cafe de nimben

見たものと、読んだもの

book

早見和真『イノセント・デイズ』新潮文庫2017(底本2014新潮社)

「整形シンデレラの殺人」は冤罪ではないのか? しかし、「犯人」は無実の声を上げない。なぜ? "Why Done It" に繋がる出来事を、章によって異なる主人公を通じて描写する、少しトリッキーな物語。 誰の何に感情移入するかによって、読後感は大きく変わると…

『猫組長と西原理恵子のネコノミクス宣言』/ 扶桑社 SPA! BOOKS 2018

面白かった。読後感が何かに似ていると思ったのだが、これ犯罪もののハードボイルド小説だ。 猫組長と西原理恵子のネコノミクス宣言 作者: 猫組長,西原理恵子 出版社/メーカー: 扶桑社 発売日: 2018/06/02 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含む…

ダニエル・ピンク『人を動かす、新たな3原則 売らないセールスで、誰もが成功する!』講談社2013 (2/2) 新ABCを整理する

さて、では新ABCを著者がどう定義しているのかを整理してみます。 感覚的にはいわゆるソリューション販売的な、相手理解、提案態度、提案を際立たせる方法、をまとめたものに近いように感じます。びっくりするような新規性のある感じではないですが、整理と…

ダニエル・ピンク『人を動かす、新たな3原則 売らないセールスで、誰もが成功する!』講談社2013 (1/2) ABCを辞書引きながら考える

原題は "To sell is human". 「売るってのが、人っちゅうもんよ」です。 別にセールスマンだけでなく、ほとんどの職種の人は「売る行為」をしている。それは何かを物理的に買ってもらうだけじゃなく、何かをしてもらうという交渉のことだからだ、という説明…

ぬまがさワタリ『図解なんかへんな生きもの』光文社2017

いや、普通の生き物が、全てなんか変、というか可愛い。 図解 なんかへんな生きもの 作者: ぬまがさワタリ(絵・文) 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2017/12/14 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (3件) を見る 通勤前の朝の貴重な時…

本間浩輔『ヤフーの1 on 1』ダイヤモンド社/2017

自分の会社以外で、どう言う1 on 1 が行われているのかを知る機会はなかなかないので、為になった。 上級執行役員コーポレート統括本部長、と言う肩書きもあって、「なぜ」 1 on 1 をするのか、と言う意義に焦点が当たっている。「そんな時間作れないよ」と…

クリスチャン・ザイデル『女装して、一年間暮らしてみました。』サンマーク出版

面白い。内的な男女って、色々あるもんね。 女装して、一年間暮らしてみました。 作者: クリスチャンザイデル 出版社/メーカー: サンマーク出版 発売日: 2015/05/15 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 最初に、ももひきが嫌だから、スト…

竹宮惠子『地球へ…』(eBook Japan Plus/kindle)

名作ですよね、これ。1977年1月連載開始か。スターウォーズがアメリカで5月にエピソード4が公開された年。 地球(テラ)へ… (1) (中公文庫―コミック版) 作者: 竹宮惠子 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 1995/01/18 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: …

安彦良和『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(角川書店/kindle)

なんか奇妙な話ですねぇと、我に帰ると思うのですが、読んでいる間はページめくりが止まりません。 絵にねじ伏せられた感が大きいです。 [まとめ買い] 機動戦士ガンダム THE ORIGIN(角川コミックス・エース) 作者: 安彦良和 メディア: Kindle版 この商品を…

おかざき真里『阿・吽』

言葉は阿頼耶識というこの世に形として存在しないものに器を与え、人に見えるようにする次元変換装置である。それにとどまらず、その形を人に伝え、広めるためにも使う。逆に、言葉は言葉として抽象化された時点で、非可逆圧縮されてしまうから、漏れ落ちた…

2017年に読んだ掘り出し物漫画5作

小説脳を取り戻す、でも書いたのだけれど、ビジネス本ばかり読んでいると、小説的なものって読むのが大変になる。使う脳が違うから。漫画もある程度そうなのだけど、テレビや映画を見ているので、リハビリはほとんどなくていいのが楽なところ。 読むのはもっ…

高橋慶太郎『ヨルムンガンド』サンデーGXコミックス(全11巻完結)

最初、なんで『ヨルムンガンド』なのかわからなかったのだが、読み終えると確かにヨルムンガンドですね。 [まとめ買い] ヨルムンガンド(サンデーGXコミックス) 作者: 高橋慶太郎 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る この本の表裏には 五つの陸…

石塚真一『BLUE GIANT』ビッグコミックス(全10巻/完結)

猫のシーンが好きだ 。 3巻で、猫が雪の中まっすぐに「ひと目もくれず」歩いていく姿が描いてある。 [まとめ買い] BLUE GIANT(ビッグコミックス) 作者: 石塚真一 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 無音の雪の中、自分が目指す方向をじっと…

山口つばさ『ブルーピリオド』月刊アフタヌーン連載中

最近のアフタヌーンの中でのお気に入りが、山口つばさ『ブルーピリオド』だ。 afternoon.moae.jp ある種、鉄板の話である。ある程度なんでもできる人が、なんでもできるが故に退屈していて、ひょんなことでその「何か」に出会ってしまい、今までも「広く浅く…

水野仁輔『幻の黒船カレーを追え』小学館2017(kindle版)

これは幻の黒船カレーを追った、旅行記である。 追うのだから、物語の駆動は「見つかったか」「見つからなかったか」の試行錯誤の積み重ねだ。ミステリーで、「誰が殺したのか」「なぜ殺したのか」を軸に物語を駆動させるのと同じである。 これはしかし、ヘ…

オースン・スコット・カード『エンダーのゲーム』新訳版 ハヤカワ文庫SF

エンダーは、果たして幸せになったのだろうか。 エンダーのゲーム〔新訳版〕(上) (ハヤカワ文庫SF) 作者: オースン・スコット・カード,田中一江 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2013/11/08 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログ (22件) を見る…

りょかち『インカメ越しのネット世界』幻冬舎Plus+ 2017

エモい(褒め言葉) http://logmi.jp/216705 インカメ越しのネット世界 (幻冬舎plus+) 作者: りょかち 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2017/05/26 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る これが、マーケット的に正しい分析なのかどうかはわから…

新潮社『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ』

快作いや、怪作か。 普段触れることのない、鳥類学者の知られざる日常を軽妙な文体で語りあげる。 鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。 作者: 川上和人 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/05/12 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る …

5K Retinaの威力をkindleで知る

撤回する。 雑誌を幾度かkindle for macで試し読みをして、やはり向いていないと思っていた。 そう判断していた時のiMacは1080ではあるもののretinaではない。大きさも21インチ。 今は27インチで5Kだ。 読める。読めるぞ。おしゃれ雑誌の小さい文字が。(pps…

質問力と翻訳力

言葉を、わかりやすくまとめる翻訳力が大事だなとおもった話。 logmi.jp 対談形式なので、断定調で語る結論的なものはないから、自分の勝手解釈で考えていくが。 1日の終わりに「チェックアウト」を設けるのが大事 「チェックアウト」ってなぜ必要? では、…

大西巷一『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』 (アクションコミックス)

ミュシャ『スラブ叙事詩』の「言葉の魔力」にでてくるヤン・フスというひとってどんなひとかと調べてみてぶちあたったコミック。なんちゅうか、悲惨。まだ連載中で7巻まで出ています。巻末解説で、どれは創作、それは史実、みたいなことも書いてありますの…

伊賀泰代『生産性』ダイヤモンド社2016

教科書的なまとめとして、よくまとまっている。人事教育という視点では、さすがに経験者だと思う。 生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの 作者: 伊賀泰代 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2016/11/26 メディア: 単行本(ソフトカバー…

海野つなみ『逃げるは恥だが役に立つ』テレビドラマ版も合わせて

ガッキーがかわいいだけのドラマと一部言われているのは知っている。 ガッキーはたしかにかわいい。 が、その絶妙なコメディエンヌぶりと、相方の星野源のコメディアンぶりに隠されて、けっこうディープな話をしている。 原作もまだ完結していないが、読みま…

新井素子『……絶句』1983年早川書房(2010新装版)

新井素子作品の中でいちばん好きな作品。 2010年新装版を底本にしたKindle版が出ていたので、『星へ行く船』の余波で購入。 …絶句〈上〉 (ハヤカワ文庫JA) 作者: 新井素子,coco 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2010/09/09 メディア: 文庫 購入: 6人 クリ…

新井素子『星へ行く船』『通りすがりのレイディ』出版芸術社2016

再販です。 星へ行く船シリーズ1星へ行く船 作者: 新井素子 出版社/メーカー: 出版芸術社 発売日: 2016/09/16 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (6件) を見る 星へ行く船シリーズ2通りすがりのレイディ 作者: 新井素子 出版社/メーカ…

世界問答@プラネテス&鋼の錬金術師

世界問答はわたしの造語だ。自分の深淵にあるものを、自分より高次の何かと禅問答をすることをいう。 プラネテスだと猫と、鋼の錬金術師だと真理くんと、世界問答がある。 プラネテスをリアルタイムでは追っていなかったのでどれくらいかはわからないが、ど…

幸村誠『プラネテス』1999−2004/講談社

ん、同著者なのに『ヴィンランド・サガ』とはえらくちがうな、どちらかというと星野之宣っぽいとおもっていたら、内容はヴィンランドサーガに続くものがあるような感じがした。 宇宙の塵(デブリ)拾いのお話。 プラネテス全4巻 完結セット (モーニングKC) …

ゆうきまさみ『機動警察パトレイバー』(1988−94)

なぜかまともに読んだことがなかったのだが、きちんとよむとやっぱり面白い。 [まとめ買い] 機動警察パトレイバー(少年サンデーコミックス) 作者: ゆうきまさみ メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る やあ、後藤さんの名言はいろいろ引用されて…

『ネオ寄生獣』講談社2016

萩尾望都がすごいということを思い知った。 ネオ寄生獣 (アフタヌーンコミックス) 作者: 岩明均,萩尾望都,太田モアレ,竹谷隆之,韮沢靖,真島ヒロ,PEACH‐PIT,熊倉隆敏,皆川亮二,植芝理一,遠藤浩輝,瀧波ユカリ,平本アキラ 出版社/メーカー: 講談社 発売…

うめ『スティーブズ』5巻

こうやって読むと、スティーブ・ジョブズは、非常に魅力的なキャラクターだ。 元社員の話とか読むと、ただのクソ野郎にしかみえないときもあるのだが、このコミックで読むと「いやん、かっこいい王子様!」的な書き方で、暴君イケメンに翻弄されるヒロインと…