流れも良いのですが、個人的には突出してこれが好き。

流れについては、トーハクブログの以下の記事参照。

www.tnm.jp

 

見返り美人、切手じゃなくて本物は初めて見た。美しいなあ。菱川師宣

Beauty looking back.jpg
By Tokyo National Museum, パブリック・ドメイン, Link

 

www.tnm.jp