cafe de nimben

見たものと、読んだもの

東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」@東京国立博物館

概要

場所:東京国立博物館 平成館 特別展示室
期間:2022年10月18日(火) ~ 同年12月11日(日)

作品リスト

概要:150年記念ということで所蔵する国宝89件を全て展示+この150年の振り返り。

 

個人的一押し

尾形光琳風神雷神図屏風』(前期展示。江戸時代18世紀)と

Korin Fujin Raijin.jpg
尾形光琳 (Ogata Korin, 1658 - 1716) - [1] at [2], パブリック・ドメイン, リンクによる

酒井抱一『夏秋草図屏風』(後期展示。江戸時代19世紀)

「風雨草花図」(通称「夏秋草図屏風」) Natu-aki kusa zu byoubu.jpg
 

酒井抱一 - Emuseum, パブリック・ドメイン, リンクによる

 

元々は、建仁寺の図屏風の表と裏。これ、同時展示だったらよかったんだけどな。

 

www.tnm.jp

平安仏画

孔雀明王像 

2019年『原三溪の美術』(横浜美術館)でも目玉になっていた、国宝の『孔雀明王像』(平安時代

Kujaku Myoo.jpg
By 不明 - uwEm0Ca3wrGrww at Google Cultural Institute maximum zoom level, パブリック・ドメイン, Link

同じく国宝の『十六羅漢像』と同時に展示。孔雀王は前期のみ。

結構複雑な造形なのにシンプルに見える。色も結構残っていて、美しい。

 

後期に展示されていた『千手観音像』

ノーマークだった『千手観音像』(平安時代。国宝)も美しかった。煌びやかなはずなのに静謐に見える。

 

Senju Kannon.jpg
不明 - Tokyo National Museum, パブリック・ドメイン, リンクによる

 

普賢菩薩像(平安時代、12世紀)

『名作誕生 つながる日本美術』(2018) でも展示されていた、普賢さん。

 

Fugen Bosatsu.jpg
不明 - Emuseum</>, パブリック・ドメイン, リンクによる

 

 

 

詳しい解説はこちら

tnm-tobunken.tobunken.go.jp

 

地獄草紙

平安時代の絵巻物。地獄を描く。

奈良国立博物館本(原家本)ではなく、東京国立博物館所蔵の安住院本。

雲火霧

Jigoku-Zoshi.jpg
不明 - e国寳, パブリック・ドメイン, リンクによる

 

「雲火霧(うんかむ)」は、殺生、偸盗、邪淫の罪を犯した者などがおちる地獄。罪人たちは、炎の中に投げ込まれ、燃え尽き、蘇生し、また投げ込まれるというループを果てしなくくりかえす。(ループで責苦を繰り返すのは、地獄の特徴っぽい)

cf: 偸盗といえば、芥川龍之介偸盗

この他、髪火流処(はっかるしょ)という、五戒を守っている人に酒を与えて、戒めを破らせたものが落ちる地獄、などが展示されていた。

阿鼻叫喚の阿鼻は無間地獄、叫喚は叫喚地獄のことを指している。

無間地獄は一番の大罪を犯した者が入る地獄で、人間時間で682京年に相当する時間、この責苦を味わうことになる、というような天文学的な壮大な時間と、細かすぎるほどの責苦を受ける人の罪状が同時に描かれることが、なんともいえない。後白河法王が描かせ、蓮華王院三十三間堂宝蔵に納めた『六道絵』の一部だったという話もある。

同時期に表された『餓鬼草子』もすごかった。

これが描かれた平安末期って、どんな時代だったのか。平安末期で後白河法皇が生きていた時代といえば、養和の大飢饉(1181年)(なお、木曾義仲が上洛したのが1183年)があるので、その時の様子が、実は写実的に描かれているのかもしれない。

 

摩耶夫人および天人像

飛鳥時代(7世紀)重要文化財

Periodo asuka, lady maya e tre esseri celesti, VII sec 02.JPG
I, Sailko, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

三名の天人様と一緒に展示。お釈迦様が摩耶夫人の右袖からこんにちはしている。

仏像としては、運慶快慶的な写実的かつ歌舞いているものが好きなのだが、飛鳥時代のこの作品の軽やかさは、とてもあったかい気持ちになって素敵。

法隆寺宝物館で通年展示されているので、この国宝展が終わっても、すぐに見ることができる。

刀剣

今回展示されている国宝89件のうち、日本刀関連(鞘2つを含む)が19件。(21%!)

また、天下五剣のうちの二振り、びじゅチューンでもお馴染み『三日月宗近』、日本刀の東の横綱とも言われ、源頼光酒呑童子の首を刎ねたという伝説を持つ『童子切安綱』(平安時代伯耆安綱)と、が展示されている。

www.tnm.jp

www.tnm.jp

三日月宗近』は、表も裏も見ることができるという、なかなかレアな機会でした。

 

また、日本刀の西の横綱とされ、包平の中で最高とされる『大包平』(平安時代古備前包平)なども展示されている。

www.tnm.jp

 

雑感

今回のような目玉が展示替えになってしまう場合、回数券的なものを出してもらえないかなあ。

例えば、一回3000円。前期後期券が2 x 3000円=6000円のところ、5000円とか。

2回目に見るときに、展示替えがないものはあまり詳しくは見ないので、滞在時間が、場合によっては倍くらい違うんですよね。

もちろん、今は、瞬殺で予約が埋まる状態で、前期後期券を買っても、枠にはまるように予約が取れない場合のクレーム問題があるよね、というのはわかるんですけど。

 

参考

www.tnm.jp 

この仁王様と、見返り美人は写真を撮ることができました。

 

appendix: 過去に見たもの書いたもの

2016年:風神雷神図屏風(鈴木其一)

nimben.hatenablog.com

2014年:風神雷神図屏風俵屋宗達尾形光琳

www.tnm.jp

www.tnm.jp

2018年:普賢菩薩像、松林図屏風

nimben.hatenablog.com

 

童子切安綱』:酒呑童子源頼光の話

nimben.hatenablog.com

 

2018年:仁和寺孔雀明王

nimben.hatenablog.com

 

2019年:孔雀明王

nimben.hatenablog.com