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見たものと、読んだもの

深見じゅん『悪女(わる)』(全37巻)

2022年4月から日本テレビ系列で再ドラマ化されるということで、久々に原作を読んでみた。

1988-1997年まで連載されていたので、バブル絶頂期の様子が背景に残っているのはとても興味深い。パソコンのモニタがCRTだったり、機種がNEC PC-9801だったり。(windowsの普及は 日本では1995年年末に発売されたwindows 95からだから、基本はMS-DOSで動かしていた感じですね。一部、Windows 3.1 もあるはずだけど、まあ、そういう画面は描かれていませんが)

秋月りすOL進化論』もほぼ同時期連載開始(これはいまだに連載が続いている)

弘兼憲史課長島耕作』が1983-1992年なので、これもほぼ同時期。

課長島耕作』はガッツリ昭和。接待の宴会芸の話とか読んで、社会人になったらこういうことをしないといけないのかと目の前が真っ暗になった覚えがある。

悪女(わる)』は、男女雇用機会均等法(85年法) によって、女性のガラスの天井がなくなる!? という時代背景もあって、手探りで試行錯誤する平成という感じがある。

非常に画期的だった、女性も出世できる? というところと、非常に古臭いとも言える一目惚れした相手への純愛というふたつを軸にして、主人公の田中麻理鈴(マリリン)が元気と一途に諦めない力で難題を突破していくという物語。

こういう物語の場合は、結局いい人に巡り会えたのか、というところに焦点が当たると思う。そのいいひとを引き寄せる力を、ご都合主義と捉えるのか、主人公のキャラクターが引き寄せた当然の結果と見るのかの分岐点。マリリンは、底抜けのお人好しと突進力で、応援したくなる。

私だったら、あんなに意地悪する人には、そこまでサポートできかねるのだけど。とはいえ、これは女性マンガ特有というよりも、男性系マンガでも愚直で器の大きい主人公は、敵をも魅了するというのは当たり前と言えば当たり前なのだが。

まだ昭和だなと思うのは、偉い人とコネがあるかどうかで色々決まるというところ。まあ、そうなんだけど、こんなにも上の人たちがコロッと愛してくれるというのは、なかなかに王道ファンタジーではある。

再ドラマ化で心配なのは、すでにコンプライアンス的にNGの行為が多いところ。今、ドラマ化するのであれば、そういうのをうまく避ける作りにしないとリアリティがなくなると思うんだけど、どうなんでしょうね。ちょっと怖い。